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ユッコギ、第二の人生はじまる

2022.03.09 13:13

 令和3年度只見ユネスコエコパーク活動支援補助金を活用してスタートしたユッコギ集めから3カ月がたちました。これまでに2回のワークショップを開催し、3月9日に3回目を開催しました。今回の事業としては一区切りの日となります。今回は29名が参加してくださいました。


2022年3月9日(水)、只見振興センターの和室にて開催しました。原田さんから事業の目標と、今回やってみて分かったことを皆さんに発表しました。

 12月から1月までの間で64本のユッコギやモンペが集まりました。昨日私が預かってきたハカマをいれると65本です。その他に縞生地や絣生地、上っ張り(上に着る服)や着流しやはんてんも譲っていただきました。


頂いた方のお名前を目印として付けて、誰からいつ頂いたのかを記録として残しています。男性用は緑の縞で墨色のような生地、一方女性向けは赤い縞で紺色の生地が多く使われていました。


20年前まではユッコギを仕事着として着る人もまだまだいたようですが、この写真は昭和20~30年代の只見町で撮影された写真です。大倉にいらした行商の方から買った方、黒谷には二軒ほど生地を売る店があったそうです。当時の価格で反物が2,000円、現在だとどのくらいなのかは分かりませんが、安いものではなかったそうです。雪解けから仕事着として使いますが、縫うのは冬の間。現金が手元にない人は、反物を掛け売りしてもらい、春になってからゼンマイなどの収入で支払ったそうです。「正月にゼンマイ作って反物買った」と表現していました。


これまでのワークショップに参加してくださった方には作り直したユッコギなどを持ってきていただき、ユッコギなどを譲ってくださった方々に声をおかけし、皆さんから譲っていただいたユッコギの引継ぎの様子を見ていただきました。


原田さんは身長が高く、昔のユッコギはとても小さいサイズのため、3つのユッコギから生地をとり、リメイクしました。とても素敵です。上のパーカーのファスナー部分には、端切れを縁取りしています。

只見町で山や森、まちなかのガイドをこなしながら農業に汗を流す和子さんは、2着のユッコギを譲り受け、着古したものを作業用にリメイク、そしてもう1着は取り外しができるポケット兼ポーチを付けました。ユッコギはおなか周りがゆったりとしている分、ポケットの位置は難しく、邪魔にならないように工夫して考えたものだそうです。素敵!

講師の三瓶こずえさんは、叶津番所の管理人として、また渓流釣りも大好きな方。今回は型紙づくりからミニユッコギづくり、そしてユッコギのリメイクではそれぞれの参加者にアドバイスをしてくださいました。こずえさんは昔ながらのヒモのユッコギで、カリアゲユッコギではなくダフユッコギ(ブタユッコギという人も)のゆったりしたユッコギをリメイクされました。着慣れているので、違和感なく似合います!

いつもかわいいパン屋さんののんちゃんです。こちらもヒモタイプのユッコギをリメイク。ヒモタイプは外ももの部分が大きく空いているので動きやすく、昔は上着が着物だったので、上着の裾を中に入れて作業をしていたようですが、今の服だと太ももが見えてしまうため、別布をウエスト部分に縫い付けてヒモタイプのまま使うそうです。パン屋さんは育休のため不定期ですが、店頭に立つときはこのユッコギをはきたいということなので、ぜひ来店してユッコギ履いてたら見てみてくださいね。可愛いです!(こみと屋さんはメーデル事務所の向かいにあります!)

只見町に移住して8年になるナカノさん。ユッコギのウエスト部分をリサイズし、ポケットはつけずにポーチを同柄でつくって、その他只見町の人はよく着ている「袖なし」(和服のベストなんでしょうか)を作りました。揃いで着ても、別々に着てもカッコいいですね。ナカノさんは早い段階からイメージが出来上がっていたようでした。カッコいいです。

今関さんはユッコギをそのまま着たいな、とお話しされていて、サイズなどは直さず、腰ひもを肩にかけられるようにリメイクされていました。皆さんリメイクされる際にも、昔の生地の使い方をみて、裁断をなるべくしないで縫い方を工夫されていたことを知り、布を大切に使ってリメイクされていました。

加藤さんは縞のはっきりしたユッコギをリメイクされました。加藤さんもIターンで10年前に只見町に来て、今夏にオープン予定のただみ・ものとくらしのミュージアムに勤務されています。そこでのユニフォームにしたいと参加され、忙しい中参加してくださいました。ヒモタイプのユッコギの脇のスペースに大きなポケットを作られました。とても深いポケットなので、しゃがんだりしても小銭が落ちることがなくて、私的に最高だなと思って見ていました。ぜひミュージアムで着ていただきたいです。

只見町では現在新型コロナウィルスの新規感染は出ていないのですが、例年開催される公民館まつりなどが中止になって、こうした集まりはほとんど行われていません。ユッコギや生地を譲ってくださった皆さんは車を乗り合わせて見に来てくれました。

民宿ふる里のいづみさんは、仕事でお客様の前に立つときにぜひ着たいということで、絣の上着、ユッコギ、前掛けを作りました。絣の上着のほつれを直し、前掛けは生地から新たに作りました。長年着られていた絣の上着は生地が薄くなっていますが、とても柔らかく着心地がよさそうです。いづみさんがいる民宿ふる里には囲炉裏の部屋もあるので、そこで食事したらすごく素敵だろうなと思いながら見ていました。忙しい中でもどんどん縫い進めたいづみさん、すごいです!

三瓶彰治さんは、こずえさんのご主人で同じく縫製の技術を持ち、2つのユッコギをリメイクされました。こちらは半分がユッコギ生地を使い、片方は手ぬぐい生地を縫い合わせてあります。彰治さんは普段からゆったりしたズボンを履いているので違和感が全然ありません。ちなみに昨日の彰治さんは午前中は家具の組み立てをしていました。マルチな技術を持っている彰治さん。写真はこちら↓

ユネスコエコパーク推進係にいる町職員の新国さんも二着リメイクされました。地域おこし協力隊の近藤さんにも履いていただきました。新国さんはユッコギのリサイズをしようと一度ほどいたそうですが、どこを詰めればいいのか解決できず、再度縫い合わせたそうです。近藤さんは役場の上着と合わせていますが、しっくり来ています。明日からこれで出勤してもいいんじゃないかなというくらい似合っていました。

今回のユッコギワークショップには、福島県立博物館から学芸員の山口さんも参加してくださいました。見ているうちに自分もリメイクしたいな、ということで、別布のスナップ式のポケットを作ってこられました。一通り見ていただいた後は、来てくださった方に感想を聞いたり、互いの作品を見て工夫したところを共有していました。なんだか授業参観みたいです。

約1時間半のワークショップの最後に皆さんで集合写真を撮影しました。

懐かしさや苦い思いの詰まったユッコギたち。選ぶことができなかった時代に何度も縫い直して使ったユッコギたち。捨てるには忍びない、持っていても行く先のないユッコギたちは、これから第二の人生がはじまります。

 今朝、ワークショップに来てくれた方が事務所に来てくれました。旦那さんのために縫ったハカマを持って。「きんなはおもしゃがった。声かけてくっちぇ、ありがとう。」

 本事業にご協力いただいた皆さま、思い出とともにユッコギを譲ってくださった皆さま、ワークショップに参加してくださった方々、講師の三瓶さん、ふるさと館田子倉様、会場の只見振興センター、アドバイスをくださった新国さん、昔の話を聞かせてくださった道子ばぁと君子ばぁ。ありがとうございました。