カノッサの道4-第三の男クリュニーのユーグ
2017.11.21 05:36
カノッサ第3のプレーヤーは、クリュニー修道院第6代院長、聖ユーグ。最初はただの修道院だったが、歴代の名院長によって発展し、彼のもとでついに1000のフランチャイズをもつ修道院チェーンにまで発展した。彼はこの力と財力をもってローマに人材を送り、教皇の改革を支援しつづけ、カノッサ、十字軍で重要な役割を果たすのだ。
1049年に院長となるとすぐ、教皇レオ9世は、この修道院チェーン全体を「クリュニー教会」としてそれぞれの修道院を地域司教から独立することを宣言。ユーグは教皇に特権を承認してもらうと同時に、教会改革を下から支援して各地の修道院に指示を送る。各国司教が、国の権力下にあった時代、それから独立したクリュニーは、教皇権独立のための大きな力となった。
そして彼のもとで、本部修道院は第3クリュニーと呼ばれる増築を行い、ますます大きくかつ豪華になってゆく。もちろんグレゴリオ7世のもとで、全司教人事を教会が握ったときには、クリュニー出身の人材が各地に送り込まれたことは言うまでもない。何よりクリュニーは、諸侯の一族の彼岸での安寧を祈る特権を付与されていたので、諸侯に顔がきいたのだ。
そしてまたユーグは、皇帝ハインリヒ4世の洗礼の代父。ということで、皇帝、教皇双方に顔がきくユーグがカノッサのドラマのバランサーを務めることとなる。しかしその後結局2人とも突っ走ることになるのだが。
「カノッサの屈辱」で必ず出る絵ですが、左が聖ユーグ、右はマティルデ。下が皇帝