『W旦那+(プラス)』第66話 三代目妄想劇場
臣は隆二の右側に座り、両手で毛布を持ち、隆二を包み込むようにしている。
オードブルの皿は隆二の左前方にある。
隆二は左肩を毛布の外に出していて、臣の左手は毛布ごと隆二の左腰に添えてあって、寒くないように、ずっと上下に擦っている。
二人で毛布にくるまっている姿は、まるで恋人同士のようだ。
隆二が箸でローストビーフを口に入れる。
それを見て、隣で臣があーっと大きな口を開ける。
隆二(ずっと毛布持ってなくても、自分で取って食えばいいのに…)
仕方なく箸で摘まんだビーフを、臣の口に持っていく。
臣がまた口を尖らせ、オードブルの中の物を見て、隆二に取ってくれと合図を送る。
隆二(また…)
これ?…と、スモークサーモンを指差す
首を横に振る臣。
これ?…とクラッカーの上にチーズが乗っているのを指す。
臣がうんうん…と首を縦に振る。
隆二(手、使えばいいのに…)
チーズの乗ったクラッカーを左手で取り、臣の口元に持っていくと、隆二の指ごと唇でパクッと包んだ。
隆二(指まで食うなよ…)
何とも言えない幸せそうな顔をして、臣がモグモグやっている。
隆二がビーフを食べていると、また臣が顎をくいくいっとさせて、ペットボトルに目をやる。
隆二(もう…手がかかるったら…)
横目で臣を見ると、口をタコのようにすぼめている。
ペットボトルを口まで持っていくと、ストローに吸い付き、旨そうにドリンクを飲んだ。
隆二(俺のこと、いつも子供扱いするけど…自分だって…)
またビーフを口に入れる隆二。
耳元で臣が囁く。
「お前…肉ばっか…」
隆二「……」
隆二は臣を見ながら何も言わず、またビーフを口に放り込む。
臣が「シェア…」と、耳元で囁く。
肉をモゴモゴしながら、臣の方を一度も見ないで、グラスに入ったポッキーを3本手に取り、臣に食べさせる。
臣は3本一気にポリポリと食べ、また隆二の指まで舐める。
隆二「……」
見ると、臣の口周りにチョコが付いている。
隆二は何も言わず、おしぼりを手に取り、臣の口を拭く。
完璧…とでもいうかのようにウインクする臣。
隆二(こいつのして欲しい事が解る自分が怖いわ…)
臣が何も言ってないのに、ペットボトルを取り、ドリンクを飲ませてやる。
臣は、しばらくゴクゴクと飲み、ストローを離し、あー…満足…とでも言ってるような顔をして目を閉じた。
End