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生まれて初めて、一輪車に乗った。

2017.11.15 02:25

「せんせー、これ乗ってっ」

女子児童に促されるままに、その歪な乗り物に跨る。

22歳にして初めて、一輪車に乗った。


一つ目の妖怪のような、不完全で奇妙さを帯びたその乗り物に、僕は完敗した。為すすべもない、完全な敗退。


まず、バランスの取り方がよくわからない。運動神経でなんとかなる問題なのだろうか?そもそもの運動神経が大したことのない僕には「まだ早い乗り物」だったのだろうか。

漕ぐたびに前のめりになってはバランスが崩れる。

見苦しく言い訳をするならば、一輪車そのものが小さすぎるのだ。


壁伝いをソロソロと、いや、ガクガクしながら移動する僕は散々に嘲り笑われる。


「えー!乗れないのー!ダッサー!!」


彼女らはすいすいと後ろ向きに移動しつつ何故か嬉しそうに罵倒してきやがる。

じゃあ周りの小学生男子に乗れるやつがいるのかよ、そのまま成長したら普通乗れねえよ、と言ってやりたかったがやめた。そう主張したところで何の意味もないことはここ1ヶ月の経験で何となくわかったから。



「何かを始めるのに遅すぎることは何もない」

手垢のついたよくある文句はこと、一輪車に対しては該当しない。僕が今から一輪車に乗れるようになったところで、この先の人生が豊かになるかと言われれば、そんなことはないだろうからだ。



僕にできるのは、彼女らが転ばないように、そして転んだとしても痛みを我慢し成長に繋げられるように、付き添ってあげることだけだ。


女子児童に笑われる中、一輪車のサドルをあげながらそんなことを考えた。