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「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 「英雄色を好む」源頼朝と強い政子の力関係

2022.03.29 22:00

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 「英雄色を好む」源頼朝と強い政子の力関係


 毎週水曜日は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について書いている。第12話は、いわゆる「亀の前事件」といわれる事件について書かれている。

亀という女性については、当時の記録書である「吾妻鏡」に書かれている中であり、その中では、今回のドラマの設定とは異なり、源頼朝は、伊豆にいるころから寵愛していた女性であるということになっている。またその女性の性格も、ドラマの江口のり子さんのようにアクの強い性格ではなく、容貌すぐれて柔和な性格で皆に気に入られた女性であったということになっている。現在で言うところの「○○小町」という存在であったのであろう。ここは記録にあるわけではないが、頼朝がこの亀という女性を寵愛はしたものの、妻としては迎えなかったのは、身分の低い女性であったということと、やはり頼朝にとっては当時の「北条家」という豪族の力が必要であったので、政略結婚は必要であったのではないか。

さて、この寵愛が、吾妻鏡によると、伊豆に流人として存在した時代からずっと続いているということになる。よほど気に入った女なのであったのであろう。

さて、事件としては、政子が妊娠し万寿(後の頼家)を産むために、武蔵国、現在の埼玉県東松山の比企能員の家に言っている間にも亀の寵愛を続け、出産を終えた後、北条時政の妻である牧の方から聞いた政子は、牧の方の兄・牧宗親に命じて広綱宅を破壊する後妻打ち(うわなりうち)を行い、大いに恥辱を与えた。それまで亀の前をかくまっていた伏見広綱は、鐙摺(葉山町)の大多和義久の宅へ逃れるということに記録上はなっている。

吾妻鏡には、その後の事も書かれており、頼朝はその後も亀の前を寵愛するが、政子にばれてしまい、結局かくまっていた伏見広綱と共に遠江国(現在の静岡県西部)に流罪になってしまう。その後の事は、吾妻鏡が欠損があることからよくわかっていない。

しかし、このように見ると、亀の前という女性はよほどいろいろな人に好かれる女性であったのであろうと思う。かなり魅力的で、頼朝もかなり気に入ったのであろう。逆に、政子から見れば、それだけ魅力的な女性に対して「嫉妬」もあったのではないか。なかなか興味深い所である。

さて、このような記録が残っていることと、ドラマが違うなどという野暮なことを言ってはいけないのである。ドラマはドラマであり、ドラマの中では、ドラマが正しいのである。そのうえで楽しまなければならない。

しかし、吾妻鏡に書かれているような事件であるから、よほど鎌倉事態が大騒ぎした事件であったのであろう。

「鎌倉殿の13人」政子激怒「田んぼのヒル」世界トレンド入り ネット爆笑「罵倒の語彙」小池栄子ド迫力

 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は27日、第12話が放送され、源頼朝(大泉洋)の妻・政子(小池栄子)が愛人・亀(江口のりこ)のいる館を壊す「亀の前事件」「後妻(うわなり)打ち」が描かれ、インターネット上で大反響を呼んだ。オンエア後、政子の台詞「田んぼのヒル」がツイッターの世界トレンド(午後9時、14位)にランクイン。SNS上の話題を集めた。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は04年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第12話は「亀の前事件」。北条義時(小栗)から父・伊東祐親(浅野和之)と兄・祐清(竹財輝之助)の死を告げられ、憤る八重(新垣結衣)。義時は八重を諌め、源頼朝(大泉)から与えられた江間へと八重を送る。政子(小池)が懐妊し、頼朝の嫡男誕生への期待が高まる中、比企能員(佐藤二朗)が比企尼(草笛光子)を伴い、鎌倉に出仕。さらに、三善康信(小林隆)から推挙された官僚・大江広元(栗原英雄)らが都から下向し、新たな関係が動き始める…という展開。

 1182年(寿永元年)、政子は男児・万寿(のちの2代将軍・源頼家)を出産したが、病弱。阿野全成(新納慎也)が「親の不徳が子に災いをもたらす、というね。決して誰にも言ってはいけないよ」と頼朝の浮気のことを実衣(宮澤エマ)に漏らし、巡り巡って、ついに政子が知ることに。最終的に吹き込んだのは、りく(宮沢りえ)。「あなたも気が気ではありませんね。あれやこれやと。ごめんなさい、忘れて。イヤだ、あなたの耳にも入ってるとばかり…。噂よ、これはあくまでも。実は…」。夫・北条時政(坂東彌十郎)の待遇に不満が募っていたりくの策。わざとだった。

 政子は「許せない!みんな知っていたんですね。ひどすぎます。特にあなた(義時)、鎌倉殿の顔色うかがってくっついて回って、この田んぼの蛭!」と激怒。義時を詰問し、相手が亀(江口)だと分かると「あの薄い顔の女ね。今夜も一緒なの?で、亀は今、どこに?」。義時は亀の居場所を教えてしまっていた。

 りくは政子に「後妻(うわなり)打ち」を提案。「鎌倉殿が都を真似て妾(そばめ)をつくったのなら、こちらは後妻打ちで仕返しするのです。都にはそういう慣わしがあるんです。前妻はね、後妻の家を打ち壊しても構わないの。場所は分かってるんだし。形だけね。ここは鎌倉殿に肝を冷やしていただきましょう」。政子も「このままでは腹の虫が収まりません」と同意し、実行役はりくの兄・牧宗親(山崎一)が指名された。りくは「面白くなってきました。いい薬です。御台所にとっても、鎌倉殿にとっても。兄上様、ちょっと壊してくるだけでいいですからね。門の当たりを。大事にはしたくないので」と兄に右目でウインクした。

 義時と三浦義村(山本耕史)は“隠れ家”から亀を逃がす。義村が「いっそ、俺の女になるか」と亀の腕をつかむと、亀も「悪くない」。義村は「誰でもではない。頼朝の女だ。その時、初めて俺は頼朝を超える」――。

 夜。宗親が館の前に着くと、訳は知らずに義時から見張り番を頼まれた源義経(菅田将暉)がいた。事情を知り、宗親から手伝うよう請われた義経は弁慶(佳久創)に「武蔵坊、派手に行け」「威勢よくやれー!」。館に火を放った。

 夜が明け、焼け跡を目の当たりにした頼朝は「何ということだ…。付け火?まさか…(政子が)。恐ろしすぎる。ここまでするか!」と絶句。下手人は宗親と義経と判明。頼朝は義経に謹慎を命じ、梶原景時(中村獅童)に宗親の髻(もとどり=髪を頭の上で束ねた髪形)を切るよう命じた。

 りくは頼朝の女癖の悪さがすべての原因と激怒。開き直る頼朝に「夫に妾がいて、それを心より許せる女子など、都にだっておりませぬ!夫がそんな物言いとは、懸命に御台(所)たろうと励んでいる政子が憐れでなりませぬ」。そこに政子も現れ「女子同士でつまらぬ争いをしてしまったこと、恥ずかしく思います。肝心なのは夫の裏切り」(政子)「咎めるべきは夫のふしだら」(りく)。頼朝は「黙れ!わしに指図するなど、もってのほか!源頼朝を愚弄すると、たとえおまえたちでも容赦はせぬぞ!身の程をわきまえよ!下がれ!」と逆ギレした。

 すると、時政が立ち上がり「源頼朝が何だってんだ!わしの大事な身内に、ようもそんな口を叩いてくれたな!たとえ鎌倉殿でも許せねぇ!」と思わず怒りが頂点に。「言っちまったぁ。いや、シラフだ。どうやら、ここまでのようだ。小四郎、わしゃ降りた。伊豆へ帰る。やっぱり、鎌倉の暮らしは窮屈で性に合わない。伊豆へ帰って米を作っているのがいい。小四郎、あとは任せた」と鎌倉から去った。

 頼朝の浮気が大騒動に発展した。

 SNS上には「『薄い顔の女』で腹筋崩壊」「薄い顔の女だなんて笑。三谷さん最高」「この田んぼのヒル!罵倒の語彙!」「田んぼの蛭。ひどい形容w」「小池政子の胆力、迫力が最高すぎるw」などの声が続出。「田んぼのヒル」「あの薄い顔の女ね」の“パワーワード”が反響を呼んだ。

3/27(日) スポニチアネックス

https://news.yahoo.co.jp/articles/d24ef861c292ab556f83ea90235ac9f981081648

 さて、ドラマの方に話を移そう。主役の北条義時(小栗旬)にしてみれば、自分の一族と、ドラマの中では上総(現在の千葉県)の漁民の娘で、そのうえ元々人妻であった女性の争いである。「頼朝の大事」であるのと同時に、「鎌倉全体の事」も考え値科ればならないし、当然「北条家の事」を考えなければならない。その間に立たされてかなり右往左往しているというような姿が書かれていることは、なかなか面白い。

ないよりも、亀の前という女性の「悪女ぶり」が非常に面白い。上記に書いた吾妻鏡に書かれたキャラクターとは全く異なり、本当に嫌味で、なおかつ悪女を演じているのはなかなか興味深い所である。江口のり子産の演技力の高さがこのような所で非常によく発揮されているのではないか。特に、何回か前の八重(新垣結衣)への仕打ちなどは、本当に女性のいじめというような感じが出ていて面白い。その性格の悪い女性を、より強い女性である北条政子(小池栄子)が退治するというような、まるで水戸黄門「などの時代劇の作りと同じようなストーリー」であり、日本人が最も好きな流れを作り出している。やはり、「誰にでも好かれる女性」を「権力者の妻」が家ごと壊してしまうというようあストーリーにはなかなかしたくなかったのであろう。

亀の前を漁民の娘にしたのは、やはり身分の低さをうまく表現するためには必要なことで、流人となっている時代、つまり、伊東家または北条家に流されている時代に亀の前を知っていたということになると、既に亀の前と八重両方に手を出していた「ダメ男」となってしまうのであるから、それも避けなければならなかったのではないか。まあ、頼朝というのは、ある意味で「京都育ちの半分公家」であるから、そのようなことをしても、坂東武者の家に「あいつは特別」と言わしめる何かがあったのかもしれないが、ドラマでそこまで書くのは難しいのではないか。

さて、その後の話は、ドラマも東鑑もほとんど同じだ。まあ、伏見広綱という人物は出てこないが、それはキャストの問題で仕方がないということになる。そこで、上総広常(佐藤浩市)が出てくることになる。その辺が、後に上総広常がおかしくなることの伏線につながるのではないか。

 東鑑の通りにするのではなく、それを変えることで、ドラマ自体をわかりやすく、また、他のエピソードの伏線を作るということは、なかなか面白いし、興味深い作り方であろう。鎌倉時代(実際はまだ平安時代末期であるが)の内容は、その後の後日談や障害などがはっきりしていない人が少なくない。そのような「解釈に余裕がある」ということが、そのままドラマの書き手の腕によって輝くを増すというの所も、面白さの一つになるのではないか。