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マヤ

『別離①』(続・臣隆妄想劇場20)

2017.11.14 14:42


「臣っ…ヤバい❗もう11時だよ!」



隆二の声で目が覚めた。



えっ⁉おれ…いつの間に眠って…



「やべっ…!」



飛び起きてジーンズを履き、



スマホと財布、パスポートをポケットに押し込む。



「持ってくものそれだけ?」



「ん、後は全部送った」



「お前ってほんと…」



「ん?」



「いや…」



寂しそうに隆二が笑う。




二人はタクシーを飛ばして空港へ向かった。






臣は黒のニット帽に黒のサングラス。



隆二は、ベージュのキャップを目深に被り、大きめのマスクで顔のほとんどをカバーしている。



見た目は男か女かもわからない。



大勢の人でごった返すロビーを、ぎゅっと手を繋ぎ、搭乗ゲートへと足早に歩く。



フライトまで、あまり時間がない。



人混みの中、ふと立ち止まって振り向く臣。



まるで映画のワンシーンの様に、絵になる男だ。



サングラスを外して、正面から隆二を見る。



「隆二…」



「最近ずっと一緒だったから、別に今のままでもいいって思ってたけど」



「やっぱり早くそうすべきだったって…今になって後悔してるよ」



「臣…」



「ごめん、おれ昨日笑ったりして…」



「もう行かなきゃ…」



行き交う人混みの中、



突然、隆二のマスクとキャップを外し、



両手で頬を持つ臣。



「駄目だよ…臣、こんな所で…」



「知るか…」



なんの躊躇(とまど)いもなく、唇を合わせてくる。



長く切ないキスを交わす…



二人の周辺を行き交う人々は、気に止める様子もなく、



慌ただしく通りすぎていく。



時間ギリギリまで重なりあっていたが、



急に回りが静かになり、フライトが近いことを感じると、



臣の方からゆっくりと離れ、



隆二の右手をとり、薬指のリングに軽くキスをする。



「メールするから」






そう告げて、臣を乗せた飛行機は、



欧州へ向け飛び立っていった。





End