県営住宅について(予算委員会質疑より)
現在、県内には、公営住宅法の目的に基づいて建設された県営住宅が、143団地、約1万9,000戸ありますが、県営住宅に入居を希望する場合、年4回実施されている空き家の入居募集に申し込み、抽選に当選すると入居ができる流れとなっています。
一方、一般県営住宅の中には、年4回の抽選を待つことなく、入居審査に通れば入居ができる常時募集の団地があります。市原市にある菊間団地が常時募集となっていますが、菊間団地には、菊間第一から菊間第七まであり、その管理戸数は、合計で50棟、総戸数が1,346戸と、県内随一の大規模団地であります。
高度経済成長期に、臨海工業地域で働く人たちの住宅の受け皿として、昭和49年から昭和56年にかけて建設された菊間団地も、建設から半世紀近くたった今では、建物の老朽化と同時に、住民の方々の高齢化も進んでまいりました。
団地の中の、ある棟では半分が空き家になっているのが見受けられるところもあり、治安を心配する声もいただいていることから、空き家の状況について確認しました。
常時募集となっている菊間県営団地の空き家の状況および申し込み状況はどうか?
菊間県営団地については、令和4年1月末現在、改修等のために募集を停止している住戸を除いた1,253戸のうち、336戸が空き家となっており、空き家率は、26.8%となっています。
また、申込み状況は、令和2年度に27世帯、令和3年度は、1月末現在で33世帯の申込みがあったところです。
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バリアフリーによる高齢化への対応
菊間団地に限らず、多くの団地にお住まいの方からいただくご相談として、低層階への住み替えのご相談があります。
入居時には問題がなかった4階や5階までの階段の上り下りも、高齢化や病気等によりだんだんとできなくなり、歩いて数分の病院まで行くのに、時には1時間をかけていかれる方もいらっしゃいます。
今後、さらに高齢者が増えると予想される中、エレベーターの設置が求められることも多くなると思いますが、団地の構造上エレベーターの設置ができない団地には、車いすでも1階の住居にアクセスできるよう、スロープを設置するなどのバリアフリー化の強化が必要です。
高齢化への取り組みについて伺いました。
入居者の高齢化に対応するため、県ではどのように取り組んでいくのか?
既存住宅については、床段差の解消、玄関・浴室・便所等への手すりの設置などのバリアフリー化改修を行っています。
また、建替えを含む新築住宅では、さらにエレベーターや、住棟の1階部分に車いすに対応するためのスロープの設置などを行っています。
今後とも、これら住宅のバリアフリー化を進めるとともに、階段の昇り降りの少ない低層階等への住み替えなどにより、入居者の高齢化に対応してまいります。
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入居しやすい環境整備の必要性
高齢化が進展するとともに新型コロナウイルス感染症の影響による経済への打撃など、社会情勢が変化している中、高齢者や障がいのある方、生活困窮者といった社会的に弱い立場の方々にとって、安い家賃で住まいを借りられる県営住宅のニーズは、今後も高まるものと思われます。
収入的な入居要件はクリアしたとしても、階段の上り下りがネックになったり、入居時にかかる浴槽設置の費用が用意できなかったり等の理由で、入居申込を躊躇する方もいらっしゃいます。
老朽化や不十分な居住環境といった県営住宅の課題についてしっかりと対策を行い、社会的に弱い立場の方々が、施設面や経済面の不安がなく、安心して入居しやすくする取り組みが必要ではないでしょうか。
さらには、団地内の空き地や空き部屋を民間に貸し出すなど、弾力的な運用をおこなうことで、活力ある団地への転換が求められることから、入居しやすい環境整備について県の見解を伺いました。
県営住宅に入居しやすい環境の整備を行い、入居率の向上につなげるべきと考えるがどうか?
空き家が多い団地については、入居を希望する世帯のうち、単身者世帯の割合が増加していることを踏まえて、令和2年8月に要領を改正し、単身入居が可能な住戸数を増やしたところです。
また、令和3年2月から、市町村が民間事業者と連携し、移動販売等で買物弱者への支援を行う場合には、県営住宅の敷地利用を承認しており、地域の日常生活の利便性向上やコミュニティの活性化とともに、入居率の向上にも繋がるものと考えています。
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スクラップ&ビルドによる再編整備
またさらに、空き家が多いと景観を損なうだけでなく、安全性や自治会の運営等にも支障をきたします。入居率の向上に努めることは重要ですが、老朽化した団地の選択と集中を行うことも必要です。菊間団地の場合、将来的に50棟全てを残すのか、それとも今後の入居状況を見据え、老朽化への対応やバリアフリー化を施した棟を残して、それ以外は取り壊すのか、抜本的な見直しの検討も必要と考え、県の方針を伺いました。
千葉県県営住宅長寿命化計画より
菊間県営団地の再編整備について、県はどのように考えるのか?
「千葉県県営住宅長寿命化計画」において、原則として耐用年限までの活用を図ることとしており、計画期間としている令和9年度までは、住戸内の設備更新やバリアフリー化を行います。
また、中長期的には、地域の需要動向や周辺環境、地域性を踏まえた集約・再編を検討することとしており、これにより、管理戸数の適正化を図ってまいります。
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令和元年2月議会において、空き家率に関する同様の質問をした際には、空き家率が20.7%でしたので、この3年間で空き家率が6.1ポイント上昇したことが分かりました。また、空き家に対する募集の割合は、毎年1割程度にとどまるとのことで、入居率向上に向けた取り組みが求められます。
市町村と民間事業者が連携するといった条件を満たせば、県営住宅の敷地利用も可能であるとの答弁がありました。団地の活性化と利便性向上のためにも、県営住宅の敷地が活用できるということを、市町村に周知・徹底していただくよう要望するとともに、高齢化への対応については、既存の住宅についてもバリアフリー化を進めていただくよう重ねて要望しました。
【参考資料】