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パレッターズpaletters.

Go for it! #12 angela(アンジェラ)森良美さん

2022.04.01 00:00

 喜びごとや悲しみごと。ハレの日、ケの日。

様々な人生の節目や、何気ない日常を共にしている衣服。 愛着のある服を「素敵ですね。」と褒められることや、「仕立てが綺麗ですね。」と言われることは、身につけてから年数を重ねるほどに嬉しさも増す。 


 レディースファッションのセレクトショップ「アンジェラ」(平和堂今津店 1F リプル内)で、接客・販売をしている森良美さん。


お店は、良美さんの父親が 52 年程前に創業。リプルに出店して 30 年目を迎える。 神戸や大阪にあるメーカーへの買い付けを両親と3人で行い、ディスプレイを良美さんが担当している。


 「お店で百貨店ブランドが買える。」と定評があり、フォーマルなものからベーシック、カジュアルまでバランスよく取り入れられ、バッグや小物なども充実している。 


店には、40 代からシニア世代、さらに 100 を超える歳のお客も。 

日々、お客様から学ぶことが多いと話す良美さんは、人と関わる仕事をする上で、話をしやすい人であるように心がけているという。


 「例えば、歳を重ねて O 脚気味の脚を気にされていたり、足にサポーターを装着しているお客様には、シルエットをカバーするものや、履きやすくて動きやすいものを提案します。ちょっとした配慮も普段の会話からご提案に繋がります。」と良美さん。


フィッティングは、好みや体型、シーンに合わせた知識だけではなく、お客との会話の蓄積がヒントとなる。それは対面販売の良さであり、地元で長らく続くお店への信頼感にも繋がっている 。 


 良美さんが家業を手伝い始めてから5年。ご主人は転勤が多く、単身赴任で離れて暮らす生活。


ご主人の理解と後押しで、母と子で地元に戻ってからは、子どもの入園を機に、かつて勤めていた銀行へ復職することも考えたことも。


 けれども、まだ目を離したくない年頃の3人の子育てを大切にしながら、人と関わる仕事がしたい彼女にとって、家業に従事することは自然な流れだったのかもしれない。


多忙に過ごす母親の姿を幼い頃から見てきた彼女。 

 「子どもを産んで気がついたのは、母は昼夜どんなに忙しくても食事をきちんと用意していて。手を抜かない人だった。だから私も子ども達にしっかり作りたいと思うように。父は事あるごとに、『よく考えて工夫せな。』と実行する人だった。」と振り返る。


忙しさに負けず、背筋の伸びた大人たち。気がつけば、後ろから見ていたその背中も、やがて丸くなって。


店では、仕事の先輩である母親から学びながら、かつての帳尻を合わせるように、親子で会話をするようになったと話す良美さん。



折に触れ、こんな時なら母ならどうするだろう、考えることがあるし、子ども達との関わりの中で、創意工夫するきっかけをつくっていたり。 彼女の両親が見せた背中は、時にエッセンスにもなり、支えにもなっている。今までも、これからも。


「女性は、いくつになっても買い物を楽しみたいと思うんです。日々の思い出に寄り添うご提案ができたらと。」 


自分だけでは出会えない服があったり、一歩踏み出せないでいる背中をそっと押してくれたりするのは対面の良さかもしれない。 


服を買うまでにもストーリーがあり、その後にも続くストーリーがある。服を通して、その方の物語に寄り添う。そんなご縁を大切にしていきたいという良美さんの想い。 


袖を通した人のそれからを思い浮かべてー。


(取材/撮影:川島沙織)


angela(アンジェラ)さんは、2022年9月25日をもって長らくの営業を終了されました。