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退屈と惰性と 改

SS ジョルト レビュー

2022.03.02 00:58

 今回のレビューは、トランスフォーマー スタジオシリーズ より、

“SSー74 ジョルト” です。


 実写映画第2作、“トランスフォーマー/リベンジ” に登場したオートボットの戦士、

“ジョルト” が、

スタジオシリーズで発売されました。


 当初は登場する予定がなかったらしい、オートボットの新戦士、ジョルト。

 実際台詞もなく、戦闘シーンでの活躍もないのですが、劇中終盤のオプティマスとジェットファイヤーの合体で重要な役割を果した(というか、実質必要だったのはそこだけ)ことと、妙に存在感のあるビジュアルとで変に人気のあるキャラクター、という印象です。

 結局リベンジにしか登場していないのに、続編のダークサイドムーンのときも完全新規のトイが発売され、さらに続くロストエイジでもそのダークサイドムーン(DA)版のリカラーに武装変更でまた発売(AD版)と、劇中よりもはるかに露出が多いという・・

 そして今回のスタジオ版。

 86勢やバンブルビー(BB)勢が勢いを増すなか、その隙間を縫うようにねじ込まれた、いわゆるベイバース勢の完全新規アイテムなのですが・・ぶっちゃけ、もっと先に出すべきキャラがいたのではないだろうか? とか思ったり。

 しかし、その実力は思いのほか高いものでした。

 レビューしていきます。


ロボットモード

 過去のアニメシリーズでもジョルトとう名前のキャラはいましたが、とくにモチーフになっているわけでもなさそうなので、実写版の新キャラということでよいと思います。

 そんなジョルトさんですが・・

 え? 誰・・!?

 そもそも劇中ではっきりとその姿を確認することも難しいキャラで、これまでに発売されているトイもリベンジ(RA)版とDA版(およびAD版)とでけっこうデザインが変わっているので、全体のシルエットに関してはまぁ、こんな感じだったかもしれないとは思ったのですが、それ以前の問題として、顔が全然違う・・

 ジョルトの顔というと輪郭は三角形で額に角というかトサカというか、そんな突起があって、口許はマスクタイプ。そして丸く円らな二つの目がある、なんとなくカニっぽい顔という認識でした。

 RA版もDA(AD)版も、細部は違えど基本的にそんな顔だったので、当然そんな顔なんだろう、と思っていたのですが・・

全然違う。

 目は切長で落ち窪んだ感じになってるし、あとなんか受け口だし・・

 で、あらためてリベンジを見返してみると、確かにこんな感じかもしれない。

 まぁ、正面でアップになることもないし、正直よくわからないんですけど、少なくともこれまでに発売されているトイの顔ではなさそう。

 なんとなく似た要素はあるんですけどね。

 全体像にしても、ガワの配置などまったく同じというわけではないですが、やはり今までのトイよりも今回のSS版のシルエットのほうが近いように思えます。

 つまりあの特徴的なビジュアルは偽りだった・・という。


 背面はかなりガワが目立つ感じになっていますが、実際劇中デザインでも背中側にけっこう突起が重なっているように見えるので、それなりの再現度といえなくもない。

 ただ重心が後方に傾きがちで、足首のスイングもできないため自立が若干厳しかったりします。


 腰部および太腿にはクリアパーツが使われています。

 太腿はビークルモードのフロントウインドウ周りが変形する設定らしく、過去のトイでは実際にウインドウ部分のガワパーツが配置されるパターンだったのですが、今回はダミーでの再現となっています。

 おかげでよいスタイルに。


 手の先は3本爪のクロータイプ。

 開閉や回転はできませんが、変形都合で内側に曲げることができます。


付属武装

エレクトロウイップ

 攻撃のほか治療や修復にも使用できる、電気を帯びた鞭状の武器。

 ジョルト最大にして唯一の見せ場であるオプティマスとジェットファイヤーの合体時に使われたことで印象的な装備です。

 今回は外付けオプションというかたちで付属します。

 AD版も同様のオプション仕様で付属しましたが、そちらは少し動きの付いた造形で一部塗装もされていました。

 しかし今回はご覧の通り、まっすぐ。

 塗装もなくシルバーの成型色のままですが、その代わり(?)本体の全高以上の長さになっており、けっこうな迫力があります。

 軟質パーツじゃないかという不安もありましたが、違いました。

 真ん中のマウント用のダボがちょっと目立ちますけどね。

 それと、劇中では一瞬なのでやはりよくわかりませんでしたが、今回のSS版のパッケージイラストを見る限り、ウィップはクローの中心(手の平部分)から伸びているようなのですが、トイではクローの1本と付け換える仕様になっており、あたかもクローが伸びたような感じになっています。


 で、外したクローは太腿のガワ側面に取り付けることが可能。

 まぁ、なくさないための一応の処置という感じですね。


 同様にウィップをマウントすることも可能です。

 本来はビークルモードでのマウント位置なんですけどね。


ビークルモード

 ゼネラルモーターズ(GM)のハイブリッドカー、シボレー・ボルト(VOLT)にトランスフォーム。

 GMの公式ライセンスを取得しているので、再現度は高い・・のだと思います。

 分割線が多めなのはいたしかたないところですが、かっちりすっきりと変形してくれます。

 表面にロボットモードの要素が一切見られないのはさすが。

 ただちょっと色味的にはシンプル過ぎますかね。

 フロントグリルやライトはシルバーで塗装されていますが、RA版と較べると色数が減っており、ちょっと寂しい感じ。

 リア部分はこんな感じ。

 こっちは色数も多くて、なんか可愛い。


 そしてルーフ。

 リアウインドウとの一体成型で全面クリアパーツなのはいいとして、なぜか塗装されておらず、裏面のディティールが見えています。

 当然、実写はそんなことないはずで、なんでここだけこんな仕様になってしまったのか・・


 あと、先にも言ったように車体側面にエレクトロウィップをマウントできます。

 いつも通りのとりあえず感は否めません。


 ちなみに、リベンジ公開から7年後の2016年、同じGMのシボレーシリーズから電気自動車が登場しているのですが、そちらの名前もシボレー・ボルト。 

 ただ、ボルトのスペルがBOLT。ネジの類いのボルトなんですね。

 今回のジョルトが変形するハイブリッドタイプはVOLT。電圧を意味するボルトですね。

 いや、むしろ電気自動車のほうがVOLTだろうに・・後発なので仕方ないにしても、なんで同じような名前にしたのだろうか?

 実際英語の発音も似ているらしく、混乱を来しているようです。

 そしてジョルトにしても電気を使う能力があるんだから、電気自動車に変形するほうが自然だったり・・こちらもBOLT登場のずっと前に映画が作られたんだから仕方ないですが。


 変形については・・よくも悪くも久々にスタジオシリーズらしさを感じさせてくれるものになっています。

 つまり、ガワの合わせがかなりシビアです。

 まぁ、何度か繰り返し変形させていくうちにある程度コツは掴めてくるのですが、その繰り返しが少々躊躇われる感じで各部のジョイントがキツイ・・

 一番怖いのはこのリア部分ですね。

 ロボットモードの腕部を折りたたんで構成するのですが、かなりタイトな設計で、ご覧の通りすでにジョイントの根元が白化しています。

 ちなみに一回往復しただけです。

 正直、ここに5本もジョイント要らないと思うんだなぁ。

 赤丸のジョイントの引っかかり部分は削ってしまってもいいかもしれませんね。


 あとはフロント側。

 僕はこの前輪とドア(赤丸部分)がなかなかかっちりと合わせられませんでした。

 内部、脛ロール(黄丸部分)のわずかな角度の違いで大きく隙間が空いてしまうんですね。

 しかもそのロール軸が異様に硬くて・・

 そして最終的に車体上部を合わせるのですが、そこでもクリア製のダボがあったりと油断できません。

 ただ、最後に蓋をするときの中身の姿勢がなんか可愛い(笑)。

 まぁ、そういった困難をクリしたのちに完成したビークルモードはあの通りすっきりと綺麗にまとまったものではあるんですが。


 ここまでいろいろと気になる点(欠点ということではない)を書き連ねてきましたが、ある意味一番のツッコミどころはこれかもしれない。

 中台紙のディスプレイベースの背景が、シカゴの戦場。

 言うまでもなく、ダークサイドムーンにおける最終決戦の舞台です。

 いや、ダークサイドムーンにジョルト出てないし!なんでエジプトの砂漠じゃないんだよ!

 でも、もしかしたら画面に映ってないだけであのときそこにジョルトもいたのかもしれない・・


比較画像

 まずリベンジ(RA)版と。ロボットモードで。

 RA版には短いながらエレクトロウィップの展開ギミックがあります。

 なにも知らなければ、この2体が同じキャラクターを再現したものだなんて到底思えないでしょうね。

 解釈違いとか、そういう次元の話じゃない・・

 ただよく見ると確かに似た要素は散見されるので、中途半端な情報だけ掴まされたんだろうなぁ。

 当時のトイ開発部門の苦労が窺われます。

 全体のシルエットが大きく違う場合でも顔はそこまで違わないというパターンは多いという気もするのですが、ジョルトの場合はこの通り。

 そして、この左側の顔で多くの人が覚えてしまった、と。

 そりゃ仕方ないよ。こんなに違うと思わないもの。

 映画を一時停止してじっくり確認する人なんて、そうそういないだろうし。


 ビークルモードでも。

 こちらはちゃんと(?)RA版でもGMのライセンスを所得しているので、実車デザインの再現はなされています。

 SS版ともそれほど差はない感じ。

 むしろ分割線が少ないこと、塗装の色数が多いこと、一回り大きいことなども考えるとボルトのカーモデルとしてはRA版のほうが見栄えがいいような・・


 ダークサイドムーン(DA)版と。ロボットモードで。

 RA版のデザインをある程度踏襲されて新たに作られたDA版なので、やはり本来の劇中デザインとは別物。

 ダークサイドムーン公開時にはすでに正しいジョルトの資料もあったのではないかと思え、実際全体のシルエットは近付いている感じですが、顔はしっかりRA版ベース。

 というか、そもそもジョルトはダークサイドムーンには出てこないのに、なんでまた完全新規で作ったのか? ツインズやアーシーもですが。

 そして最大の疑問。なんで色がシルバー(成型色としてはグレーに近い)になったの?

 なおDA版ではエレクトロウィップは再現されず、代わりにシリーズギミックであるメックテックウエポンが付属しています。


 ビークルモードでも。

 こちらもGMのライセンスが取得されているので、フォルムはちゃんと再現されていると思うのですが・・

 なぜかボンネットとルーフにメッシュ状のディティールが入っています。カラーがシルバーになっていることもあり、パッと見はまったく違う車に見えますね。こういう仕様もあるのかな?

 あと、フロントウインドウやドア、ドアウインドウなどに水色のラインが入っており、トイ感の強い仕上がりになっています。


 SS バンブルビー(リベンジ)版と。ロボットモードで。

 おおよそ同じくらいのサイズですね。

 劇中でこの2体がロボットモードで並んだシーンはなかったように思いますが、だいたい設定通りなのかな?

 ビーはG1ミニボットからの思い込みでどうしても小柄というイメージなんですが、実はそうでもないんですよね。


 ビークルモードでも。

 こちらも実際のサイズ感に近いのだろうか?

以下、画像

 スタジオシリーズですが、さすがに最新モデルだけあってよく動くようになっています。

 最大のポイントは、変形都合で腹部が大きく前方向に動くこと。

 深い前屈が可能なので、躍動感のあるポージングが決まります。

 エレクトロウィップの存在感も含めて非常にスタイリッシュ。

 まるで居合抜きのような感じにも。


 一方で足首のスイングができないので、自立は厳しい場合が多いです。

 でも前後スイングは可能なので、脛ロールと組み合わせることである程度は補えます。

 あとはエレクトロウイップを太腿のガワにマウントすることでスタンド代わりにしたり、そのガワ自体を支えにすることもできます。

 ガワはボールジョイントで可動するので、脚部の可動の妨げにもなりにくいです。

 太腿が短いので、立て膝はちょっと無理がある感じ。


 スタンド対応穴は背中のガワにあります。

 そのため、腹部の前後可動を活かした画像が撮りやすい。

 まさか今になってこんなに動けるジョルトが登場するとは・・

 劇中でも映ってないところでこれくらい派手なアクションしてたのかもしれない。


 エレクトロウイップ装備で腕を伸ばすと、もはやボスクラスの存在感。

 めっちゃ格好いいやないか・・


ラ「ジョルト! アフターバーナーを接続しろ!

ジ「・・・・・

 ポジション的にはラチェットの部下の医療班という感じだったのか?

 そしてジェットウイングオプティマス爆誕!

 急遽出演が決まったというジョルト。

 GMのごり押しだったのかもしれませんが、結果としてオートボットの勝利に直接貢献する働きをしているわけですよ。

 登場シーンこそ少ないものの、きっとGMもご満悦だったに違いない。

 ジョルトが出ていなかった場合は、ラチェットが1人でなんとかしていたんだろうか? ラチェットにしてみれば見せ場を持っていかれたということなのかも・・


 以上、“SS ジョルト” でした。


 リベンジ公開から実に12年あまり。

 ついに劇中デザインに近い姿のジョルトがお目見えとなりました。

 いや、誰だ? とはなりましたよね、実際。

 全体のシルエットが違うというのはまぁいいとしても(よくはないww)、顔がこれまでそうと認識していたジョルトとまったく別物なんですから。

 まぁ、実写版トイは映画制作側とトイ開発側の連携があまりとれておらず、後者はほとんど資料がないままトイを作らざるをえない、という状況が多々あったんでしょう、きっと。

 2010のときからなにも変わっていない・・

 なので、ジョルトのほかにも全然違うじゃん! てキャラはけっこういたのですが、そもそもジョルトは劇中ではっきり姿を確認できる機会が少なく、一方でリベンジ版トイのデザインがなかなかに愛嬌のあるものだったので妙に人気が出てしまい、正確な資料が手に入った・・というか少なくとも劇中デザインがおおよそ判明したあとでもRA版のデザインが踏襲されるという、ある意味異常事態が続いていたということなのかなぁ・・

 しかし、あくまで劇中デザインの再現がメインコンセプト(だと思う)のスタジオシリーズでのリメイクにあたっては、当然従来からのトイデザインの踏襲は選択肢にはなかったはず。

 結果、誰だ!? という反応が方々から聞こえたのでしょうが、少なからず本気で首を捻った人もいたことでしょう。

 はい。正直に言います。そのうちの1人です(笑)。

 だって、全体のシルエットが違うなんてことは先にも言ったようによくあることでしたし、顔についても多少は違うだろうとは思っていましたが、まさかここまで別物だなんて思いもしませんでしたよ。

 というか、それこそ映画を一時停止してまでわざわざジョルトの顔をはっきり確認しようなんてこともしませんでしたし。

 こんな顔だったんですね。

 完全にイメージが変わりました。格好いいやん。

 トイの出来にしても、ロボットモードはよく動いてくれますし、エレクトロウィップもハッタリの利いたサイズで楽しい。

 変形は・・まぁあまり頻繁にやりたくないのが正直なところですが、それもスタジオシリーズらしいといえば、まぁ。

 ただ、従来のトイデザインも好きですし、そちらのスタジオ版も見てみたいかも。

 頭部変更だけでもいいかもしれません。あとはエレクトロウィップが動きのある形状のものに代わっていたりしたら、互換性もあってよいですね。

 ファンの声次第出だしそうな気はしないでもない。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。