ニュー・シネマ・パラダイス
『マーケティング』ということばを聞いて随分と久しいけれど、その昔シネスイッチ銀座(もしろん今も健在)のマーケティング手法が大きく、この映画<ニューシネマ•パラダイス>とともに印象に残っている。当時自分は高校生で、どこをとっても劣等生で、ぶらぶら映画をみたり、町を歩いたり、駅のベンチで昼寝をしたりとどうしようもなくエネルギーを持て余していた。知識もなく、知恵もなく、只只、TVで流れるままの情報に興奮したり、嫉妬したりしていた。
そんななか、シネスイッチ銀座(の広告)の醸し出す、何とも大人で、おしゃれな雰囲気に興奮したのをよく覚えている。当時もヨーロッパの作品を観る状況は今も変わらずだが、単館のみでの上映し、限られた人(アートや映画好き)のみの楽しみだった。つまり、商業的にどうなのか?といった状態であったであろう。
ところが、シネスイッチ銀座に関してはもうちょっと別の角度での、マーケティングをして、集客をしていたようにおもう。当時はマーケティングなどと言う言葉も一般的ではなく、あくまでも映画と映画館のキャンペーン(広告)をしていたようにおもう。テレビ局とタイアップしてTVコマーチャルを流し、数々の文化人や知識人たちがこぞって、シネスイッチ銀座で鑑賞した映画についてテレビや雑誌で話し、大人で、おしゃれな感じを、大型ロードショーのハリウッド映画とは対照的なイメージを打ち出していた。今思えば、そのマーケティングの手法は、いわゆるハイウッド映画の広告・告知、集客方法となんの違いもないようだけど、そのマーケティングはとってもよかったようにおもう。バブルの絶頂期から、人々が少々、大型バジェットの映画やイベントにも飽きてきたその機微を感じ、マーケティングをしていた。
もちろん当時も、圧倒的な資金力や協賛提供者(社)もいたことも事実だとは思うが、なんとなく、「シネスイッチ銀座に行くのはおしゃれ!」的なブランドイメージが確立されていたようにおもう。
ちなみに、
私も高校生の時、デートでシネスイッチ銀座にいって、
学生料金で二枚チケットを買いましたとさ。