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Classic Music Diary

Jugendstil: Mahler&Schoenberg

2022.02.19 13:43

Beatrice Berrut (Piano). 96Khz/24bit

スイスアルプスで生まれ育ったピアニスト、ビアトリス・べルート。ベーゼンドルファーピアニストである。

ビアトリスはフランツ・リストを敬愛している。リストはピアニスト、作曲家としてでなく編曲でも天才ぶりを発揮してベートーベン、シューマンを始めとした偉大な作曲家の管弦楽の優れたピアノ編曲作品を多く残している。そのリストを深く研究する過程でリストが得意とした編曲というもの自体を深く考えるようになったという。

このアルバムではJugendstil、つまりアール・ヌーヴォーの頃の作曲家マーラーの交響曲とシェーンベルグの弦楽六重奏曲として書かれた『浄夜』を自らピアノ編曲した作品を収めている。重なり合うストリングスを一台のピアノで再現するのは当然限界があるため、どの様に表現するかについては随分と工夫を凝らした様だ。特にマーラー6番のカウベルの音など。

交響曲のピアノ編曲版は曲の骨格が分かりやすいので名曲の特徴がよくわかる。マーラー五番の有名なアダージェットからアルバムは始まるがピアノの音を充分に響かせるようにしており雰囲気がよく出ている。『浄夜』も充分に聴かせる魅力を持っている。

使用しているのはベーゼンドルファー280VC(Vienna Concert)。ベーゼンドルファーの弦の構造上、一音一音の持続音が長く倍音が豊富で柔和な音色。これら編曲作品にとてもあっていると思う。そういえば、フランツ・リストもベーゼンドルファーを愛用していた。

2022−234