映画『CODA』レビュー。
2015年のフランス映画『エール』の感動の余韻が冷めないうちに、リメイク版となったアメリカ映画の『CODA』鑑賞してきました。2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネートされましたね!フランス版もとてもよかったし、リメイクアメリカ版も涙腺崩壊です。コメディー要素もありながら、夢に向かって進む青春時代のストーリー。大好物です!
鑑賞後、YouTubeの解説動画を視聴したり、メインキャスト総出演の英語のインタビューを聴いてみたところ、いろいろと分かってきたことがありました。だから、リメイク版がオリジナルを超えた、みたいなことを言われていたのかと。
リメイク版はどう変わったのかというと、
①家業が、酪農⇒漁業に変化。漁業の方は、「耳が聞こえない人だけが船に乗ることは禁じられている」という意味で、リアリティーが増すという設定に。
②家は、Parisから離れたフランスの田舎から、ボストンから1時間ほどの漁村というセッティングに。
③家族構成が、姉・弟から、兄・妹になっていました。両親役は、フランス版と似ていて、びっくりです。
④フランス版は健常者の俳優が手話をしていたのですが、アメリカ版は、本当に耳の聴こえない俳優3人が出演していたのです。フランス版は、健常者を使ったことでの批判があったそうですから、監督は耳の聴こえない俳優を起用することは、初めから決めていたとのことでした。それもあって、リアル感が半端ないです。
ある重要なシーンでは、「なんでそこでその話?」と思うシーンがあったのですが、実はそこはアドリブだったと、インタビューで知りました。健常者では、絶対に思いつかないセリフですが、これはあるあるなのだそうです。周りが騒いでいるけど、その音が聞こえないから、普通の話になるのだそうです。
⑤選曲が違う。フランス版はシャンソン。英語は、Joni Mitchellの『Both Sides Now』という、古さを感じさせない、歌詞が素敵な曲でした。両方とも練習して歌えるようにしようと思い、早速練習しはじめています。(笑)
主人公のEmilia Jonesが、とてもよかったです。イギリス人なので、アメリカ英語を練習しなくちゃならないし、もちろん手話の勉強も。そして漁業です。ものすごいチャレンジングだと思ったそうですが、成長できそうだし、挑戦することが好きだからと言う、19歳です。(撮影当時は17歳)ハリウッドの映画スターたちの役の入れ込み度がすごすぎますね。
主人公が恋に落ちる高校生男子の役は、『シングストリート』の主役の俳優でした。彼はアイルランド出身です。この頃は子供だったのに、背も高くなって成長していましたし、歌も相変わらずグッときました。★Sing Street - Drive It Like You Stole It (Official Video)
ちなみに、CODAの意味は、音楽用語かなと思っていたら、ダブルミーニングになっているそうで、「Children of Deaf Adults」耳の聴こえない親を持つ子供の略称だそうです。それで映画の中で主人公は、自分の声が変かもしれないという不安を顧問に打ち明けるシーンがありました。そこではじめて、CODAの人が持つ悩みを理解しました。親にも当然自分の歌声も聞いてもらったこともありません。そんな親にどうやって、歌の才能を認めてもらうのか? 感動のクライマックスへと続きます。
フランス映画もアメリカ映画もそれぞれいいと思ったところがありました!是非二本立てでご覧いただきたい作品です!アカデミー賞の行方もたのしみですね。