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“住宅難”のフクロウを救う⁉️愛鳥活動に密着@サントリー天然水の森 きょうと西山

2022.04.08 09:32

長岡京市の中心部にいながら、さまざまな野鳥の姿に触れ、彼らを取り巻く自然の豊かさを実感することができたバードウォッチング体験。 にわかに野鳥や自然への関心を深めた私たちSENSE NAGAOKAKYOメンバーは、さらにディープな世界へと足を踏み入れることに! 

そこは、サントリー〈天然水のビール工場〉京都でおなじみのサントリーが、ビールづくりに欠かせない水資源を育むために環境整備に力を注いでいる「サントリー天然水の森 きょうと西山」。なんと今回、その森を舞台にした「愛鳥活動」の様子を特別に見せていただくことになったのです!

「サントリー天然水の森 きょうと西山」ってどんな所?

(キャプション)西山キャンプ場

「サントリー天然水の森 きょうと西山」の所在地は、西山の一画を占める長岡京市奥海印寺のあたり。人が立ち入ってしまうと愛鳥活動に影響を及ぼしてしまうため、詳しい場所まではお伝えできませんが、ふもとの西代里山公園から徒歩約1時間半の山中にある西山キャンプ場のさらに奥!という本格的な森林ゾーンに位置しています。

この日のミッションは、「ある場所に設置した古くなったフクロウの巣箱を架け替える」というもの。
「天然水の森」活動を推進するサントリーの岩崎さんをはじめ、野鳥の専門家である日本鳥類保護連盟の研究員藤井さんと松永さん、森林整備を担当している地元企業・西田林業の代表西田さんと市嶋さん、西さん、長岡京市農林振興課西山森林整備係技術員の中佐さん、秋山さん、金子さんとともに目的地を目指しました。 

そもそもサントリーが西山で活動を開始したのは、2005年6月に西山森林整備推進協議会を立ち上げた時から。当時、熊本・阿蘇や南アルプスなどでも実施していた「天然水の森」活動の拡大の中で、同協議会の活動の一環として、長岡京市森林組合、長岡京市、サントリーの3者が森林整備協定を結んだのが始まりです。
2022年現在、「天然水の森」は15都府県21カ所、約1万2千ヘクタールにまで広がっています。その面積たるや東京のJR山手線の内側2つ分、もしくは大阪のJR環状線の内側4つ分に匹敵するそうですよ! 

ひと口に「天然水の森」といっても、地域によって森の成り立ちや環境はさまざま。サントリーでは、その土地に最もふさわしい整備のあり方を探るため、ゲットフローズと呼ばれる最新のテクノロジーを駆使し、すべての森の地形、地質、土壌、植生、地下水の流れなどをモデル化。そこに現地調査の測定結果なども盛り込んで森の実体を見える化し、50年後100年後を見据えた森づくりのプランを立てているのだとか!

飲料メーカーのサントリーがなぜそこまで?と不思議に思うかもしれませんが、創業以来、良質の天然水が採れる場所を厳選して蒸溜所や醸造所などを設けてきたサントリーにとって、「水はまさに命そのもの」。雨水を吸収し、何十年もかけてろ過し、清らかな地下水をつくり出してくれる森の自然は、命の水を育むゆりかごのような存在なのです。

フクロウが“住宅難”に直面している西山の森

では、どんな森がおいしい水を育む環境としてベストなのでしょう? 目的地に向かう道中、サントリーの岩崎さんにたずねてみました。

「わかりやすい目安は、土壌の軟らかさ。飛んでも跳ねてもやさしく受け止めてくれるふかふかの土壌は、雨水が染み込みやすく、浄化機能も高いとされています。そのカギを握っているのが土壌の微生物層なのですが、何らかの理由で木々が枯れたり、そこを住処とする昆虫や動物が減ったりすることで生態系のバランスがくずれ、微生物層もやがて機能しなくなります。そうなると、今は問題なく水が得られているとしても、10年先、20年先はどうなるかわからない。だからこそ今、多様な生きものが暮らしやすい森づくりをしなければならないのです」

森づくりの意義がよくわかった一方で、新たな疑問も湧いてきました。微生物層が衰えてしまう前に生態系のバランスの変化をとらえる方法はあるのでしょうか?

(キャプション)平地から山地まで広い範囲で見られるヒヨドリ

「はい、そこで注目するのが野鳥の生態です。野鳥は全般的に環境の変化に敏感で、エサの不足や巣づくりのしづらさを感じた途端、よりよい場所を求めて森を去っていきます。逆にいえば、野鳥の種類や生息数が多く、特に生態系の頂点に位置するワシやタカ、フクロウなどの猛禽類が棲みついている森は、ある程度、生物多様性が保たれていると判断できます。我々は1973年にスタートした愛鳥活動の中でそのことに気づき、2003年以降の『天然水の森』活動へとつなげてきました」

 なるほど!つまり野鳥は「天然水の森」の豊かさを示すバロメーター的な存在なんですね。今回、フクロウの巣箱を交換するということですが、西山の森にフクロウはいる?いない?そのほかの野鳥の顔ぶれも気になります。 

「巣箱の使用状況などからみて、フクロウがいることは間違いありません。ただ、巣箱がなかったらどうだったか…。以前は巣に適したウロのある大木が多く見られたのですが、ナラ枯れの拡大や台風被害によって激減し、フクロウは今“住宅難”に陥っています。それを何とか手助けしようと始めたのが巣箱の設置です。 そのほかの野鳥については、メジロ、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ミソサザイなどの留鳥に、夏鳥、冬鳥も加えると合わせて30種類くらいでしょうか。低層・中層・高層と、鳥の種類によって好みの活動層があるのですが、西山の森は各層の植物がバランスよく分布しているので、いろいろな野鳥が集まりやすい傾向にあります」

フクロウの入居なるか、約7年ぶりの巣箱新調!

「天然水の森」や愛鳥活動について根掘り葉掘り伺っているうちに目的地付近に到着〜!息つく間もなく、新しい巣箱の組み立て作業が始まりました。

材料はすべて、栃木県宇都宮市を拠点に全国的なフクロウの保護活動に取り組む「グラウンドワーク西鬼怒」の代表・長縄充之さんから取り寄せたもの。サントリーではこれまでにも長縄さんの巣箱を30個ほど各地の「天然水の森」に設置してきたそうです。

出来上がった巣箱は、たて40cm×よこ40cm×高さ65cmのビッグサイズ。フクロウ用だけあって、公園などで見かける小鳥用の巣箱とはスケールが違います! これを巣箱が設置してある谷筋まで担いで行き、古いものと架け替えるわけですが…。 

高っ!!旧巣箱が設置されていたのは、地上5メートルほどの幹の途中。周囲に岩などの足場もないため、ハシゴをかけて巣箱の上げ下ろしをするしかありません。メンバー同士の役割分担や作業手順を確認のうえ、慎重に架け替え作業が行われました。

プロ仕様の一本足のハシゴを伝って巣箱の高さまで上り、体と幹をロープでつないで身の安全を確保。別のロープで巣箱を固定したうえで、既存のロープを解いていきます。

新しい巣箱に比べると、かなり老朽化しているのがわかりますね。巣箱には「2014.12.2」と書かれていたので、約7年ぶりの架け替えとなります。落下もせずに7年もよく耐えてきたなぁと、巣箱の頑丈さや設置技術の高さに感心するばかりです。

巣箱の上げ下ろしには滑車の原理を生かしたツールが大活躍。上で巣箱を支える人、下でロープを調節する人との息の合ったチームワークが発揮されていました。ちなみに、幹に巻かれたグレーのトタンには、フクロウのヒナを狙うテンの侵入を防ぐ効果があるそうです。

巣箱の位置が定まったら、多少の風ではびくともしないくらい、強くしっかりとロープで固定。これで新しい巣箱の設置は完了です!中には巣づくりがしやすいようにと木くずも投入済み!手厚いサービスですね〜♪

最後に巣箱が見える位置に取り付けた暗視カメラの作動をチェック。後日データを回収して営巣状況を確認するそうです。

日本鳥類保護連盟の研究員藤井さんによると、フクロウは12月頃から繁殖のための場所探しを始め、3月頃に産卵、4月にヒナがかえり、5月には巣立っていくそう。その間、巣を使うのはもっぱら母鳥とヒナで、父鳥は母子に危険が及ばないように巣の周りで見張り役に徹するんですって! 

そうしたフクロウの生態を踏まえて、見張りに適した木々が周りにあること、樹上の枝が十分に張っている頑丈な木であることなどを条件に巣箱の設置場所を決めているそうです。 

この日参加したメンバーの思いは一つ。「新しい巣箱をフクロウが気に入り、ここから一羽でも多くのヒナが無事に巣立っていきますように!」。フクロウをはじめとした野鳥がのびのびと暮らす生物多様性の高い森を目指して、「天然水の森 きょうと西山」における森林整備活動と愛鳥活動はこれからも続いていきます。

「『天然水の森』活動が継続できるのも、ザ・プレミアムモルツをはじめとするサントリー製品のファンの皆様あってこそ!」と岩崎さん。飲んで応援!はもちろんのこと、長岡京市のふるさと納税で応援できる「京都西山再生プロジェクト」へのご参加も大歓迎です。

ふるさと納税の返礼品「ザ・プレミアムモルツ」、「京都西山再生プロジェクト」について詳しくは市のホームページをご覧くださいね👇


【番外編】「天然水の森 きょうと西山」野鳥ギャラリー

日本鳥類保護連盟からお借りした天然水の森 京都西山で撮影された野鳥写真、ぜひご覧ください。

(キャプション)左上から時計回りにアカゲラ、イカル、ヒヨドリ、エナガ

(キャプション)左上から時計回りにオオルリ、ウソ、カワラヒワ、サンコウチョウ

(キャプション)左上から時計回りにルリビタキ、ホオジロ、メジロ、モズ