不安になりやすいDNA
私たち日本人は不安になりやすい遺伝子をもっているのをご存知ですか?
不安になりやすい遺伝子とは、「セロトニントランスポーター遺伝子」。
「セロトニン」という言葉は、聞いたことがある方がほとんどだと思いますが。「セロトニントランポーター遺伝子」という言葉に馴染みがある方はそんなに多くないと思います。
セロトニントランスポーター遺伝子は、「幸福ホルモン」などと呼ばれている脳内神経伝達物質セロトニンの量を調整する役割を持っています。
セロトニンとは、神経伝達物質のことで、役割はノルアドレナリンと呼ばれるストレス物質の作用を抑えて不安を鎮めること、ドーパミンと呼ばれる快楽物質の作用を安定させて満足感を与えること、快眠や神経の安定に欠かせないもので、深い眠りにも関連しており、うつ病などの時には脳内で少なくなると言われています。
セロトニンはリサイクルされます。放出されたセロトニンは分解されますが、一部は回収されリサイクルされます。このセロトニンを再回収するのが「セロトニントランスポーター」なんです。
セロトニントランスポーターの少ない人は、セロトニン不足に陥りやすく鬱になったり満足感を得られず不安行動をとるといった症状に結び付く傾向があります。
セロトニントランスポーターには遺伝子の多い「L型」と遺伝子が少ない「S型」の2種類があります。「L型」はセロトニンを多く作り、「S型」は少しか作れません。
遺伝子の型は、SS型・SL型・LL型の3種類。
セロトニントランスポーター遺伝子に「L型」を持つ割合は人種によって異なり、一番多いと言われている人種は、アフリカ人で次にアメリカ人、一番少ないのはアジア人。
アジア人の中でも日本人はSS型が最も多く、全体の約68%を占めると言われています。ちなみにアメリカ人のSS型は全体の約18.8%。
また、LL型を持つ日本人は、1.7%、アメリカ人は32.3%。
S型遺伝子(SS型・SL型)を持つ日本人は8割以上、中国人は約75%、台湾人は約70%、スペイン人約47%、アメリカ人約44%、南アフリカ人約28%となっているそうです。
セロトニントランスポーター遺伝子が少ないSS型の人は、放出されるセロトニンがリサイクルされずに体外に排出されるため、慢性的にセロトニン不足に陥るのです。S型の多い日本人は不安感を持ちやすい精神状態であるため、事前にいろいろ準備したり、細部まで細かく目を通したり気づいたりするのではないかと言われているのです。
アメリカの学校では、生徒たちは自己主張が強く、思ったことは口に出して、相手とは違う意見でもしっかりと自分の思ったことを伝えます。また大人達もそのような子供たちを尊重してくれます。欧米での生活経験のある知人は、アメリカは自己主張が大切な社会であり、そのような国では他人にどう思われるかを気にしないで積極的に自分の意見を言うことが大切だと教えてくれました。
日本人はその逆で自己主張をあまりせず、できるだけその場の意見に、無難に合わせようとする風潮がありますが、それも遺伝子の影響なのかもしれません。
不安になりやすいDNAの持ち主である私たちだからこそ、不安を感じつつ、上手に不安を解消する方法を見つけたり実践したり、生きづらさへのもがきや気付きを「強み」として活かせるチャンスをみんなが持っているのだと思っています。
補足ですが、セロトニンが不足すると片頭痛が起きやすいです。子供の場合は頭痛と腹痛が一緒に起こることが多く、これは消化管にあったセロトニンが関与していると言われています。