Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 武士と女性たちの「違い」と「融和」をうまく表現したドラマの面白さ

2022.03.15 22:00

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 武士と女性たちの「違い」と「融和」をうまく表現したドラマの面白さ


 毎週水曜日は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について、私の思ったところなどを書いていることを続けている。ここ数回、この大河ドラマに貸しては「兄弟とは何か」ということをうまくテーマにしているのではないか。三谷幸喜氏の作品は、必ずその中に「兄弟」や「家族」といった血縁関係の内容が含まれている。どこかに家族愛などの「絆」があり、その中で、他の人にはわからない「繋がり」や「理解」が入ることが少なくないのである。

今回の鎌倉殿の13人に関しては、そもそも「兄弟」ということが非常に強く問われる。何しろ、兄源頼朝の所に、源氏再興ということで、多くの兄弟が集まる。特に源範頼と、源義経は有名であるが、それ以外にも僧籍に入った人々も集まるのである。源頼朝はその人々に対して、平家が滅びるまでは大いに頼りにし、様々あ言葉をかけるが、自らが幕府を開いてからは、人が変わったように冷たく接する。結局、源範頼も、源義経も、兄源頼朝が殺したようなものなのである。

兄弟や血縁の「愛」と、幕府という「組織」そして「上方と坂東武士」の違いなど、様々な対立の芽が芽生え、その内容をうまく調整付けていることから、逆に兄弟という血縁にそのしわ寄せが全て向かってしまう。もちろんそのことから源頼朝の直系の血筋はすべて滅びてしまい、北条時政・義時による北条執権家(後の得宗家といわれる)が幕府の中心になってしまうのである。

では「兄弟とは何か」ということが、今回のドラマの中に書かれている。兄弟が終結して酒を飲むシーン。正直な所、このような場面がなかったとは言えないので、何とも言いようがないが史実であったかどうかは疑問。しかし、このシーンがあることで、この兄弟が父源義朝は一緒でも、育った環境も母もすべてちがい、この時に初めて会ったような人々だったということになる。現代で言えば生き別れの兄弟が、大人になってから初めて「兄弟」としてあったようなもので、現代の日本であれば「遺産相続」などにありそうな状況になるのではないか。

そのような「複雑な兄弟」がいたことから、ドラマがなかなか面白い展開になってゆくのではないかと思われる。

「鎌倉殿」菅田義経、早くも頼朝と不穏 天才軍略も疎まれ孤立 ネット納得「後の対立予感」

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第10回「根拠なき自信」が13日、放送された。挙兵して鎌倉に入った源頼朝(大泉洋)のもとに駆けつけた弟・源義経(菅田将暉)が、後に平家を壊滅させた桁外れの軍略家の片鱗をみせるも、かなり難ある人物として描かれた。

 天真爛漫な性格で頼朝になついているようだが、頼朝に向かって、平泉を「こちら(鎌倉)とは比べものにならないほど美しい」と話し、苦笑する頼朝がいずれ鎌倉もと言うと「難しいんじゃないですか」と言い切るなど、空気が読めない様子。兄弟が集った場でも、兄源範頼(迫田孝也)に「そちらのは(母親は)遊女でしたよね」と。

 頼朝の妻・北条政子(小池栄子)に会う際には、部屋に飛び込んできて、「私は母と離れて育ち、姉妹もおりません。思い切り甘えてもよろしいのでしょうか」と聞き、突然、政子に膝で横になって膝をなではじめ、周囲を唖然とさせた。

 一方で、佐竹討伐では膠着時に戦況をみて、安全なおとり策や、奇襲を使って、背後の岩場から攻める作戦を考え、頼朝をうならせた。ただし、坂東武者たちへの態度は、実績がないままに怒鳴り散らすなど、不信を買う言動が目立った。

 ネット上も反応し、「軍事の天才だけれど 人望がなくて 孤立していくんよなぁ」「心の赴くままに行動しすぎ」「兄嫁に膝枕とかヤバい」「こりゃあ今後、頼朝と一波乱あるわ!というキャラ」「早くもみな義経を持て余して後の対立を予測させる」「すでに頼朝にやられる伏線」「菅田将暉義経、ますます怖くなってきましたね」「はやくも頼朝と義経が不穏な雰囲気」「もう既に頼朝に消されそうな感じがしちゃう」「疎まれるべくして疎まれる義経」と、後の兄弟の関係を暗示する演出に納得するコメントが相次いだ。

3/14(月) デイリースポーツ

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb762fdbdc1fecc7eda08ee3db0ddc8288206d8e

 私個人としては源範頼の方が頼りになる「総指揮官」という感じではなかったかと思うのであるが、やはり物語としては源義経という人物は注目に値するという感じになる。源義経というのは、先週も書いた通りなのであるが、やはり「天才」というのは、やはり一般の人々とは全く異なるということになる。ある意味で「非常識人」である。その非常識ぶりが、今回は色濃く書かれてきた。頼朝の妻の政子の膝枕をするとか、軍議評定の場で他の人の意見をすべて無視するなど、様々な空気の読めない内容が出てくる。また、既に平家滅亡後の問題で義経の悲劇につながるように、坂東武者の間で孤立化してきている話が出てくるのではないか。源義経を討伐するというようになった時に、義経の肩を持った坂東武士はいなかった。平家と戦っているときは英雄であっても、武士の調和を乱すものは反発されるという、まさに、英雄にありがちな「伏線」をドラマにしているのである。

一方、女性の方もかなり様々な対立がある。

ある意味で源頼朝が、女癖が悪いということになるのであるが、一方で「兄弟」が信じられない、心の中で信用できるのは「身体の関係があった女性」ということになってしまっているのではないか。ある意味で孤独な男性が、女性関係が乱れてしまうことがあるのだが、その内容がそのままここに書いてあるのである。

しかし、そのような頼朝の事情などは全く関係なく、女性は女性の対立が出てくる。もちろん、正妻である北条政子は揺るがない地位があるとして、前妻でありながら、その父が頼朝と対立した伊東祐親である八重や、そもそも漁民の娘で人妻であったものを略奪した亀などは、その地位が不安定であるということになる。特に八重などは、このドラマの中の設定では、自分の態度で親や兄の処分が決まるという状況になってしまっているのであるが、その状況で、亀に頼朝と寝ているところを見せられるという嫌がらせをされてしまう。まさに、そのような「陰湿ないじめ」が女性の中にはでてきてしまっているということになるのである。

このような頼朝の心情と、それを周囲で見ている場合、そして、それを最も近くで見ている北条義時という関係、その内容がなかなか面白いのではないか。全てのキャラクターがうまく際立っていることから、なかなか面白い状態になっているのではないか。