詩歌療法
https://bouoexpress.xyz/2017/06/21/siika/ 【詩歌療法】より
心理臨床の詩歌療法について学習しました。
言葉とは何か?
1.情報交換(記号)としての「ことば」
患者さんから症状を聞く、経過を聞くなど 情報伝達の手段
2.「ことば」の持つ創造性
自分の気持ちを俳句や歌、詩などによって表現
比喩表現もそのひとつ
患者さん「頭が重い」
ドクター「どんな感じですか?」
患者さん「脳みそが水に浸かっていてその中に針が2~3本ある感じ」
ドクター「おおー なるほど なるほど」
→ 比喩的表現によってイメージとして認識できる
3.コミュニオン
親しい者同士(家族や共同体など)において「やあ」「おはよう」「どう?」「おっす」
などのような簡素な表現でも気持ちが通じること
人間の交流における最も基本となるもの コミュニケーションの土台
* 心理療法で主として使われるのは2の創造性と3のコミュニオン
心理療法の基本
患者さん → 心の中を表に出す(なかなか難しい)
ドクター → 心の中に固く閉ざされているものをいかに表に出してもらうか
患者さんに心の中を表に出してもらってはじめて通じ合うことができる
心の固い殻をやわらかくするもの=言葉の創造性(やわらかい言葉)
情報伝達としての言葉=正確性が求められる(かたい言葉)
心理療法の場においてやわらかい言葉でコミュニケーションをとることが有効なことが多い。しかしやわらか過ぎても却って患者や治療者が混乱することもあることに注意が必要である。
治療者はなるべくたくさんの例えや比喩、俳句表現などの知識を持っていたほうが良い。
~ 詩歌療法 ~
詩歌とは→ 自由詩・俳句・短歌・連句など
・詩、ことばのもつ治療的意義
1.詩的な表現は自由である
詩の表現→自由に言葉を並べることができる→人間の心の底にある情動が表現されやすい
2.詩の世界と心の世界の共鳴・共感
聞き手は詩を聞いてその人の心の奥が理解できるようになり
詠み手は自分の心の世界が詩によって表現されることにより心が解放される
3.詩を間に置いてのやりとり
詩を書くときその人は聞き手を想定して書いている→ その聞き手には自分自身も含まれている
患者さんの詩や俳句を治療者が聞くとき共感ばかりではダメ
* 患者さんが心の中のものを表現して、治療者がそれを理解し、それらのやりとりの中で患者さん自身が自分の心の問題点に気づいたり、新たな自分、新しい世界を発見して現実世界で生きて行くことができるようになる。
イメージとしては
患者さんの心の世界 = 海
治療者の現実世界 = 陸
治療者が立つべき位置は海と陸の境目の浜辺が望ましい。
つまり治療者が現実世界の陸にいたままではいつまでも患者の心の奥が分からない。
共感ばかりで患者さんの心の海に入ってしまうとそのまま溺れてしまう。
うつの人Aさんとその友人Bさん
Aさんに共感しすぎるとBさんもうつに
:俳句について:
わずか17文字の表現で長々と話を聞くよりも患者さんの心がよく分かる場合がある。
・言葉の持つ「響き」
・患者さんに声を出して読んでもらう→「調べ」がわかる
・詠んだ後の「しじま」の共有・共感
:俳句療法の利点:
1.安全な枠組みの中で、作りやすい
2.日常の「生きたコミュニケーション」の媒体となる
3.日常的関心の回復が期待できる
4.言葉の回復を助ける
5.葛藤の溶解、情動のカタルシスをもたらす
https://edu.chunichi.co.jp/news/detail/6710 【詩歌療法 心癒やし回復へ 「入門書幅広く使って」 岐阜女子大の小山田教授出版】より
岐阜女子大文化創造学部教授の小山田隆明さん(78)が、詩歌による心理療法の入門書「詩歌に救われた人びと−詩歌療法入門」を出した。「心理臨床の場だけでなく、教育現場やセルフケアのためにも幅広く使ってもらいたい」と話す。(督あかり)
詩歌療法は、詩を読み書きすることで感情を解き放って情緒を安定させ、自分や世界への見方を変えていくもの。日本ではまだ確立されていないが、米国では「ポエトリーセラピー」として、精神医学の治療にも用いられている。
同書では、詩歌療法の技法や、詩歌に触れることで心に変化のあった人などのケースを紹介。例えば、人前でしゃべれなくなった若者が、複数の人が共同して1つの詩を作る「連詩療法」によって回復に向かった過程などを報告している。
「短い詩を付け合うことで、文字によるコミュニケーションが成りたつ。感情の共有を促す作用があり、人間関係の回復につながる」と分析する小山田さん。自身は、小学生のころから詩に興味を持った。ドイツの詩人のカール・ブッセの「山のあなた」がお気に入りだったという。
同書では、悩み苦しむ人に薦める詩の例として茨木のり子さんの「倚(よ)りかからず」など17編を紹介しており、「孤独な心を癒やし、閉ざされた心を開いてもらうきっかけになればうれしい」と話している。発行は風詠社(大阪市)。税抜き1500円。
https://www.ninchisho-forum.com/knowledge/iryou/010.html 【芸術療法とはどのようなもの】より
作品作りで五感を刺激し、脳を活性化させます
芸術療法は絵画療法とも呼ばれ、絵や粘土細工などの表現手段を利用し、精神状態に働きかける治療法です。芸術療法の歴史は古く、1942年にイギリスで始まったとされています。これまでさまざまな疾患の治療に利用されてきましたが、近年では認知症患者のリハビリテーションにも用いられるようになりました。
芸術療法の表現手段は、絵画・粘土細工・陶芸・彫刻・写真・連句・詩歌・俳句・自由画・心理劇・ダンスなど、さまざまです。言葉では表現しにくい情緒や願望、幻想などを自分の好きな方法を通して表現することで、不安を解消したり、感情を解放したりすることができます。
芸術療法では、完成した作品の良し悪しよりも、絵を描き、作品を作るプロセスを楽しむことが重要です。またたとえばりんごを描くならば、現物を見るだけでなく手で触って形を確かめ、香りを嗅ぎ、味わってみるなど五感を使って脳を刺激し、りんごにまつわる昔のことや楽しかったときのことを回想したり話したりすることで、より効果が出やすくなります。
本人の関心のある分野を選んでもらい、自分のペースで作業をしてもらうようにするといいでしょう。
さらに出来上がった作品を鑑賞して周囲が評価し、本人に自信をつけてもらうことも効果的です。
作品作り自体は自宅でもできますが、認知症の人向けに芸術療法のプログラムを取り入れているクリニックや施設などに聞いてみるのもいいでしょう。