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石川県人 心の旅 by 石田寛人

今年の棋王戦金沢対局

2022.02.24 07:59

 今月19日、将棋タイトル戦のひとつ棋王戦コナミグループ杯の挑戦手合渡辺明棋王対永瀬拓矢王座の五番勝負第二局が金沢の北國新聞会館で行われる。トップ棋士同士の対局を身近に楽しめる絶好の機会なので、北國新聞社はじめ地方紙各社、主催者協賛者に感謝しながら、去年はなかった大盤解説会への参加を申し込んだ。

 広く知られているようにプロの将棋には八大タイトル戦がある。[竜王戦]、[名人戦・順位戦]、[お~いお茶杯王位戦]、[王座戦]、[棋王戦コナミグループ杯]、[叡王戦]、[ALSOK杯王将戦]、[ヒューリック杯棋聖戦](順序は日本将棋連盟のホームページによる)である。かつて、タイトル戦は七つで、羽生善治九段が独占して大きな話題を呼んだが、新しく叡王戦が加わった。このほか、[朝日杯将棋オープン戦]、[銀河戦]、[NHK杯]、[将棋日本シリーズ]、[新人王戦]、[YAMADAチャレンジ杯]、[加古川青流戦]、[ABEMAトーナメント]、[SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2021]と、多くの棋戦があり、これらは一般棋戦と呼ばれている。また、[十段戦]など、すでに終了したものもある。さらに、女流棋士のみによる女流棋戦も数多い。

 そこで、タイトル戦と一般棋戦の違いは何か。それは、タイトル戦の場合、タイトル保持者が翌年のタイトル防衛戦に直に登場して、多くの棋士によるリーグ戦又はトーナメント戦を勝ち抜いた挑戦者と番勝負を争うのに対して、一般棋戦では、タイトル保持者に相当する棋戦優勝者は翌年度はトーナメント戦出場者の一人として参加しなければならない仕組みになっていることにある。

 タイトル戦の挑戦手合は五番勝負か七番勝負である。大体、五番勝負は一日制で、七番勝負は二日制である。一日制と二日制の相違は、対局者の考慮時間である持ち時間の長短によっている。

 棋王戦は五番勝負であるが、見る者は濃縮された勝負を楽める。三局の勝利でタイトルの防衛か奪取が決まるので、一局一局のウエイトが高い。一日制であることから、指し手が速く進み、その分、我々素人が見て、一局をほどよい時間で楽しむことができる。

 八大タイトルは、藤井聡太五冠、渡辺明二冠、そして永瀬拓矢王座三人で保持されているが、その最高峰三人のうちの二人が対局する今年の棋王戦番勝負は、誠に豪華な組み合わせといえよう。この二人が金沢を舞台にすばらしい将棋を指されることを切に期待しているし、必ず手に汗握る好勝負になろう。

 今年は、将棋の名人戦と囲碁の本因坊戦のタイトル戦番勝負の金沢対局が決まっており、さらなる可能性もあるようだ。大きな対局が県内で多く行われるように、誠に微力ではあるが懸命に努力したい。囲碁や将棋の七番勝負では、これまた、五番勝負と違った味わいの勝負が展開されると思われる。

(2022年2月16日記)


[追記]

 結果は、タイトル保持者渡辺棋王が勝利し、2連勝となった。感動的な対局だった。対局終了後の疲れを厭わず大盤解説に登場して長く壇上に立たれた両対局者をはじめ、立会人の屋敷伸之九段、解説者の村山慈明七段、記録係の斎藤裕也三段、聞き手の里見咲紀女流初段に厚く御礼申し上げる。棋王戦挑戦手合はさらに続くが、これからも全国のファンがすばらしい対局を堪能できると確信している。(2022年2月19日記)