遊牧民族も高層マンションに住むようになった
【質問】
前号の中国人の「家」に対する熱狂の記事を興味深く読みました。素朴な疑問ですが、こうした意識は遊牧民族系の人々も同じですか? そもそも衣食住をめぐって、現在でも漢民族と遊牧民族系の人々との間に大きな違いはあるのでしょうか?
【回答】
確かに、中国は多民族国家であり、例えば、新疆ウイグル、内モンゴルの遊牧民族は自らの生活習慣を守ってきたと思います。しかし、中国政府の少数民族政策によって、文化、観念は知らないうちに変わってしまったかもしれません。政府体制の中に身を置かれている少数民族の人たちは漢民族と同じように暮らしているはずです。
中国共産党指導部は2021年8月27、28の両日、民族政策の中長期方針を定める中央民族工作会議を北京で開いた。「『中華民族共同体意識』を形づくることを民族政策の中心とせよ」「中華民族の利益が最重要」、「中華文化が幹、各民族の文化は枝と葉だ」と強調された。したがって、少数民族の文化と習慣は漢民族への統合が見えてきました。
中国の民族は、生活環境や民族的特徴から見て、農耕民族、遊牧民族、漁猟民族に大別されますが、そのうち農耕民族は、食用の作物を栽培し、比較的安定した生活を送っています。 新疆ウイグル自治区、内モンゴルの少数民族の多くは、かつて遊牧民であったが、近年は徐々に変化し、高層マンションに住むようになってきました。
遊牧民も徐々に落ち着きを取り戻し、根こそぎ奪われたような生活をする必要がなくなり、近代的な住宅に住んでいます。他の地域とあまり変わらないように見えます。 新疆ウイグル自治区の人々の家を訪れたことのある友人によると、彼らのインテリアは、床に絨毯が敷かれ、壁にはタペストリーが掛けられ、より民族的な装飾が施されているという。現代的な家に住んでいても、その習慣は変わらず、リビングの真ん中に小さな四角いテーブルを置いて、みんなで床に座っています。食習慣はミルクティーを飲むなど、少数民族のものが残っています。
漢民族でも遊牧民族でも、同じ社会システムの下で生活している以上、富を求める気持ちや将来の生活への不安は同じです。
新型コロナ以来、若者が「家」に対する意識がちょっと変わりました。一部の若者が「房車旅行」(キャンピングカー旅行)にはまっているのです。新型コロナの予防・対策の常態化を背景に、「公共交通機関を使わない」「自由に旅程を組む」という傾向が顕著になり、「房車旅行」が多くの若者に支持されるようになってきました。
経済成長を背景に、近年、新しいタイプのキャンピングカーの価格が手頃になってきたこともあり、その一方で、消費者のグレードアップや生活・旅行の概念の変化により、若者は率先してそれに近づこうとしています。
複数の要素が組み合わさって、キャンピングカーは庶民の身近な存在となり、新しい旅と暮らしのスタイルとなっているようです。ホワイトカラーの若者の中には、家を売ってキャンピングカーを買い、違う生活を体験するために各地を旅する人もいます。それは新たな「遊牧民族」になるでしょう。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第57話より)