本田伝承館と浜松餃子で職人の聡明叡智
今や国民病とも言われる花粉症だが、昔はアレルギー性鼻炎と言われていた。いや、今も言われてるんだけどさ、花粉症があまりにも一般大衆に認知されちゃったもんだから、花粉等によるアレルギー反応で発症するくしゃみ鼻水鼻づまりのことが、花粉以外に反応する症例でも花粉症と言われるようになっちゃったみたいだな。とにかく、その花粉症には何十年も悩まされていて、あれこれやってみたけど結局治らないから、あとは時期になったら薬飲め、それが最良の対処量ほんと結論づけられてた。で、そんな悩ましい春を繰り返すこと幾年や、ここ何年か落ち着いてた。これも皮膚科のお嬢様先生に処方されている抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤を365日24時間服用していたからなのかどうかはわからないが、とにかく、ここ何年か落ち着いてた。それで油断しちゃったんだろう、今年の花粉はスゴイ今年の花粉はスゴイと小学生みたいな表現しかできない日本語力の低下も嘆かわしいなどと言ってたら、某イベントに参加するために香嵐渓に行った帰り道、それが突然始まった。それというのは、もちろん花粉症だ。もうね、凄まじいくらいの連発のくしゃみが炸裂してスターマイン並みの豪華絢爛、あっという間にボックスティッシュは底を尽き、タラタラと滴り落ちる鼻水をハンカチで拭うしかないのであった。これは紛れもなく、山間部に拡散するスギ花粉にモロに反応しちゃったようで、今年の花粉はスゴイから、これまでみたいなわけにいかんかったのだろう。処方された抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤の敗北であった。あまりにも酷い有様に、まっちゃんが「大学病院で非合法に手に入れた強力な抗アレルギー剤があったでしょ、飲みなさい」と言われ、そうだ! そうだった! 強力な切り札があったぜ! 闇医者からもらった強力な非合法な抗アレルギー剤があったのだ! と勝利の雄叫びと共に、処方薬の白い紙袋を見たら、中に入ってたのは神経性疼痛抗炎症剤だった。げ、これって帯状疱疹の後遺症で痛い時に飲む薬じゃん。あまりにも強い薬だから、飲みすぎると脳に異常をきたすんだ。いやもう異常をきたしてるから問題ないけどってほっとけ。そいう話でなくて、肝心の強力なチョー強力な抗アレルギー剤がないのだ! 万事休す。まっちゃんに、ちゃんと薬はしまっときなさいって言ったでしょ! と怒られつつ、鼻水ダラダラにしながらヒーヒー泣いてたら、あまりにも哀れだったのか、まっちゃんが、夜も遅くにスギ薬局に行って、アレルギー性鼻炎対抗市販薬最強の日本医学薬学協会アンケートで89%の医師が一番オススメと答えた薬を買ってきてくれたので、それを飲んだらなんとか治った。あー酷い目にあった。くそ、どうしてくれようか、そうだツーリングに行こう。ということで、ツーリングに行くことにした。
どうだ、今回は短くまとめだぞ。
さて、当日、朝早く起きるつもりが、寝坊しちゃった。慌てていろいろやるべきことをやって、超特急で出発準備、ここ何日は春の陽気だったのだが、今週末は冬に戻るらしいので、しっかり冬装備で、実家新型ガレージから旗艦CB1300SFライアン・ストーン号を引っ張り出す。久しぶりなんでバッテリー充電バッチリ、空気圧もチェック、完璧だ。チェーン給油忘れたけどな。よし、出撃だ!
まずはガソリンだ。いつものコスモ石油に行くと、いつもの給油機の前にとめて給油開始する。いつもの割引ルーチンを繰り返して、今日は1円引き+3円引きで156円だ。全国的に高騰してるガソリン価格だが、この地域はなんとか踏ん張ってる感じだな。大事に使わせていただきます。では出発する。
来た道を戻って瀬戸方面に向かう。週末は冬に戻るの予報通り、冬装備で正解の寒気だった。準備してる時はこんなに防寒装備してたら暑くなるんじゃないかと思ったけど、この時間帯でこの冬装備でちょっと寒いくらいだからな。暑くなったら脱げばいいからそのためのレイヤードだぜ。さて、こんなマジな装備できたのは今日の目的地がガチで距離があるからなのだ。そうなのだ。今日の目的地は、あの本田宗一郎伝承館だ。なんせ、花粉症で山に行けないから、やっと凍結塩カルの心配無くなったけど、やっぱり山の方に行けないから、結局、平野部で走るしかないので、行き先が知多半島か、蒲郡か、あるいは伊勢志摩か、浜松か、選択肢がそれくらいしか考えれんかったもんで、これではいかんと、ネットで情報を漁ったら、見つけたのが本田宗一郎伝承館だった。しかし、距離がちょっと遠いもんで、なかなか行けんかった。で、今回ようやく行くことにしたのだ。いや、距離と言っても実測では高山の方がよっぽど遠いけど、道路事情を考えると時間かかるんだ。だから、手っ取り早く距離が稼げるところを選んじゃってたけど、それではいかん、安易な手法に安住するべからず、と、ショートショートの神、日本SF界を小松左京先生と共に牽引してきた星新一先生のお言葉を教訓として決断したんだ。今日はやってやるぜの勢いで、国道155号線から国道248号線をガンガン走っていくのだった。ガンガンと言っても、連休なんで車が多いから、ガンガンとは行けんけど、カンカンくらいかな。
さて、瀬戸から豊田岡崎と走っていく。道中はバイクが多い。誰も考えることは同じで雨後の筍のようにウヨウヨ湧いてきてるな。このところ気温上昇して、バイクにそろそろ走り出してもいいんじゃないかと思ったわけだな。250クラスのSSや、今流行りのアメリカン風クルーザー、ハーレーと多種多様に行き来してる。いっときよく見かけたアドベンチャータイプは今日はあまり走ってないな。
途中で、冷え込みがキツくなってきた。やっぱり走っていると体感温度が下がるのだ。こういう時のための電熱ベストだ。寒かったらスイッチオン、暑くなったらスイッチオフと切り替えることで柔軟に対応できる。寒くなったのでスイッチオンする。すぐに暖かくなってきて、ポカポカ陽気な春が来たぜ。よし、調子良く走っていこう。国道1号線をかっ飛ばす。ジョーには気をつけよう。
こうして道の駅藤川までやってきた。バイク駐輪場に行ったら、びっくりするくらいのバイクが止まってた。10台20台くらい止まってた。所狭しと止まってた。いつも貸切状態なのに、びっくりだ。どうやらマスツーリングの集合場所にしてたみたいで、ライダーが何人も喋ってた。お互いのバイクの評論に盛り上がってた。スマホでルートを確認して、早々に引き上げるぜ。道の駅を脱出した。
そこからのルートは、山を避けたいので浜名湖をまわって国道152号線で浜北に行くつもりだった。大回りだけど、山に入ったら花粉が怖いからな。このペースで行ければ大丈夫のはずだ。しかし予定は未定である。御油あたりまで来て、だんだん流れが悪くなってきた。国道1号線は平日は業務車両で渋滞することが多いけど、休日に渋滞することなんぞあまりないから、これは何事か、やはり連休で行楽客が多いのか。行楽ってどこへ行くのだ。豊川稲荷か、鳳来寺か、にしてもここから渋滞はおかしいだろ、単なる交通集中により渋滞か。おそらくそれだ。うぬぬ、これは計算外だ。動いては止まり、動いては止まりを繰り返し、先の方に見えてきたのは回転する赤いパトライトだった。あらら、事故だった。やってくれたな。ミニバンと軽自動車が見事にぶつかってた。警官が何人も交通誘導してた。そいいうことだよ、事故のせいで一車線塞がってるから大渋滞だよ。これ毎回思うんだけど、さっさと車を退かせないのかな。自走できないくらい損傷してるわけじゃないのは一目瞭然、だったらさっさと移動させればこんなふうにみんな迷惑被らんのだが。凡人にはわからない事情があるのだろうか。
渋滞を抜けたが、この時間ロスは大きい。もはやコメダ珈琲もマクドナルドも寄ってる時間はない。それどころか、浜名湖を経由してたら、完全に時間超過だ。急速に接近する短縮ルート、すなわち本宮山トンネル経由奥浜名湖回りルートへの分岐点に、即決せねばならん。もはや花粉症にビビってはおれん。本宮山トンネルに舵を切った。
そこから浜松に向かって走っていく。新城方面に曲がってしまうことが多いので、この道を浜松まで走るのは何年振りだろう。天気がいいので田園風景を走り抜けるこのルートは気持ちがいい。本宮山トンネルを抜けて静岡側に出ると、みかん畑の見下ろせる風光明媚な世界が広がっていた。これまでタラタラ国道ばかり走ってきたので、ここへきて快走できるのは本当に気持ちい。どこかで写真でも撮りたいくらいキレイな風景が流れていくのだが、気持ちよく流しちゃてるので止まることもできないでどんどん進んでいってしまった。しかし、どこかで止まってルートを確認しなければ。ずいぶん前に寄った記憶のあるセブンイレブンは潰れて、今流行りのフィットネスクラブになってた。そこからしばらく走ったら、セブンイレブンがまたあったので、そこに止まって水分補給、スマホでルートを調べる。時間的に、先に昼飯にしないといけないようだ。今日の昼飯は、ここ浜松に来たら食うべきものはアレしかない。さわやかのハンバーグか、石松の浜松餃子だ。ルート上に両方あるので、どっちか入れそうな方に行こう。Googleマップのルートを脳内ナビにインプットして出発した。
でも、すぐにわからなくなった。途中で止まってもう一度Googleマップをチェックしたら、曲がるところを曲がらなかったので行き過ぎたみたい。うーむ、土地勘がないところでは苦労するけど、これって刺激的でいいよね。再び走り出して、新しいルートで進む。途中、さわやかハンバーグの店があったが、開店1時間くらい前にもかかわらず、駐車場満車で、入口には長い長い行列ができてた。こりゃダメだ。餃子にしよう。さらにどんどん進む。で、こんなに来て大丈夫なのか。また行き過ぎたんじゃないのか。心配になってきた。いよいよ、やばいかな、もう一回Googleマップを確認した方がいいかな、と思ったときに、目印のナンタラ研究所が現れた。そこを曲がって、さらに目印のコンビニがあったのでそこも曲がって、そしたら急降下のジェットコースターのような坂道を降りて、その先に和食さと、はま寿司、しろくま珈琲店があった。石松餃子はどこだ! この近くのはずだ! しかし、時間を見るとすでに開店時間を過ぎていた。あの人気店の石松餃子、開店と同時に満員御礼になるのは火を見るより明らかだ。もうダメなのかもしれない。そうだ、初めて石松餃子に行った時のように、満員御礼で何十時間も待つ羽目になるのか。流石にそれは無理だ。今日は待つ時間がない。満員御礼では諦めるしかない。くそ。もういくのやめようかな。が、しかし、あの有名な名言が脳裏をよぎるのだった。あきらめたらそこで試合終了ですよ。そしてあまり有名ではないけど好きな言葉が脳裏をよぎるのだった。あきらめるなよ、戦場ではあきらめなかったものだけが生き残るんだ。勇気が湧いてきたので、前向きに走っていくと、ちょっと離れたところに石松餃子の巨大な本店が出現したのだった。
駐車場に入ると広大だった。さすが本店だ。初めて行ったのは支店だったから小さかった。ここはでかい。さすが本店はデカい。東京ドーム10個分の大きさがあるぞ(個人の感想です)
バイクを止めて、お店に行くと、受付の発券機に列ができていたので並んで待った。順番が回ってきたので入力して券を持って待つ。順調に呼ばれているので、意外に早そうだなと思ってら、まさしくその通りで、10分も待たないうちに呼ばれた。で、カウンター席に案内されたので、速攻で石松定食10個を注文した。待ちながら店内を見ていると、店員さんが職人のフォーメーションで次から次へと押し寄せる群衆のような客を捌いていくのだった。1分間に120人のペースで捌いてた(個人の感想です)素晴らしい。この完璧なフォーメーションが石松餃子の真髄なのか。と、視線を変えると厨房が見えるので、見てたら、料理人さんが職人のフォーメーションで餃子を焼きまくっていた。1分間に120個のペースで焼いてた(個人の感想です)素晴らしい。この完璧なフォーメーションが石松餃子の真髄なのか。感心してたら石松定食がきた。いいにおいしてるよ。早速食うよ。デラうまいじゃんうまいうますぐる。やはり浜松餃子の頂点を極めるのは石松餃子だった。ガツガツ食って満足したのだった。正直、2回目ってのは最初の感動がない分、意外にがっかりだったりするけど、この餃子は本物だから、やはりめちゃくちゃうまいよ。感動的だった。さあ、次行こうか。
次はいよいよ本田宗一郎伝承館に行くぞ。Googleマップで再度ルートを確認して出発した。国道152号線を走って、何箇所か曲がって、橋を渡った。橋の反対車線は長い長い渋滞になってた。Googleマップでもこの辺りは渋滞がひどいですよとアナウンスされてたからな。橋の前後は渋滞がつきものだから帰り道は考えないとな。そして、目印のコンビニを求めて進むのだが、一向にコンビニが見当たらない。どうにもこれはおかしいと思った頃には、全然違うところまできてた。国道152号線バイパスに出て、巨大な橋、飛龍橋を渡り、元の道に戻った。もう一度、同じようなルートを進んで、駅前で一旦止まった。ここは冷静に対処しないとな。Googleマップを確認すると、コンビニよりナンタラ工務店の方がわかりやすいというか、確か、あったぞそれ。全然、橋を渡ってすぐだよ。よし、もう一度行こう、今度は間違えないぞ。
走り出して、橋を渡ると、あっさり工務店が見つかり、そこを曲がってほとんど住宅地の中を走っていくと、ひょっこりと本田宗一郎伝承館があった。駐輪場にバイクを止める。建物を見上げて感無量だ。ここが、我がHONDA、最強HONDAの真髄を生み出した、まさしく、HONDAの魂。ソウルオブHONDAの全てがあるのか。よし、決意して中に入ってみる。
入ったら、想像以上に狭くて想像以上にDIYな展示場だった。入って右手に、5台か6台くらいのHONDAの旧車が並んでた。中央には歴代モンキーが並んでた。そこに昔、乗ってたモンキーバハがあったんでテンションアゲアゲ。しかも初期型の同じカラーのモンキー。うほほうほほーい。オレ様のモンキーが並んでるぜ!(編集部注;あなたのではありません)やっぱり、モンキーバハ、格好良かったな。1回を十分見たら、2階に行った。木製のモンキーや本田宗一郎の設計道具が展示されてた。
念願の本田宗一郎伝承館を見終えて、バイクに戻った。駐輪場には何台もバイクが止まってた。が、しかし、HONDAのバイクは自分のを含めて2台だけだった。なんだかなあ。HONDAの聖地みたいなところを想像してたんだけど、ちょっと違ってた。浜松市もHONDAも協力なしなんだろうか。あの本田宗一郎の記念館なんだから、本田宗一郎のものつくりを伝承するってんだから、もうちょっと本田宗一郎の職人たるところをクローズアップするとか、もうちょっとがんばってほしいです。でもモンキーバハがあったから良かったです。
では帰ろう。予定より大幅に時間超過してる。帰りをどうするか。考えながら走っていくと、またしても道がわからんくなった。さっき走った、飛龍橋に出るルートを走ってるつもりだったが、どこかで間違えたみたいで、なんだか狐を化かされているような、何度も同じところを回ってるみたいで、困った。いやー、ここ何年かロングツーリングに行ってないから、土地勘なしの道の走り方を忘れちまったな。いやー、しかし、こういう初めての道の刺激はサイコーだよ。面白い。実におもしろい。
結局、コンビニでもう一回(何度目だナウシカ)Googleマップを見て、この忌まわしきゴダールの迷路から、ようやく脱出した。そして、帰還のための切り札、高速道路で帰ることにした。浜松北のインターから新東名高速道路に入った。ここまでストレス溜まってたHONDA最強のインラインフォアが全開バリバリ、HONDA DNA炸裂、吠えるエグゾースト、唸るカムシャフト! 新東名上限速度でぶっ飛ばす。超音速で走っていくと、後ろから現れたのはBMW M3だった。凄まじい追い上げ、さすがヨーロッパアウトバーンで鍛えられたマシーンだぜ。だが最強はHONDAであることを教えてやるぜ、いくぜ(以下略)次に現れたのはBMWのSSの2台組だった。凄まじい追い上げ、さすがヨーロッパアウトバーンで鍛えられたマシーンだぜ。だが最強はHONDAであることを教えてやるぜ、いくぜ(以下略)
こうして無事、うちに帰ってきた。
帰ってきたら鼻水タラタラだった。
本日の出費
ゆずレモン 140円
石松餃子 1000円
本日のCB1300SFの走行距離 270キロ
累計のCB1300SFの走行距離 35000キロ超えた