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如月 凛のキラキラDiary

ほぐす

2017.11.23 04:05

本日もfmGIG「お昼にほっこりどーどすか」を
お聞き頂きありがとうございました。

朗読コーナーで読ませていただいた詩は
「ほぐす 吉野弘」でした。

ラジオ番組内でもお話しましたが
これはNHKで放送されてた「この声をきみに」で読まれてた詩なんです。
でも、全文を読まれてなかったのが気になって
調べてしまった・・・というお話。


最終回が放送されて、収録日まで3日しかなかったのが無念。

あのドラマにぴったりの内容だったと思います。

備忘録に、その「ほぐす」全文を掲載しておきます。






「ほぐす」 吉野弘



小包みの紐の結び目をほぐしながら

おもってみる

― 結ぶときより、ほぐすとき

すこしの辛抱が要るようだと

人と人との愛欲の

日々に連ねる熱い結び目も

冷めてからあと、ほぐさねばならないとき

多くのつらい時を費やすように

紐であれ、愛欲であれ、結ぶときは

「結ぶ」とも気づかぬのではないか

ほぐすときになって、はじめて

結んだことに気付くのではないか

だから、別れる二人は、それぞれに

記憶の中の、入りくんだ縺れに手を当て

結び目のどれもが思いのほか固いのを

涙もなしに、なつかしむのではないか

互いのきづなを

あとで断つことになろうなどとは

万に一つも考えていなかった日の幸福の結び目

― その確かな証拠を見つけでもしたように

小包みの紐の結び目って

どうしてこうも固いんだろう、などと

呟きながらほぐした日もあったのを

寒々と、思い出したりして