Three Centuries of Female Composers

Grand Piano

普段はほとんど録音されることのない知られざる作曲家のピアノ作品に焦点を当てているGrand Pianoレーベルも10周年を迎える。その記念として3月8日の国際女性デーに合わせてリリースされたもの。新録ではなく過去リリースされたのものを10枚まとめてあり、九人の女性作曲家それぞれの作品アルバム9枚と10枚目は十人の女性作曲家の作品を集めた名曲集になっている。歴史的な理由で、つい数十年前までクラシックの世界は完全男性優位で、それどころか女性は排斥されてきたと言っていい。ベルリンフィルが女性を採用したのは1980年代で、ウィーンフィルに至っては1990年代の後半まで女性を採用しなかった。指揮者に至っては今でも最も敷居が高いポジションだ。その昔は作曲家も女性だからという理由だけで出版も難しかった。過去6,000人と言われる女性作曲家だが、多いように見えるけれども、仮にここ300年としても1年で20人しかいない勘定になる。これはいかにも少ないだろう。ここで取り上げられているのは19人。音楽関係者とか熱心なクラシックファン以外でない限りこの作曲家達を何人も知っている人はまずいないはず。彼らの作曲家・演奏家としての活動は女性特有の困難があったわけだが、みずからの才能でその道を切り拓いて行った人達だ。彼女達が残した音楽を聴きながらそれぞれの生い立ちを辿ってみると、それぞれが異なる時代背景の中で生き、そこで向き合った音楽人生がありその物語にも興味を惹かれた。

2022-393