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【知 識】産学連携で農業のデジタルツインに関するオープンイノベーションでの研究

2022.02.22 00:35

NTT西日本、理化学研究所、福島大学、北海道大学、東京大学、前川総合研究所、大阪府立環境農林水産総合研究所(以下 大阪環農水研)と筑波大学の8組織は、農業の自然循環機能の増進、環境負荷の低減、生物多様性の保全に配慮したネイチャーポジティブ(※1)な環境再生型農業(※2)の普及拡大をめざし、「果樹の農業生態系の各層(土壌及び微生物叢、作物)のデジタルデータ化及びマルチオミクス解析(※3)」に関する共同研究を行う。得られたデジタルデータは、NTTが提唱するIOWN構想(※4)の最先端テクノロジーと組み合わせ、農業のデジタルツインコンピューティング(※5)をめざす。 

 現在の農業システムは、化学肥料・化学農薬を利用するケースが多く、土壌劣化・水質汚染・温室効果ガス発生など、地球規模での環境汚染を招いており、生物多様性に着目したネイチャーポジティブな環境再生型農業に切り替えていく事が世界的にも期待されている。

しかし化学肥料や化学農薬の利用を控えた環境再生型農業は、除草を含む労力がかかること、栽培技術が未確立であり再現性が低いこと(収量や品質が不安定)などの問題があり、従来の慣行栽培(※6)から切り替えが進んでいない。 共同研究では自然本来の力を最大限に引き出すために、土壌中の微生物機能に着目して解析を進める。

土壌微生物は、その重要性は十分認識されていたが、解析方法が難しくどのような微生物が存在するか判然としていない。研究では近年開発された解析法を用いることで、各農場内の微生物を評価する。農業生態系の各層(土壌及び微生物叢、作物)を科学的に解析し、数値化されたデジタルデータを元に各階層間の相互作用の解明を進める。

熟練農家の匠の技を見える化し、誰もが自然環境に配慮した農業に従事できる世界をめざす。


※1 ネイチャーポジティブ 自然に良い影響をもたらす、自然を優先する 

※2 環境再生型農業 土壌を修復・改善しながら自然環境を回復する農業 

※3 マルチオミクス解析 「オミクス解析」は解析対象を網羅的に検出・解析する手法、「マルチオミクス解析」は個別のオミクス解析を統合した解析手法 

※4 IOWN(アイオン)構想 光ベースの革新的なネットワークの構想 IOWN:Innovative Optical & Wireless Network 

※5 デジタルツインコンピューティング 従来のデジタルツインの概念を発展させて、多様な産業やモノとヒトのデジタルツインを自在に掛け合わせて演算を行うことにより、都市におけるヒトと自動車など、これまで総合的に扱うことができなかった組合せを高精度に再現し、さらに未来を予測する技術

※6 慣行栽培 普通一般に行われている化学農薬や化学肥料を使用する従来型の栽培



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