一つのぐい吞みから始まった陶芸の世界
2022.02.14 06:30
中島宏 作 青磁のぐい吞み
全体に美しい緑がかったブルーの釉薬に透明の釉薬が上塗りされています。
このぐい吞みの一番のお気に入りは、内側の美しさです。
写真では全部はお伝えできないほどに美しいんです。
パシャリ
内側には、釉薬溜まりがみられます。
これだけでもなかなかに珍しいのに、さらにそこに透明な釉薬がかけられ、この釉薬に細かい気泡が入っていて、これがとても綺麗に光に反射するんです。
まるでグラスに炭酸を注いだ時のように
注いだ日本酒がとても高級なシャンパンのような綺麗な泡をまとってくれます。
口に含むときにふっと目に入る綺麗な景色、自然と笑みがこぼれます。
側面には、一本横にすっと線が引かれていて、これがぐい吞み全体にすっと引き締まった印象を与えてくれていて、これも器の品を高めています。
重さも見た目の何倍もずっしりしていて手にしっくり。
このぐい吞みと出会ってから、日本酒を飲むのが一段と楽しみになってしまいました。
時々他のぐい吞みに浮気しても、またすぐこのぐい吞みに戻している自分がいます。
こんなに自然に自分の中にすっと入ってきてくれたこのぐい吞み。
このぐい吞みとの出会いをきっかけに、陶芸家の方の器への興味が大きく広がりました。
ちなみに、この中島宏さんは2007年に青磁で人間国宝となられた方です。
中島ブルーといわれる独自の青磁を確立した、師匠も弟子もいない異色の人間国宝と言われていたそうです。
ただ青磁の器を作るのではなく、独自の青磁を確立するほどに拘って作られた青磁。
美しいわけですね。