令和4年2月 月例インターネット句会 Vol.120
木暮陶句郎 選
◎特選 10句
いぬふぐり君訪れるときめきか(安部じゅん)
雪解風忘れ物めく空の端(杉山 加織)
浅春や匂袋の香は薄れ(清水 檀)
満員の乗客降ろす梅の里(井野 紫)
他人ごとと言ひつつバレンタインの日(清水 檀)
酔ひ覚めの背中にすつと来る余寒(佐々木一栗)
君を待つバスターミナル春の雪(小暮 肇)
うららかや飛行機雲はカーブして(佐々木一栗)
リュック背負ふ人の集ひて梅の里(井野 紫)
雪乗せて始発列車の滑り出す(堤 かがり)
〇入選 30句
完結の一書閉づれば日脚伸ぶ(星野 裕子)
オリオンの退る空より寒明くる(稲葉 京閑)
玄関にランドセル置く春の雪(小暮 肇)
立春の空やセスナの低飛行(佐々木一栗)
封筒は水色であり春便り(岩佐 晴子)
春の雷もう触れられぬものに声(鈴木由里子)
孝行は出来ただろうか母子草(中島 圭子)
寄り添ひて猪苗代湖の冬銀河(竹俣 修)
三寒の午後は白眉の増しにけり(大渕 洋)
鬼は外しわがれ声も撒かれけり(森田 遊馬)
封じ手に終ふる一日や宵の春(木村 佑)
春なれば鴉雀も楽しげに(岩佐 晴子)
この家の姑小姑うかれ猫(中村 東子)
あひづちの語尾甘やかに雪解宿(杉山 加織)
星屑の沈むみづうみ春浅し(星野 裕子)
未だ覚めぬ山烟らせて春の雪(稲葉 京閑)
気忙しく沼に呑まれし牡丹雪(堤 かがり)
秘密基地灰になりたる野焼かな(里村 閑)
あらぬ方へと啓蟄のゴムボール(ななさと紅緒)
斑雪山横目に碓氷峠かな(杉山 加織)
キューピーのえくぼとおへそ春淡し(星野 裕子)
ゆっくりと流れゆっくり水温む(稲葉 京閑)
薄氷の透かし模様は昨夜の風(清水 檀)
何もかもがらがらぽんと春立ちぬ(里村 閑)
石鹸の泡のきゅるきゅる鳴雪忌(鈴木由里子)
淡雪や記憶の中の子守歌(杉山 加織)
地吹雪のバス停に立つ女かな(竹俣 修)
剪定やだんだんに大胆になり(岩佐 晴子)
余寒かな薄くて甘き舌を噛む(鈴木由里子)
春寒やぽとんと落とす角砂糖(杉山 加織)
互選
6点句
明日よりは母校となりぬ黄水仙(ななさと紅緒)
5点句
うららかや飛行機雲はカーブして(佐々木一栗)
雪解風忘れ物めく空の端(杉山 加織)
4点句
完結の一書閉づれば日脚伸ぶ(星野 裕子)
夜汽車ゆく余寒の月に追はれつつ(木暮陶句郎)
月光のはまり込みたる雪解谷(木暮陶句郎)
3点句
くれなゐの蕾解けて梅真白(星野 裕子)
立春の空やセスナの低飛行(佐々木一栗)
ほうじ茶に息吹きかけて春浅し(安部じゅん)
下萌て榛名見上ぐる埴輪群(安部じゅん)
春の雷もう触れられぬものに声(鈴木由里子)
春寒やぽとんと落とす角砂糖(杉山 加織)
針山の針ひかりあふ針供養(木暮陶句郎)
床濡るる郵便局や雪解晴(木暮陶句郎)
2点句
積ん読の本にうつすら春埃(中島 圭子)
オリオンの退る空より寒明くる(稲葉 京閑)
未だ覚めぬ山烟らせて春の雪(稲葉 京閑)
ゆっくりと流れゆっくり水温む(稲葉 京閑)
身悶える事許されず椿落つ(稲葉 京閑)
春を待つ心はひとつ薪をたく(高橋ちとせ)
東風吹くやショートヘアーに変えし君(佐々木一栗)
剪定やだんだんに大胆になり(岩佐 晴子)
背表紙の誘ふ冒険春隣(里村 閑)
あひづちの語尾甘やかに雪解宿(杉山 加織)
淡雪や記憶の中の子守歌(杉山 加織)
1点句
見送りし親父のかたに木の葉髪(竹俣 修)
星屑の沈むみづうみ春浅し(星野 裕子)
沈黙の居心地寒の明けやらず(稲葉 京閑)
鬼は外しわがれ声も撒かれけり(森田 遊馬)
今日生きて春立つ明日に夢を追ひ(清水 檀)
浅春や匂袋の香は薄れ(清水 檀)
春の雪降り積む早さ消ゆ早さ(清水 檀)
玄関にランドセル置く春の雪(小暮 肇)
君を待つバスターミナル春の雪(小暮 肇)
抱へたる花束匂ふ春時雨(堤 かがり)
遅日かな二本の名画観て帰り(小須賀正幸)
封じ手に終ふる一日や宵の春(木村 佑)
雪あかり勝者の長きテレマーク(木村 佑)
淡黄の芯もやさしき犬ふぐり(佐々木一栗)
酔ひ覚めの背中にすつと来る余寒(佐々木一栗)
封筒は水色であり春便り(岩佐 晴子)
うごめくやわが細胞の春の水(里村 閑)
冴返る神の不在のジャンプ場(里村 閑)
秘密基地灰になりたる野焼かな(里村 閑)
石鹸の泡のきゅるきゅる鳴雪忌(鈴木由里子)
春の雲でんぐり返ししてみよか(中村 東子)
リュック背負ふ人の集ひて梅の里(井野 紫)
水軍の根城の島や野火走る(ななさと紅緒)
万華鏡こつとり春の立ちにけり(ななさと紅緒)
斑雪山横目に碓氷峠かな(杉山 加織)
空色の風にそよぎて雪間草(木暮陶句郎)
互選結果
◎小暮 肇
(7) 今日生きて春立つ明日に夢を追ひ
(14) 封筒は水色であり春便り
(37) ほうじ茶に息吹きかけて春浅し
(87) 淡雪や記憶の中の子守歌
(109) 春寒やぽとんと落とす角砂糖
◎星野裕子
(17) 春の雷もう触れられぬものに声
(42) 明日よりは母校となりぬ黄水仙
(60) 秘密基地灰になりたる野焼かな
(83) 石鹸の泡のきゅるきゅる鳴雪忌
(109) 春寒やぽとんと落とす角砂糖
◎岩佐晴子 選
(5) オリオンの退る空より寒明くる
(66) 月光のはまり込みたる雪解谷
(71) ゆっくりと流れゆっくり水温む
(92) くれなゐの蕾解けて梅真白
(110) 床濡るる郵便局や雪解晴
◎小須賀正幸 選
(29) 浅春や匂袋の香は薄れ
(37) ほうじ茶に息吹きかけて春浅し
(59) 下萌て榛名見上ぐる埴輪群
(65) 斑雪山横目に碓氷峠かな
(67) 積ん読の本にうつすら春埃
◎井野 紫 選
(22) 夜汽車ゆく余寒の月に追はれつつ
(71) ゆっくりと流れゆっくり水温む
(74) 君を待つバスターミナル春の雪
(87) 淡雪や記憶の中の子守歌
(92) くれなゐの蕾解けて梅真白
◎木村佑 選
(27) 沈黙の居心地寒の明けやらず
(37) ほうじ茶に息吹きかけて春浅し
(44) 針山の針ひかりあふ針供養
(95) 春の雪降り積む早さ消ゆ早さ
(104) 背表紙の誘ふ冒険春隣
◎竹俣修 選
(20) 水軍の根城の島や野火走る
(22) 夜汽車ゆく余寒の月に追はれつつ
(59) 下萌て榛名見上ぐる埴輪群
(85) リュック背負ふ人の集ひて梅の里
(101) 東風吹くやショートヘアーに変えし君
◎大渕洋 選
(4) 完結の一書閉づれば日脚伸ぶ
(16) うごめくやわが細胞の春の水
(22) 夜汽車ゆく余寒の月に追はれつつ
(49) 未だ覚めぬ山烟らせて春の雪
(110) 床濡るる郵便局や雪解晴
◎中村 東子 選
(17) 春の雷もう触れられぬものに声
(21) 雪解風忘れ物めく空の端
(44) 針山の針ひかりあふ針供養
(93) 身悶える事許されず椿落つ
(108) 万華鏡こつとり春の立ちにけり
◎中島圭子 選
(13) 立春の空やセスナの低飛行
(35) 淡黄の芯もやさしき犬ふぐり
(42) 明日よりは母校となりぬ黄水仙
(66) 月光のはまり込みたる雪解谷
(88) 空色の風にそよぎて雪間草
◎稲葉京閑 選
(9) 春を待つ心はひとつ薪をたく
(21) 雪解風忘れ物めく空の端
(42) 明日よりは母校となりぬ黄水仙
(57) 酔ひ覚めの背中にすつと来る余寒
(102) 剪定やだんだんに大胆になり
◎高橋ちとせ 選
(4) 完結の一書閉づれば日脚伸ぶ
(22) 夜汽車ゆく余寒の月に追はれつつ
(68) 見送りし親父のかたに木の葉髪
(79) うららかや飛行機雲はカーブして
(93) 身悶える事許されず椿落つ
◎佐々木 一栗 選
(4) 完結の一書閉づれば日脚伸ぶ
(5) オリオンの退る空より寒明くる
(18) 春の雲でんぐり返ししてみよか
(42) 明日よりは母校となりぬ黄水仙
(43) あひづちの語尾甘やかに雪解宿
◎清水 檀 選
(4) 完結の一書閉づれば日脚伸ぶ
(42) 明日よりは母校となりぬ黄水仙
(49) 未だ覚めぬ山烟らせて春の雪
(79) うららかや飛行機雲はカーブして
(101) 東風吹くやショートヘアーに変えし君
◎鈴木由里子 選
(13) 立春の空やセスナの低飛行
(21) 雪解風忘れ物めく空の端
(38) 冴返る神の不在のジャンプ場
(56) 雪あかり勝者の長きテレマーク
(79) うららかや飛行機雲はカーブして
◎堤かがり 選
(28) 鬼は外しわがれ声も撒かれけり
(42) 明日よりは母校となりぬ黄水仙
(59) 下萌て榛名見上ぐる埴輪群
(99) 遅日かな二本の名画観て帰り
(110) 床濡るる郵便局や雪解晴
◎ななさと紅緒 選
(21) 雪解風忘れ物めく空の端
(32) 抱へたる花束匂ふ春時雨
(43) あひづちの語尾甘やかに雪解宿
(66) 月光のはまり込みたる雪解谷
(79) うららかや飛行機雲はカーブして
◎安部じゅん 選
(13) 立春の空やセスナの低飛行
(21) 雪解風忘れ物めく空の端
(66) 月光のはまり込みたる雪解谷
(67) 積ん読の本にうつすら春埃
(109) 春寒やぽとんと落とす角砂糖
◎里村閑 選
(8) 玄関にランドセル置く春の雪
(9) 春を待つ心はひとつ薪をたく
(34) 封じ手に終ふる一日や宵の春
(79) うららかや飛行機雲はカーブして
(102) 剪定やだんだんに大胆になり
◎杉山加織 選
(17) 春の雷もう触れられぬものに声
(44) 針山の針ひかりあふ針供養
(48) 星屑の沈むみづうみ春浅し
(92) くれなゐの蕾解けて梅真白
(104) 背表紙の誘ふ冒険春隣