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ありがとう。

2022.03.12 09:55

実家の飼い猫のコロが10日に亡くなりました。

同日の夜姉から電話がありました。

私は大学生の途中から家を飛び出した放蕩娘だったのだけれど、11歳の時にうちに貰われてきてから、たくさんかまって、かまいすぎて嫌がられることが大半だった。

たまに帰れば、力いっぱいのハグをして、さらに嫌がられたりもした。

推定22年という、猫にしては大往生。

完全家猫だったし、食べるものにも困らず、病にも付せず、最期を看取ることは出来なかったけれど、安らかに眠ることができたのかなという姿でした。

私が中学にあがるかなくらいの頃に、自転車のカゴに捨てられていたのを拾った方から譲り受けたコロ。

当時、不登校児だった私は、たくさんたくさんお世話になった。

前述のようにあまり好かれなかった私だけれど、コロと同じように、ふらふらのんびり、自宅で時を共にした。

馴れ合わず、癒し合わず、それがすごくありがたかった。


去年の9月に会ったのが最後で、その時に動画も撮っていたけれど、歳を感じない童顔で、子猫みたいな鳴き声で、全然、実感がない。

こういうときに、悲しいアピールをするのは苦手で、悲しみというものを伝染させてしまうのも嫌で、だからなるべく泣きたくないし、ありがとうって言ってにこやかに送りたかったけれど、なかなか、どうしてかな。

遺体をなでなでしたら、ふわふわなのに冷たくて、それまでなんてことなかったのに、涙が出てきて、すごく焦った。

うーん。

私は、まだ、全然なんだなあ。

遺骨を拾って、骨壷にいれた。

父に

「いくつか持っていくか?」

と言われたけれど、バラバラにしてしまうのはよくない気がして、まとめて実家に保管を頼んだ。

一番長く過ごした生き物の死だった。

納骨を終えて、父と姉とごはんを食べに行った。

ペットの死と家族の死は違うと父が言っていた。

家族の喪失感より、ペットの死のほうが少なからず軽かったのだという。

それを、意思疎通の適う相手でなかったからだと父は分析した。

しかし、私は、言語に限定してしまうのはいかがなものかと思った。


祖母が寝たきりで会話の出来なくなった頃、私が高校で描いた絵をベッドで見せたとき、祖母はおおきく首を横に振った。

私は困惑したし、どうしてよいのかわからず、だめ?と聞くばかりだった。

今思えば、心身の痛みや不具合などが重なったのかもしれない。

私は、そういう部分まで思いやる脳の回路もなければ、発想もない子供だった。

甘えていたのかもしれない。

その真相は、祖母が亡くなった今、答え合わせのしようがない。


話は飛躍するが、喪失感の深さは、血縁に準ずるのか。

私には、そうは思えなかったりする。

私自身、より身近な存在の死を体験したことがないので、明確に判断できない。

わからない。

でも、深さとか、広さとか、照らし合わせる必要って、ないのではないかな、と、思っている。

なんで、尺度で測ろうとするのだろう。

わからない。

そして私も、尺度のなかにいるような気がしている。

ぼんやりと焦り、このぼんやり具合が、モノサシ文化に付け入る隙を与えているのだろうなあなんて、うなだれたベッドの上で思考したりする。

よくないのかなと思いながら、

「じゃあ何に対してよくないの?」

と、残された鮮明な自分が声を挙げる。


なんで、飼い猫の前で泣いてはいけない、と顔を隠したのだろう。

負の感情を、どうして、出してはいけないなんて思うんだろう。

人に負を背負わせてしまうかもしれないから?

近くにいた家族のほうがもっとつらいから?

わからない。

わからない。

私は、"怪訝な顔を人に露呈する恐怖"が常にある。

だからこれ以上、私に苦言を呈させないで欲しい。

そんなことを願いながら沈黙を決め込んで、それで理解が及ぶのならこんなことになっていないのだろうと、何十回目かの堂々巡り。

最近へこたれてばかりで、どう考えてもよくないよねってわかっているのに。

すぐに人に対して、

「なんで?」

と思ってしまって、いけないなあ、と思う。

睡眠時間とストレッチの時間、そしてきちんと食事、趣味である調理の時間。

私が私の管理をしないで、果たして誰が私をスムーズに過ごさせてくれるというのだろう。


コロに、いつかさようならになるんだよと教えてもらったんだなと思う。

そう思いたいのに、そう感付く回路はギリギリ残っているのに、確信的電気信号がビビッとこない。

明日もこれが続くのだという謎の仮定に身を飲まれ、頭が熱を放出し切れていない証なんだと、頭ではわかっている。

心が発動しないのは、回路が正当でない証だ。

どこかでショートないし破裂している証だ。

いっそのこと破裂してしまえばよいのに、なかなか、どうして、破ってしまえないまま。

改めて、すこし余暇を残した予定を組もうね、と、自分に言い聞かせる。

ちゃんとしないを、する。