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一番に咲いて眠たき椿かな

2021.03.25 01:53

一番に咲いて眠たき椿かな  高資


連想するのは「春眠暁を覚えず」

https://biz.trans-suite.jp/10266【「春眠暁を覚えず」本当の意味は?「春はあけぼの」との比較も】

「春眠暁を覚えず」といえば「春の寝坊」を思い浮かべてたとえに使ったりしますが、まれに「寝坊は誤用」だとする説もあるようです。

ここでは「春眠暁を覚えず」の本当の意味とその使い方、あわせて「春はあけぼの」との違いも説明します。

「春眠暁を覚えず」とは?

意味は「春は寝坊してしまう」

「春眠暁を覚えず」の意味は、「春は寝坊してしまう」です。読み方は「しゅんみんあかつきをおぼえず」です。

※「暁」とは「夜明け」、「覚えず」とは「知らず知らずのうちに」という意味です。

その他の説は一般的ではない

その他の説として「春眠暁を覚えず」は、「春の夜は短い」という意味で「寝坊してしまう」という意味はない、という説などがあるようですが、刊行されている辞書や漢文を紹介する出版物では「寝坊してしまう」という意味の訳がとられています。

ただし、「春の夜は短いうえにぐっすり眠れる」というように「春の夜は短い」という意味を付け加える訳文はあります。また、「寝坊してしまう」の他に「なかなか起きることができない」「なかなか目が覚めない」などの表現の訳文があります。

いずれにしても、「春眠暁を覚えず」は、春の心地よい朝寝坊をうたった詩であることは間違いありません。

作者の「孟浩然」は出世欲がなかった詩人

「春眠暁を覚えず」を詠んだのは「孟浩然(もう こうねん)」という中国唐代の詩人です。出世欲がなく、各地を放浪しながら歌を詠んだ人のようです。孟の生きた古代中国の役人は朝が早く、厳しい規律に縛られていました。そのような世俗の生活を揶揄して詠んだ歌なのかもしれません。

「春眠暁を覚えず」の類語は「朝寝」

俳句の「春の季語」に「朝寝」があります。「春眠暁を覚えず」を出典として、その意味から派生した言葉です。いつまでも布団の中でゆっくりしていたい春の気分を表しています。

「春眠」の類語は「春の朝寝」ということになります。

「春眠暁を覚えず」漢詩の原文を紹介

原文は「春眠不覚暁」

「春眠暁を覚えず」は『春暁(しゅんぎょう)』という題のついた漢詩の冒頭の句で、原文は「春眠不覚暁」です。

漢詩原文の全文を紹介

「春眠不覚暁」からの続きもありますので全文を紹介します。

『春暁』 春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜来風雨声 花落知多少

<書き下し文>

春眠暁を覚えず 処処啼鳥を聞く 夜来風雨の声 花落つること知る多少

(しゅんみんあかつきをおぼえず しょしょていちょうをきく やらいふううのこえ はなおつることたしょう)

<現代語訳>

春はぐっすり眠れるものだから、夜が明けたのに気づかず寝過ごしてしまった。

あちらこちらから鳥の鳴き声が聞こえる。

昨晩は、風や雨の音がしていたが

花はどれくらい落ちてしまっただろう。

※「処処」とは「あちらこちら」、「啼鳥」とは「鳥の声」、「夜来」とは「昨晩」、「多少」とは「どれくらい」という意味です。

鳥の声や春の嵐の様子、そして花など、自然の描写が巧みに織り込まれ、うららかな「春の朝」の様子が春の匂いとともに伝わってくるようです。

「春はあけぼの」との比較

「春眠暁を覚えず」と似たようなイメージの春の歌に、清少納言『枕草子』の「春はあけぼの」の歌があります。「春眠暁を覚えず」の意味との違いを比較してみましょう。

『枕草子』「春はあけぼの」原文

「春はあけぼの」の春を詠った部分の原文を紹介します。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこし明りて。紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

<現代語訳>

春は明け方がよい。だんだんと白くなり、山のきわが少し明るくなり、紫がかった雲が細くたなびいている(のがよい)。

「春はあけぼの」は『枕草子』の冒頭の歌で、このあと「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて」から始まる歌が続きます。

「春はあけぼの」は、清少納言が「をかし(おもむきがある)」と感じた事柄を季節ごとに表した歌です。つまり、春夏秋冬の季節について「春は明け方がよい」という歌です。

「春眠暁を覚えず」「春はあけぼの」どちらも「春の朝の素晴らしさ」を詠った歌

「春眠暁を覚えず」は春の朝の心地よさを詠った歌、「春はあけぼの」は春の朝の美しい様子を詠った歌、ということでどちらも「春の素晴らしさ」を詠った歌ということになります。

「春眠暁を覚えず」の例文

ポイントは「春の心地よい朝」の気分の共有

「春眠暁を覚えず」をビジネスシーンで使うことはあまりないかと思いますが、社内報やメールのやりとりなどで社内コミュニケーションをはかりたい時などにちょっと入れてみたりするとよいかもしれません。

「春眠暁を覚えず」を使う時のポイントは「春の心地よい朝」の気分の共有です。

今日はあやうく寝過ごすところでした。「春眠暁を覚えず」ですね。

「春眠暁を覚えず」の季節となりました。明日のお休みはゆっくりお過ごしください。

まとめ

「春眠暁を覚えず」は、夜が明けて日が昇っても気がつかないほどに心地よく眠ってしまっていたという、うららかな春の気分の歌です。一方「春はあけぼの」は、白々と夜があけてゆく春の朝の変化の美しさを表現した歌です。

忙しい毎日の現代人とはいえ、季節を楽しむ感性を忘れないようにしたいものです。