イチゴの暖候期前半の管理について
平素は茨城生科研に対し、多くの皆々様から多大なる御支援とご愛顧を賜りまして、誠に有難く厚く御礼を申し上げます。
三月に入り、今までの寒さが嘘のように暖かくなって参りました。
それに合わせて、花粉の飛散も多くなってきて、つらい季節にもなってきました。
さて、今日の本題ですが
「イチゴの暖候期前半の管理について」です。
今年は非常に根張りが弱いので、わき芽が多く暖候期の軟弱徒長や奇形果、小玉果などが予想されます。日長が12時間を超えてくる3月上旬から地温が上がってくる、3月下旬までの管理が暖候期の収量、果実品質に大きく影響します。
例年よりもしっかりとした「保温」「かん水」「追肥」の管理を行い、苗の芯の動きや果実の状態をよく観察しながら適切な管理を行ってください。
栽培管理のポイント!
☆気温は午前20~25℃、午後が25~29℃をキープしてください☆
☆ポリリン酸は植物のエネルギーです。曇天が続いたらリン酸を補給してください☆
・温度管理について
☆12℃以上の夜温は果実の品質低下の原因になります。☆
圃場巡回を行っていると、午後のハウス内温度が低くなっているハウスが非常に多いです。
午後の低温管理は、なり疲れの原因です。午後の温度は25℃をキープするようにしてください。
<温度管理の目安>
早朝~ハウス内が十分明るくなったら、内張りを両サイド全開にして、光を取り入れ地温を確保するようにしてください。
午前中~内張りを全開にしたら、湿度過剰に注意しながら、外張りは全閉のままにして28℃まで上げてから換気を行ってください。
午後~午後は午前中よりやや高い25~30℃で管理してください。温度の下がりすぎには注意してください。
☆陽ざしのあるうちは、ハウス内を20℃以下にしないでください。
夜間~ハウス内は6℃以上を確保するようにしてください。最低気温が5℃以上の日は、前回にしてください。
<暖候期の徒長抑制に>
暖候期に株が伸びすぎて作業が困難になってしまう場合は
☆日長が13時間を超えてくる前に(3月20日頃)を目安に、ビビフルフロアブルを400~600倍で葉面散布すると徒長抑制になります。
※使用については、ビビフルフロアブルの説明書をよく読んでお使いください。
<果実の品質向上と奇形化防止のための葉面散布>
冒頭にも書きましたが、今年は根が少なくわき芽が多く花数が多い傾向にあります。このまま温かくなると軟弱徒長や小玉果、奇形果などが心配されます。
根っこりんの葉面散布で春先の苗の生育バランスを改善しましょう。
根っこりん 300倍+アミノメリット黄 500倍
7~10日おきに2~3回葉面散布してください。
!平均地温が18℃以下の状況では、根からの養分吸収が極端に低下します。気温が上がり始める3月は、気温や日長の影響でイチゴの体内でジベレリンが生成されるので、株は大きくなってきますが、正常な生育に必要な養分は、地温がまで低いので、充分に根から吸収されません。時に、リン酸や微量要素、カルシウムなどは吸収が極端に低下します。春に果実の品質が低下するのはそのためです。リン酸や微量要素を葉面から吸収させて、養分吸収のバランスをうまくとってあげることが、暖候期初期の果実品質向上のポイントです。
<根をしっかり張らせ、なる疲れを防止する液肥管理>
暖候期は、秋に投入した元肥も無くなり、株も大きく果実も一番収穫できる時期です。温度、気温も十分になり、イチゴが一番栄養を必要とする時期です。しっかりと追肥を行ってあげることで、暖候期の品質低下を軽減できます。
窒素はアミノ酸や硝酸態窒素での補給により、食味の向上や先白、先青の軽減になります。リン酸は高エネルギーのポリリン酸での補給が、より地温が低い状況での吸収効率が良く、果実肥大に有効です。
〇液肥施用の目安
低温時のエネルギー補給として、週1回トーシンPK5㎏ をかん水してください。
※果実が細くなって来た時の果実肥大に効果的です。
※エルエス2㎏を混用すると果実肥大にさらに効果的です。
頂部軟質果対策として、月2回トーシンCa2号5㎏ をかん水してください。
※トーシンCa2号は、他の液肥との混用はできませんので注意してください。
果実の食味と棚持ちの向上にホップアップ300倍+カルタス300倍を5~7日おきに定期的に葉面散布してください。