銀座考
2022.03.20 05:58
日本全国、銀座の名の付く所は少なくない。
温泉街熱海に熱海銀座、白壁蔵の町倉吉に倉吉銀座、
挙げていけばキリがない。
町並みが東京銀座と似ているというより、
東京でいう銀座にあたる中心街。
ローカル色が色濃くにじみ、
それぞれの繁栄の歴史や「かたち」を物語る。
私が函館に来た10年ほど前は、
市内に「銀座」の名の付いた所は2つあった。
1つは、大門のはずれの「函館銀座」。
「雑居ビル」ならぬ「雑居アパート」みたいな木造。
大門賑やかなりしころ、そこに飲み屋がひしめいていた名残である。
「銀座」の名前は、失礼ながらさしずめ「東京銀座にあやかった夜の店」。
銀座とは、似ざるで非なる、といったあたりか。
見たところ全店撤退と思われたが、夜中に明かりが灯り驚いた。
ある人から、そんな写真は撮らない方がいいと言われたが、
建物も解体されて今はないので、まあいいか。
もう1つは、十字街の電停から南南東に延びる「銀座通り」。
モダンな洋風耐火建築の並ぶ通りで、
大正時代に形成された、流行の先端を行くカフェ街だった。
当時の函館は、札幌や仙台よりも大きい、北日本一の大都会。
賑わいも洒落たセンスも、東京銀座に匹敵するほどだったという。
今もなお、その面影を留めている。
令和の今、地方の町からローカル色は薄まって、
「頑張って都会を真似よう」の感、なきにしもあらず。