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「食は体を養い、歌は心を養う。」

2022.03.22 14:08

中国の南西部・貴州省に暮らす少数民族、トン族は、「歌の民族」と言われます。

独自の文字を持たず、自給自足の農耕生活を営みながら、歌で民族の歴史や生活を2000年以上に渡って歌い継いできました。

膨大な民族歌謡があり、中でも多声部合唱の「トン族大歌」はユネスコ無形文化遺産に登録されています。

指揮も伴奏も楽譜もなく、歌師と呼ばれる指導者らによる口伝です。

歌で愛を告白し、歌で承諾を伝え結婚したというご夫妻の話が紹介されていました。

そのご主人が、トン族に伝わる言葉として仰っていたのがこれです。

「食は体を養い、歌は心を養う。」

私も歌ったり鍵盤を弾いたりするので、とても響きました。


体と心は両輪。

どちらか片方が弱ると、進めなくなります。

歌が生活と融合しているトン族の人たちにとって、体には食、心には歌が必要で大切で掛けがえのないものなのですね。


弱った心をどうすれば強くできるだろう。

心を育てるにはどうすればよいのだろう。

ケアの中、暮らしの中で、いつも考えるテーマです。

その答えの1つが、この言葉にありました。


トン族にとっての心を養う「歌」とは、歌ったり聴いたりという行為だけはない気がします。

今ある想いを歌に紡ぐこと。

受け継いできた人々の想い。

日々の鍛錬。

師匠や仲間と創りあげていくもの。

空気を感じ人々や自然と共鳴すること。

体と心の連動。

呼吸や声の振動で呼び覚まされていく感覚…。

言葉ではうまく言えませんが、きっと色々な大きなものを含んでの「歌」ではないでしょうか。

感じて表現して伝わってフィードバックを貰って、また感じて…。

そういう循環の中で、心は育ち強く豊かになっていくのかもしれません。

心も体と同じで、使って動いて鍛えられるのでしょう。



きっと、歌や音楽だけではなく、他の色々で心を養っておられる方もいらっしゃるでしょう。

皆さまのそんな話も聴かせていただけたら嬉しいです。


トン族大歌 動画

 代々歌い継がれる民族歌謡「トン族大歌」 貴州省

 歌わなければもったいない 恋も民族の歴史も合唱と共に