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マヤ

『W旦那+(プラス)』第76話 三代目妄想劇場

2017.11.26 13:05



臣と隆二が付き合い始めて2回目の冬…


隆二がパーソナリティを務めるラジオを聞いていて、臣は心に引っかかるものがあった。


「赤ちゃん可愛い!」


「若い頃は20歳くらいで赤ちゃん欲しいって思ってた」


「いつ赤ちゃん産まれますか?」


収録スタジオのスタッフに聞く隆二。


「40…40歳?意外と芯食ってる」と言いながら笑う声が、臣にはやけに寂しそうに聞こえた。





臣のマンションにいつものように隆二がやってくる。


合鍵で中に入り廊下を歩きながら、


「おみーっ!酒とツマミ買ってきたよ〜!」


明るい声で隆二が言う。


返事がない。


「はれ?お〜み?寝てんの?」


リビングのドアを開けると、酒を飲んだ後のグラスがあり、臣はいない。


「へ?」


すぐに寝室のドアを開ける。


ベッドカバーの上に、臣がうつ伏せに寝転がっている。


「え?もう酒飲んで寝てんの?ビデオも借りてきたのに…見ないの?」


隆二が近くまできて声を掛ける。


臣は左手だけ上げて、人差し指でくいくいっと隆二を呼ぶ。


「なに?」


近くまで顔を寄せる隆二。


すかさず隆二の両脇に手を入れ、ベッドに引きずり込む。


「おわっ⁉︎」


臣は隆二を下にして上に乗り、しっかり抱きしめてくる。


「ちょっと…いきなり?今日は先にビデオ見るって言ったじゃん…」


臣は何も答えず隆二の唇に吸いついてくる。





長い長いキスの後、やっと解放された隆二が唇を拭いながら言う。


「酒、めっちゃ飲んでるし…」


「俺のこと…好き?」


「今さらなに?」


「好きかって聞いてんの」


「…嫌いだったら来ないよ」


「……」


「俺たち何回したっけ?」


「覚えてないよ…だいたいそんなこと普通聞かないし…」


「隆二…これから500回、1000回したって…」


(げっ…そんなにする気かよ?…こいつ)


「子供は望めないからな」


一瞬…時が止まった…


(今さらなに言ってんの?…臣)


「だから…なに?」


「将来…子供が欲しいんだったら…」






「…すぐに…別れよ」




End