『フライング・ギロチン』
清の時代、歴史の陰に隠れた最強の暗殺凶器。その名も「フライング・ギロチン」!
腕に巻きつけた蛇腹剣をククリ刀の内側で高速回転させ、ベイブレードのごとく発射する。ククリ刀と蛇腹剣は糸によってひっついているので、アニメのベイブレードのように自由に動かすことができ、相手の首に巻きついたところで糸を引けば謎装置が発動して罪人の首を切る。一撃必殺最強の暗殺凶器、それが「フライング・ギロチン」なのである!
実際、作中では「フライング・ギロチン」ではなく「血滴子の技術」と言われてるので、「ちょっとダサくね……?」と思ったあなたも安心。
『空飛ぶギロチン』という映画のリメイク作である本作は、冒頭十分がめちゃくちゃわくわくする映画で、このままだと映画館からでたあとオモチャ屋コーナーに『鳴る! 叫ぶ! DXフライング・ギロチン』が売られていたら買っちゃうかもしれないほどの出来であった。フライング・ギロチン、名前がめちゃくちゃ弱そうだけど、発動シーンとか妙に格好よくて謎武器としての質はクソ高いんですよね。
予告編の29秒あたりでちらっと見えるんですけど、ククリ刀の内側でキャチャリリリリリリリリリリリ。と回転するフライング・ギロチン。なかなかカッコいいんですよね。ただすげえ残念な話なんですけど、フライング・ギロチンの活躍はその冒頭で終わってしまうんですよ。
そもそもこの映画、「清の歴史の陰に隠れる暗殺集団、血滴子《フライング・ギロチン》が滅ぶまで」を描く架空歴史映画でして。冒頭で格好よく使っていたフライング・ギロチンは、火縄銃と大砲に地位を奪われ(火縄銃に対抗しようと思ったらフライング・ギロチンが届かないというシーンまである)、後半はもはやフライング・ギロチンを使うことなく普通に殺されていく暗殺集団と魅力が死ぬほどないことが唯一の弱点である革命家の死を見つめるだけの映画になっている。俺は観たかったのに。フライング・ギロチンの活躍を……。そんな悲しい映画