召しませ、ご油断(鬼14×義25)
ヨシの身体の上に跨って顔を見下ろすと、ヨシはやっぱり困った顔のままで俺を見上げている。
「何も、べつに」
今じゃなくたっていいだろ、と言うヨシは、この姿になった俺に抱かれるのはどうにも抵抗があるらしかった。
確かになりは十四、五といったところで、まらもまだ小さい。これでヨシを満足させてやれるかどうかはわからなかったが、それはやってみないとわからないことだ。
奥まで突いてはやれんかもしれないが、浅いところを念入りにいじってやることはできるのだし、ヨシは奥も好きだが浅いところも弱いことを俺は知っている。寸足らずでもきっとちゃんと快くしてやれるだろうという、経験に基づく自負はあった。
ヨシが身も世もなく抱いてくれと言われたら難しいのかもしれないが、ヨシは元々そういうねだりをすることはないし、俺にしてみれば、こんなもんでいいのかと思う程度で十分満足そうにするもんだから、俺はもっともっとヨシにやりたくなってしまう。俺の方が、ヨシよりも、ずっとずっと欲が強いのだ。だから、俺が心配するとすればヨシが満足できるかどうかということよりも、そういう自分を満足させてやれるかどうかというところのほうが大きい。
「悪いようにはしねえよ」
「しねえったって、あんた……抱く気まんまんじゃねえか」
「おう」
「おう、じゃねえよ」
「嫌か?」
「……いや、っつうか、さ……これは、その、さすがに……」
「さすがに何だ」
「子どもに、そういうことさせんのは……抵抗あるだろ、ふつう」
「見てくれだけだから問題ねえだろ、大丈夫だ」
そう言って、渋るヨシの唇に唇を付ければ、やはり眉は下がるが顔は逸らさない。
俺がしたいことをヨシが止めることは、そうない。求められるのにどうにも弱いヨシは、俺を振りほどけない。今の俺はそこにいいだけ付け込んでいるのだ。罪悪感はあまりない。使えるものは全部使ったって、俺はヨシが欲しいし、そう思うことが悪いことだとはこれっぽっちも思わない。ヨシが俺を拒むことがあればそれは尊重しなければならない。
でも俺が思っている以上に、ヨシは俺のことを好いている。
もちろん好きだから何をしてもいいとは思わないし、いくらヨシが俺を好きだと言ったって、ヨシにだって絶対に譲れない線というものはあるはずだ。
だからその線を出してきたなら、俺はきちんと引く。
引く代わりに、そこまでなら許されているのだと確信が持てる。だからいつだって俺はヨシに無理強いはしない。させてくれと、触れさせてくれと、お前ェの線を見せてくれと、ただそう言っているだけだ。
「なりが小さくなっても、お前ェを抱くのは俺だ。それに変わりはねえさ」
だからちゃんといつもみてえに気を張ってねえと、大変なのはお前ェだぞ。
言外にそう言ったつもりだが、ヨシはちゃんとわかっているのだろうか。
いやまあそうだけど……などと言いながらもごもごと歯切れ悪く何かをしゃべり、ついにたまりかねたように顔を逸らした。そのせいで俺が舌なめずりをした顔を、ヨシはあわれなことにすっかり見逃してしまった。
子ども相手だからなのか、いつもよりもずっとゆるゆるとした甘い顔を、他の誰でもない俺に見せてくるのだからたまったもんじゃない。見てくれが子どもになった時はさてどうしたものかと思ったが、これはこれで悪いことばかりではないようだ。
また見たことのないヨシが見られるのだから、楽しみで楽しみで仕方がない。
何でそんな嬉しそうなんだ、と顔を戻したヨシがおずおずと問うたので、笑って「後で教える」と返してやった。