大学入試改革と英語4技能試験
今日は朝からECC本社で行われたホームティーチャーズサロンへ行ってきました。そこでは今後2020年から始まる学習指導要領の変更のフェーズの再確認と、大学入試改革や高大接続改革などについての話がありました。
その中でもやはり私たちホームティーチャーが興味があるのは、今後英語四技能試験がいかに大学入試の中で活用されていくのかという点ですので、今日はそれについてブログにまとめておきたいと思います。
英語については、2020年度(2021年1月)に現行のセンター試験に代わって導入される大学入学共通テストで外部検定の活用が検討されていて、例えば英検なら高3の6月と10月に行われる検定で2級または準1級をとっておけば良いという事になるのではと言われていることなどは以前こちらの記事で触れましたが、さらに増えるであろう認定試験についても、いずれも受験を2回までを限度とし、それも何度も受けた中から良い成績を出せる…のではなくて、受験時に「この結果を大学入試認定試験として相手方に送ってください」と先に申請してから受験するということになるという話でした。
なるほど、これにより金持ち程より有利、という利点が少しは崩れますかね…いやでも認定試験として名乗りを上げるであろう検定の中でも英検はまだ安い方ですが、お高いものになると一度に25000円ほどかかるものもあります。
ただでも高3になると受験料だけで軽く目が飛び出るお金が懐から逃げていく、という話を受験者の親御さんにお聞きしていますので、そこにさらに各種認定試験となると一般家庭への負担がさらに増すことになりはしないかと言うことが危惧されますね。
また、この認定試験はいずれもCEFRに対応していることが求められますが、英検でいうと準1級でB2,2級でB1、準2級でA2、そして初級のA1は3級以下が該当するとあります。CEFRについては旧ブログでCEFRから見る、日本人にとっての英語学習という記事にも書いたのですが、CEFRというのはそもそもヨーロッパ言語共通参照枠であり、ヨーロッパでは一般的に母語が英語に近い場合が多いので(もちろんフィンランド語のような例外もありあますが)環境なども助けて日本に比べるとCEFRの初級であるA1には割りと直ぐに到達出来てしまうことが多いのではないかと思います。
しかし日本人の多くは残念ながら中高で英語を学んできてもこの初級であるA1でくすぶっている人が大半であり、現状高3の多くはリーディング、リスニングにおいて初級のA1(中卒程度)が7割程度、A2(英検2級相当)が3割弱、そしてほんの一握り、2%程度がB1(準1級程度)に属するというデータを文科省が発表しています。
つまりCEFRに基づいた判定にした場合、多くの受験者の英語の点数が同じ、ということが起こりえます。それでは入試の判定としては十分とはいえない、そのために現在このCEFRをさらに細かく分けた指標として、CEFR-Jの設定が急がれています。
※画像は文科省サイトよりお借りしました。
これにより、ヨーロッパの基準では4段階であるCEFR A1からB2までを、こまかな段階に区分けし、大学入試に活用していこうということですね。この図では10段階にわけていますが、今日のセミナーでは12段階という話が出ていたと思います。このような動きを受けて、来年度から始まるECCの教材改定では、最終的には中3で英検2級程度の、そして高校を卒業する頃には準1級に相当する力がつく内容に代わっていきます。
情報は常に動いていますね、これからの時代は受験も就職も情報戦ということになりそうです。
また、この後セミナーでは英検2級ライティング対策についての具体的なお話も聞くことができました。
新しい情報を常にキャッチしつつ、教室では日々子どもたちに「聞く」「話す」「読む」「書く」スキルがバランス良く育つレッスンを展開していくこと、文法や語彙の習得はもちろん、自分の意見を言う機会を与え、自分のアタマで考えさせる機会を多く与えること、そして英語学習へのモチベーションにつなげていくこと。
これを実現するには、講師が安心できる場所、コンフォートゾーンにとどまっていてはいけないのだと改めて実感しました。進級懇談を眼前に控えたこの時期の数少ない休日に本社まで出向くというのはかなりスケジュール的にしんどかったのですが、出て行ってよかったです!
参考サイト:
英語4技能試験情報サイト
CEFR-J