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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ウィーン体制26-鉄道が牽引する独産業革命

2022.03.25 10:15

ドイツの産業革命を主導したのは他国と違って鉄道である。これは鉄道の必要性を説いてまわった経済学者フリードリヒ・リストの功績でもある。彼は反国家扇動罪でメッテルニヒに目をつけられ、アメリカに亡命したが、今度はアメリカ領事の肩書でプロイセンに帰国していた。

1835年12月7日、ニュルンベルクとフュルトのわずか6kmにルートヴィヒ鉄道が開通した。ニュルンベルクは、ドイツの中央に位置し、中世自由都市の頃からドイツの商業の中心地だった。時間はわずか9分だが、たいへんな進歩である。隣町のフュルトもまた経済発展しており、両市間では荷馬車がひっきりなしに往来していたのである。

この鉄道の開始は、ドイツの都市間の鉄道敷設の合図となり、39年には130㎞、42年には930㎞となった。実際、領邦に分かれていたドイツでは、ベートーヴェンやゲーテのような推薦をもらった人でない限り、旅行は難しかった。ドイツ関税同盟が、商業の分断を断ち、鉄道が人々を結びつける。

鉄道は資本投下の道をつくり、各地で鉄道会社ができた。そして次の時代は、鉄鋼業と石炭業の時代となる。天然資源の豊富なドイツは、自国でまかなうことができた。すでに1824年には石炭を利用したコークス製鉄法の工場が建設されている。ドイツは経済成長を開始しつつあった。