観光庁「看板商品創出事業」はユニバーサルツーリズムで選定される提案へ!①
3/18、観光庁より「看板商品創出事業」(事業規模100億円)の公募が開始され、専用ポータルサイトが公開されました。
昨年度の「誘客多角化事業」、今年度の「域内連携事業」に続く事業で、広く全国の観光の復興を支援する内容です。いずれも全国から数千件の応募がありましたが、選定されたのはその中から400〜500件で、提出すれば必ず選ばれるというものではありません。
本事業の提案に「ユニバーサルツーリズム」(以下UT)の考え方が有効なことを解説させていただきますので、是非各地域で自治体、観光協会、DMO等と連携し、観光の復興と共にUTの推進を検討してみてください。
※事前に上記リンクより【公募要領】【様式1〜3(提案書、提案書記入例等)】をダウンロードし、ご用意ください。
まずUTが重要と言える一番の理由は、
地域の「看板商品」は誰もが楽しめたほうが良い(UT)に決まっている!
ということです。
その考え方で以下【公募要領】からポイントを絞って解説いたします。
重要なのことはUTを提案のメインに置く必要はなく、地域で提案を考えているコンテンツにユニバーサルツーリズム対応を加えることが、他の地域の提案との差別化につながるという考え方です。
P.1 本事業の目的
・・・地方公共団体、DMO、民間事業者等の地域の関係者が連携して実施する自然、食、歴史・文化・芸術、生業、交通等の・・・
⇒自然、食、歴史・文化・芸術、生業、交通等どのようなテーマも「誰もが楽しめる〇〇」とするとUT受入れ対応となります。
P.3 補助対象事業者及び補助内容
本補助金には、「一般型」、「文化資源連携型」の二類型があります。
文化資源連携型については、P.11〜13にA〜Gの区分ごとに解説されています。
「一般型」は文化資源連携型以外が該当します。
文化資源とUTは相反すると思われがちですが、そんなことはありません。
A:先端技術を活用した文化財の魅力発信に係る事業
⇒今年度、高知県で実施したバリアフリーオンラインツアーでの分身ロボット「OriHime」の活用などを文化資源に置き換えると先端技術を活用した文化資源UT対応となります。
B:地域ゆかりの文化資源を活用した展示・発信に係る事業
・・・当該地域の歴史・文化・風土等を効果的・魅力的に展示・発信することで文化資源の付加価値を高める取組みであること。
⇒「誰もが楽しめるよう効果的・魅力的な展示や発信」に置き換えると、UT受入れ対応となり付加価値につながります。
C:食文化に係る事業
食文化を活用した観光を通じ、地域の活性化・・・
⇒食を中心に考えている地域では、メインの食コンテンツの「アレルギー対応」「刻み食等のバリアフリー対応」「ハラール等の訪日対応」をプラスして提案が考えられます。
D:Living History(文化財の活きた歴史体感)に係る事業
来訪者が文化財の魅力を体感・体験することができる事業であること。
⇒ここも「誰もが魅力を体感・体験」と置き換えて考えることでUT受入れ対応となります。
E:日本遺産に係る事業
⇒上記リンクを参照いただくと全国で104のストーリーが日本遺産に認定されています。日本遺産✕UTは下記リンクを参照ください、具体的な提案書もリンクを貼って公開しています。
F:文化資源の多言語解説整備に係る事業
⇒インバウンドを対象とした言語に関わるものですが、この対応と同時に聴覚障がい者向け解説、視覚障がい者向け音声情報等も加えると、UT対応として提案が可能です。
G:文化資源の高付加価値化に係る事業
・文化施設を貸し切った特別解説ツアー
・職人や通訳案内士からの特別解説を受けながら・・・
⇒普段込み合う文化施設も貸し切りだからプラスUT対応も可能になります。バリアフリー専用の貸し切りではなく、「障がいのある方もどうぞ」という受入れ整備です。
Eの日本遺産の提案書の2ページ目国立能楽堂での視覚障がい者向けタッチツアーを参照ください。
P.4 (3)補助対象経費
具体的にどのようなことが本事業を通じて提案できるかを解説します。
①観光資源を活用したコンテンツの造成に係る経費
・ワークショップ、協議会等の開催⇒メインコンテンツのUT受入れ対応ワークショップ、フィールドワークなど
・地域事業者や地域住民に対するセミナーの開催⇒メインコンテンツに紐づくUTセミナーなど
※一般的なバリアフリーセミナーではなく、あくまでも地域が提案しようとするメインコンテンツに紐づけることが重要です。
・専門家からの意見聴取⇒UT受入れ対応アドバイスなど
・造成したコンテンツに関するモニターツアーの開催⇒一般客のモニターツアーに加えて、障がい者当事者(車いすYouTuber等)のモニターツアーなど
P.7 (2)選定の観点
選定されるためには他の提案との差別化が重要で、観光庁も推進するUTはまだ取組む自治体が少ないためにプラスαの提案でも十分差別化が図れますし、これが地域のユニバーサルツーリズム推進のきっかけにつながります。
①持続可能な観光地域づくりへの寄与
②独自性・新規性
⇒審査基準の中でも①②にUTは有効です。③具体性・計画性、④実施体制・持続性、⑤収益性は差別化が図りにくいポイントです。
特に、「文化資源連携型」の様式1の提案書には「持続可能な観光地域づくりへの寄与」の項目があり
※造成する看板商品がどのように「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりに寄与するのか記載すること
と書かれています。
高齢化が加速する地域において、「住んでよし、訪れてよし」は地域の高齢者にも対応したユニバーサルツーリズム対応は必須といえます。
<応募に際して>
①地域での連携を
この事業は、全国にある「障がい者・高齢者の旅行相談窓口」が単独で手を挙げることはできません。実施主体となる自治体、観光協会、DMO等にUT対応のアドバイスとして関わることで、地域の観光関係者との連携が深まり、地域のUT推進に貢献することができます。
観光事業者との関係構築を目的として参画されると良いと思います。
②まずは市町村観光課、観光協会、DMOに確認を
自治体の観光課はこの事業のことはすでに知っているはずです。そして全国の旅行会社や観光事業者も一斉に動き出していると思われます。
まずは、皆さまの地域でこの事業に手を挙げようとされているかの確認をします。
現時点で、この情報を知らない、手を挙げる予定はないというところはそれ以上関わる必要はないと思います。
③参画を検討している地域には
軸となるコンテンツ(自然、食、歴史・文化・月術、生業、交通等のいずれか)にユニバーサルツーリズム対応の検討を提案されると良いです。
このHPのURLをご担当者に送られると口頭で説明しなくても良いかもしれません。
「詳しい話を聞きたい」となったら、必要に応じてアドバイスもさせていただきます。
<office FUCHI 〜オフィス・フチ〜でお手伝いできること>
・なぜお手伝いできるのか?
昨年度の「誘客多角化事業」では、高知県物部川DMO「ユニバーサルビーチ」、千葉県船橋市観光協会「パークツーリズム」にUTアドバイザーとして携わりました。
今年度の「域内連携事業」では、長野県富士見町・諏訪市「ユニバーサルフィールド・ユニバーサル温泉」に携わりました。
など、上記補助対象経費に含まれる項目のいくつかを担うことができます。