多彩なキャリアを切り拓くカギは“発信”と“PR思考”。フリーランスや複業（副業）で自分らしいキャリアを実現するためのヒントを学ぶ〜株式会社Cannpass主催イベントレポート〜
テレワーク・リモートワークの推奨や、副業人材が積極的に活用されるようになった近年、複業（副業）・フリーランスなど個人で仕事をする人が増えてきました。
時間や場所にとらわれず自由に働く人の姿をみて、「もっと自分にあった仕事や働き方はないだろうか」「キャリアの選択肢を広げるために必要なスキル・経験はなんだろう」といった、働き方やキャリアに対しての悩みを持ち始めた人もいるのではないでしょうか。
株式会社Cannpassは、2022年2月20日、複業（副業）・フリーランスで活躍するPRパーソン3名をゲストにお招きして、「自分らしいキャリアを実現するための“PR思考”」をテーマにオンライントークイベントを開催。
登壇者は、大企業の社内広報とスタートアップの広報・PR業務を経験し、フリーランスとしての準備も進める竹中花梨さん、PR会社の取締役を務めながら、PRライター・文筆家としても活躍する中西須瑞化さん、外資系メーカーに勤務しながらPR・人材育成・キャリアを軸にした会社を経営する山崎春奈さんです。
それぞれの自分らしいキャリアを築いた経緯や、ゲスト3名が共通して持っている「PR思考」が個人で仕事をする上でどのように活かされているのかなどをお伺いしたイベント内容を、イベント主催メンバーのMariがレポートします。
キャリアの変化は、「仕事で何を大事にしたいか」に気づくことから始まる
モデレーター：フリーランスや複業（副業）など、今の働き方を選んだきっかけを教えてください。
山崎春奈（以下、山崎）：20代のうちに2回転職を経験しました。そのときに、会社という大きな看板が外れる感覚があって、「会社の看板がなくなったときの自分に、何の価値があるのだろう」と疑問を抱くようになったのが、最初の行動のきっかけでした。
個人で仕事ができるようになりたいと思ったのですが、当時は仕事にできるスキルや経験がなくて……。自分ができることを探すために、1、2年かけてさまざまなイベントや勉強会に足を運んで模索していました。そこでたどり着いたのがPRライターの複業（副業）でした。
最初から複業（副業）を目指していたわけではないですが、模索しながら行動していたからこそ、自分の価値観にあう仕事や働き方に出会えたのだと思います。
中西須瑞化（以下、中西）：私は大学の就職活動時に、「大手企業に就職するか、大学院に進むか」という進路の選択肢に疑念を抱いていました。自分が納得する働き方を確かめて選びたいと思い、1年間休学をしていろんな大人へ会いに行きました。
それまで知らなかった、フリーランスやNPOという選択肢も知っていくなかで、興味を持ったのが「社会課題解決」というテーマでした。そこで、地元のNPO団体に就職。とても良い経験ができましたが、自分の価値観とは違うと感じて3か月で退職しました。
その後、ボランティアで関わっていた防災関連の団体が一般社団法人化するタイミングで事務局長として参画。同時に、もともと文章を書くのが好きだったこともあり、フリーランスとして文筆家の仕事をスタートしました。
新卒3ヶ月で独立を決意するのに不安はもちろんありましたが、自分が共感できる仕事や環境を大事にしたいという気持ちが強かったですね。
竹中花梨（以下、竹中）：私は、年齢的にも節目を迎えるタイミングで、今後のキャリアを見つめ直したときに、ただ「社会貢献のために働く」というよりも「自分が好きなことをした上で、最終的に誰かの役に立ちたい」と考えるようになりました。
自分の好きなこととしてまず思い浮かんだのは、色、ワークショップ、韓国の3つだったので、色彩検定の資格取得やワークショップデザイナー育成プログラムの受講をしました。そして、韓国語も極めたいと思い、思いきって会社を退職して韓国留学の準備をしているところです。
また、複業（副業）として始めたスタートアップでの広報・PR業務を通じ、仕事の規模感よりもスピード感を大切に取り組んでいきたいという気持ちが芽生えたことも、退職の決断を後押ししてくれました。
「できること」「やりたいこと」を発信することが、自分らしいキャリアを作るための第一歩
モデレーター：フリーランス・複業（副業）を実現させるためのステップについて教えてください。
中西：休学中に出会った方々から、後日仕事の依頼をいただいたことがありました。「仕事をください」と営業していたわけではなく、自分が好きなことや興味のあることを伝えていたので、思い出していただいたのだと思います。
自分のやりたいことやできることを伝えるのってなかなか難しいと思いますが、日々のコミュニケーションの中で発信することが大切なんだと感じますね。
自分の強みがわからないという人は、身近な人へアウトプットしてみることから始めてみましょう。客観的な意見やアドバイスをもらうことで、気づけることもあると思いますよ。
竹中：私も日ごろから発信していたことが、仕事のきっかけになることがありました。私が今携わっているスタートアップの広報・PR業務は、会社員時代から複業（副業）として始めています。複業（副業）を探していたわけではなく、同期がカーブアウトして会社を設立するときに「広報を手伝ってもらえないか」と声をかけてくれたんです。
実はその前にも、彼の取り組みを社内報で取材させてもらったり、私から「会社設立おめでとう。今度また取材させてね！」と連絡したりしていたこともあり、こうした機会につながったと思っています。
発信をすることで仕事のお声がけが増えたり、仕事の幅が広げられたりする可能性はあると思いますね。私はウェブデザインを勉強中なのですが、Twitterで投稿してみるなど、今のうちから種まきをするよう心がけています。
山崎：私はもともと未経験でPRの仕事を始めたということもあって、収入を増やす目的より、今後のキャリアの選択肢を増やしたいという思いが強かったんです。実践を積み重ねる、実績をつくることを優先して仕事に取り組むようにしていました。私の場合、未経験からでも育成・指導をしながら仕事を経験させてもらえる環境があったのはありがたかったですね。
みなさんも未経験でやりたいことがあるなら、まずは実績づくりから始めると良いと思います。最初は報酬がないとしても、お手伝いやインターンなどから始めることもできますからね。そうした学びや経験を、どんどん発信していくことで、仕事のチャンスにつながることも少なくないと思います。
関わる方々への配慮や誠実さが、個人でも活躍できる良好な関係構築につながる
モデレーター：個人で仕事をする上で大事だと思うことは何でしょうか。特に、お三方とも広報・PRのスキルをお持ちなので、その視点でお話をお伺いしたいです。
山崎：私は日ごろから、周囲とのコミュニケーションで、PRの本質にもつながる「相手視点」を意識しています。
PR（Public Relations）とは、関わるすべてのステークホルダーとの関係構築をしながらビジネスを発展させる役割。企業や個人が一方的に伝えたいことを伝えるのではなく、社会やお客さまが求めていることを伝える、つまり「相手視点」が大事なんです。
このPR視点は、業界・業態かぎらず、ビジネスを継続して発展させていくための基本とも言えるのではないかと思っています。
複業（副業）・フリーランスなど、個人で仕事をする場合にも、「次回も一緒に仕事したい」と思ってもらえる人であるために、PRを学ぶことはプラスになると思いますね。
竹中：私が広報・PR業務で大事にしてきたのは、「好奇心」「共感力」「想像力」です。
たとえば取材をするときに、好奇心があると、自分は知らない分野の話でも興味を持つことができます。共感力があると、取材先のストーリーに心が動かされ伝える熱量が上がります。そして想像力があると、記事を届けるときに読者がどう感じるか思い巡らせることができるんです。
これは広報・PRの仕事に限らず、どんな仕事でも、意識すると良いと思いますね。クライアントさんなど仕事で関わる方々への配慮が、良好な関係構築につながるのではないでしょうか。
中西： 私がクライアントさんのPRやブランディングを手掛けるなかで大事にしているのは「嘘をつかない」ことです。社会からこう思われたいという理想や憧れがあって、背伸びをしなければいけない瞬間もあると思います。でも、商品やサービスの魅力や大切にしたい価値観が根底にあるはずなので、そこを掘り出してあげることが大切だと考えています。
こうした誠実さはPRの仕事に限らず、複業（副業）・フリーランスなど個人で仕事をする上でも意識すると良いのではないかと思います。その積み重ねが、自分のブランディングや信頼につながっていくと思います。
モデレーター：周囲への発信や、関わる方々への配慮や誠実さなど、日ごろの行動や姿勢が、ゲストの方々のキャリアにつながっていたんですね。自分で自分の背中を押すための行動力がキャリアを切り拓く鍵となるのだと感じました。ありがとうございました。
●登壇者プロフィール
・竹中花梨（たけなかかりん）
サイトロニクス株式会社広報・PR担当／ワークショップデザイナー／モデレーター
2014年に新卒で株式会社東芝に入社し、事業所の総務業務・コーポレート広報業務に従事。会計問題をきっかけに組織変革や風土改革への関心が高まり、有志活動に参加。社内有志団体OPEN ROOTSでは代表を務める。2021年11月末に退職。東芝からカーブアウトして2021年5月に設立されたバイオ系スタートアップサイトロニクス株式会社で同年8月より広報・PR、コミュニケーション全般を担当。現在は、Webデザインを学びながら、独立と韓国留学に向け準備中。“かえる”と“伝える”をテーマに、ワークショップデザイナーやモデレーターとしても活動する。
・中西須瑞化（なかにしすずか）
株式会社morning after cutting my hair共同発起人・PRライター／文筆家
大学在学時に「生きる選択肢を示せる大人になりたい」と休学し、いろいろな生き方・働き方をしている大人たちへ会いに行きながら全国で諸プロジェクトの企画・運営に参加。独自の哲学と、思想に寄り添い言語化する力を買われ、一般社団法人防災ガールで団体解散までの事務局長を担う。フリーランスとしてPRライター・イベントディレクター・小説家としても活動し、2018年2月からは株式会社morning after cutting my hairの発起人の1人として、「人の心が動き続ける社会」をめざし、社会課題解決に特化した企画やPRを行なう。日常の中にある幸福を拾い上げながら、言葉の力で人を生かす人であり続けたい。
・山崎春奈（やまざきはるな）
株式会社Cannpass代表／外資系メーカー営業管理
東京外国語大学アラビア語科を卒業後、石油メーカーに入社。その後、リクルートキャリアへ転職し新卒エージェントサービスの営業に従事。現在は、会社員として外資系自動車部品メーカーにて営業補佐や採用、人材育成など多岐に渡る業務を行なう。並行して2016年より複業メンバーとして株式会社itty selectionに所属し、PRプランナー／PRライターの活動をスタート。2019年9月に執行役員就任。2020年8月、株式会社itty selectionからの事業譲渡をうけ株式会社Cannpassを設立。複業（副業）経営者としてPRを軸とした人材育成・キャリア支援サービスを展開する。
●関連情報
＜主催＞
・広報・PRプランナー＆PRライター養成講座
企画・運営メンバー：詫摩 りな／田崎 愛／麓 加誉子／Konoha Shinada／Sayuri／Mari／Misako
＜株式会社Cannpass＞
PR／キャリア／人材育成の事業をつうじて、企画・個人のみなさまをサポートする企業です。PRを軸に、複業（副業）・フリーランス・女性リーダー育成や、スキルアップ・キャリアアップ支援を行なっています。代表取締役：山崎春奈／所在地：東京都渋谷区。
・イベントプレスリリース（※イベントは終了しました）
（執筆：PRライター Mari ／ 編集：山崎春奈）