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翻訳会社トランスワード 社長のブログ

中国語の簡体字と繁体字

2022.03.24 00:14

皆さん、中国語の文字には大きく分けて簡体字(簡略した漢字)と繁体字(伝統的な画数の多い漢字)に分かれているのをご存知でしょうか?


現在、簡体字は主として中国本土(中華人民共和国)で使われており、繁体字は香港、台湾など中国本土以外で使われています。


中国語の漢字は長い歴史の中で成長し、文化的にも高いレベルを持つ文字です。
しかし19世紀までの漢字は字画も多く、種類も多いので庶民にとっては難解なものでした。


そこで清朝末期の1909年に「普通教育にはよりシンプルな俗字を採用すべきだ」と提案されたのが簡体字誕生のきっかけでした。
その後、新しい漢字としての簡体字の研究や提案がされましたが、当時の国民党の時代には具体的な改革は行われませんでした。


第二次世界大戦後の1949年に中華人民共和国が建国された後、1951年に毛沢東が文字改革を指示し、1956年に「漢字簡素化法案」が公布されました。
しかし、この時の簡体字は完璧なものではなく、その後の使用実験や数度にわたる改定が行われ、1964年に「漢字化総表」なるものにまとめられ、今の簡体字の元が作られました。


現在の中国(本土)では漢字といえば簡体字が当たり前ですが、この改革は時間をかけて行われたため、年代によっては繁体字と簡体字の両方で教育を受けた人は少なくありません。


大雑把に言って現在50代までの中国人は生まれた時から簡体字での教育を受けていますので、中国語イコール簡体字の感覚で漢字を使っています。
しかし、60代以上の人は最初は学校で繁体字での教育を受け、途中から簡体字に変わったわけですからご苦労なさったことが想像されます。


このような背景があるため、中国語の翻訳業界を見渡すと、年配の翻訳者さんの中には「簡体字も繁体字も両方楽に使える」という人が少なくありません。学生時代にはさぞかしご苦労なさったことでしょうが、それが今自分の貴重な能力として花開いていると言えるでしょう。

「参考:ウィキペディア」