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フェスボルタ文藝部

犬が苦手(いぬ)

2017.12.31 10:57

動物の中で一番、犬が苦手だ。


サブカル被れの人間は、ほとんどが猫派だ、という偏見を持っている。

人生で初めて買ったCDは東京事変の「修羅場」、中学と高校を椎名林檎や川本真琴やcapsuleを聴いて過ごし、デザインを学び、高校の帰りにヴィレッジヴァンガードに足繁く通っていた典型的なサブカル被れであるわたしも例に漏れず、圧倒的な猫派だ。


小さい頃、家ではウサギを飼っていた。白の毛をしたロップイヤーラビットのオス、名前はそのまま「ロップ」と付けた。


基本的に動物が好きだ。猫も、ウサギも、ハムスターも、爬虫類も、魚も好きだ。

犬だけはどうしても苦手だ。

アレルギーではない。写真で見る犬は愛らしくて可愛いなとも思う。

理由なく苦手なわけではなくて、とにかく幼少期に噛み付かれ、追いかけ回され、散々な目に遭った。

親戚の家にいた犬に追いかけられ、家の周りを一周全力で走って逃げた時の恐怖は今でも覚えている。


道を歩いている時、犬の散歩をしている人とすれ違うのも苦手だ。

前方に犬の散歩を見つけた瞬間体は強張り、なるべく道の反対側を歩こうと試みる。大抵は飼い主さんが「あ、この人は犬が苦手なんだろうな」と察したような表情で、お互い足早にすれ違う。


ただ、たまに「怖くないよ〜」と言いながら犬をこちらに近づけるようにしてくる飼い主がいる。わたしはこういう類の人間が本当に許せないのだ。


なぜ、あなたが、わたしの感じている恐怖を、自分の物差しで測るの!


怖くないと言われようが、この子は大人しいのよと言われようが、怖いものは怖いし、体は関係なく強張るし、なんなら若干脂汗までかいているというのに!


なぜ犬が苦手だ、という大して中身のない話を書こうと思ったのかというと、フェスボルタ文藝部に入部するにあたって自分の名前をきちんと定める必要があったので、「いぬ」という名でインターネットの世界を生きていくと決めよう、と数日前に決心してしまったからである。

「いぬ」という名前だから犬派なんだろうな、犬好きなんだろうな、と思われてしまうのはまっぴらごめんなのだ。なんていったって、犬が苦手なのだから。


「いぬ」という名前にしたのに大きな理由はない。その前は「ぬ」と名乗っていたのだけれど、「ぬ」はさすがに呼びにくいだろうし、という他者への気遣いから、面影を残しつつ可愛げのある「いぬ」に決めた。


「いぬ」という名前でTwitterをするようになって、わたしが応援している「THE 夏の魔物」というバンドのメンバー、アントーニオ本多さんに「わんちゃん」と呼ばれるようになったので、「いぬ」という名前は割と気に入っている。


今までわたしをなんて呼んだらいいのか迷っている方、初めて知った方、よければぜひ「わんちゃん」と呼んでみてほしい。

犬は苦手だけれど「わんちゃん」と呼ばれるのは可愛くて好きないぬなので、とても嬉しい気持ちになれるので、ぜひ。