前略おふくろ様(後編)
前略おふくろ様
ふたたび手紙を書きます。
結局、昨日は小國神社へ行ってきました。
昼過ぎに東海道線で掛川駅に到着。気温は暑いくらいで半袖Tシャツで走り出すと、予想外に強風でした。しかも北西の風なので、ずっと向かい風です。人生にもそういう時期がありますよね。単線の天竜浜名湖鉄道みたいに、もうこれしかないという人生なら、どんなに楽かと考えたりもします。
それでも、向かい風と上り坂と格闘していると、小國神社まであと1.9キロの看板。
本当は南から入る予定だったのですが、どこで間違えたのか北側の峠から下りてきてしまい、上り坂にずいぶん鍛えられました。ここまで17.5キロです。境内は、赤と黄色の大合唱でした。
境内には、親子連れ、観光客、外国人、インスタ映狙い女子などなど、大賑わい。そんな中、半袖でサングラスかけている僕が通ると、みなさんそっと道をあけてくれました。そのあとお参りをして、ことまち横丁で妻に頼まれた「真っ赤な袋の詰め放題のお茶」を買いました。おふくろ様、こんな僕ですが、家族を大切にしています。帰路につくと、大渋滞でした。
大渋滞の車の横をスイスイと走り、ときに自由にお土産屋に入っているおれを見て、ドライバーはさぞかしイライラしていたと思います。でも、ひそかに優越感を感じてしまうおれはやっぱり罪人(つみびと)でしょうか。ここから南下、風は追い風に変わります。人生我慢していれば、その分いいこともあるということですね。天竜浜名湖鉄道の駅まで走り、電車で帰ろうと思っていましたが、思ったより足が残っているので、このまま走って袋井駅に向かうことにしました。広い空がとてもきれいでした。
そして、無事袋井駅到着。ちょうど30キロでした。
そして、駅前の居酒屋で旅のしめくくり。どの料理もとっても美味しかったです。
こうして旅は終わり、自分とも折り合いがついたので、今日からまたがんばって働きます。おふくろ様もどうかお元気で。