投球障害のフェーズ分け 2
投球フェーズによって肩の痛みの病態は異なりますが、その裏には共通する状態があります。
・肩関節後方組織の硬さ
・上腕骨骨頭の求心性機能の低下(インナーマッスル機能の低下)
この2点が下記のいろいろな病態を引き起こすきっかけになります。ここをケアしておくだけでもかなりリスクは低減されるでしょう。
ちなみに肩甲骨が硬いのは当然リスク高いですが、動いていればいいというわけではないです。上述2点が潜んでいればリスクは高まります。
とはいえ痛みがある場合はまずは整形外科を受診しましょう!
以下はそれぞれ病態に考えられる原因です。ほとんどが上述した2点を含んでいます。
●アーリーコッキング(2枚目)
〜ステップ脚接地
・肩峰下インピンジメント
→肩甲骨の内転制限、テイクバック時の過度の肩関節内旋位
・前上方関節内インピンジメント(ASI)
→肩関節後部組織の硬さによりテイクバック時に骨頭が前上方に押し出され、前上方部で棘上筋や上腕二頭筋長頭腱、上関節上腕靭帯が挟み込まれる
・上腕二頭筋長頭腱炎
→腱板(インナーマッスル)の機能低下により上腕骨骨頭の求心位が保てなくなり外転外旋時の長頭腱の負荷が高まる
●レイトコッキング(3枚目)
左足接地〜MER
・上方関節唇損傷(SLAP損傷)
→MER時の胸椎伸展、肩甲胸郭関節、肩甲骨後傾不足により上腕二頭筋腱にかかる牽引回旋ストレス
・後上方関節内インピンジメント(PSI)
→肩関節後部組織の硬さによりテイクバック時に骨頭が前上方に押し出され、後上方部の関節唇や棘上筋、棘下筋が挟み込まれる
●アクセラレーション(4枚目)
MER〜リリース
・上方関節唇損傷(SLAP損傷)
→MER時の胸椎伸展、肩甲胸郭関節、肩甲骨後傾不足により上腕二頭筋腱にかかる牽引回旋ストレス
・後上方関節内インピンジメント(PSI)
→ 肩関節後部組織の硬さにより外転外旋時に骨頭が前上方に押し出され、後上方部の関節唇や棘上筋、棘下筋が挟み込まれる
・腱板損傷、断裂
→ インピンジメントの状態で繰り返される負荷により棘上筋や棘下筋、肩甲下筋、腱板疎部に炎症が起こる
●フォロースルー(5枚目)
リリース〜
・前上方関節内インピンジメント(ASI)
→肩関節後部組織の硬さにより骨頭が前上方に押し出され、前上方部で棘上筋や上腕二頭筋長頭腱、上関節上腕靭帯が挟み込まれる
・ベネット損傷
→フォロースルー時の肩後下方部にかかる牽引ストレス