世紀末にやってきた、写真の未曾有の転換点
2022.03.18 02:26
わが国全体にとって、バブル経済の沸騰から崩壊、
函館にとっても、北洋漁業の終焉や、連絡船の時代から飛行機の時代へとシフトした
昭和と平成の境目あたりが大きな転換点となったようだが、
写真の世界では、ミレニアムとその翌年の
20世紀から21世紀へと移るあたりが、未曾有の転換点となったと言えそうだ。
デジタルカメラが出現し、
長らく写真の世界を支えてきた銀塩時代が、
最初は緩やかに、やがて急速にフェードアウトへと向かう。
星野勲さんの『平成函館忘れない』の序文には、
そのころのことが書かれている。
一部を紹介すると次の通り。
平成12(2000)年、市民会館へ成人式のスナップを撮りに行った時のことである。新成人から、「おじさん、シャッターを切って」と言われ渡されたカメラは、何とデジタルカメラだった。
使い方が分からずまごまごしていると、「おじさん、これデジカメですよ」とすっかりバカにされてしまった。畜生、おれは何十年も写真をやっているんだ、と思ってもどうにもならない。それからすぐニコンの200万画素のカメラを買ってデジタル写真を始めた。
撮った上がりをすぐに見られるのは便利だが、当時、メモリーカードはかなり高価だったから、フィルムの方が安上がりであった。
しかし、新成人のおかげで人より早くデジタルの世界に入ることができた。今ではとても感謝している。