『溺愛⑧』(続•臣隆妄想劇場65)ショートバージョン
目の前で眉を寄せて目を潤ませ、泣きそうになっている隆二を見ると、更に焦らしたくなる。
臣「ん〜…いまいち聞こえないな…」
隆二「チューしようよ」
臣「だーめ」
隆二「すん…」
臣(やべーっ…なにプレイだ?これ…
クセになりそう)
隆二「いじわる大王…」
臣(始まったよ、悪そうなネーミングの羅列)
臣「なに言っても、おれこたえないよ」
隆二「ピッコロ大魔王」
臣「……」
隆二「ティーチだ…黒ひげのティーチ」
臣「……」
隆二「チューしよ」
臣「だーめ」
隆二「すっ…すん」
臣(ダメだ…降参しそう…笑)
隆二「ねぇ…」
臣「ハッキリ聞こえるように言わないとダメーッ」
隆二「すんっ…」
臣(もう許してやっかな?)
すると隆二が臣の耳元に口を近づけ、
甘い声で、
「あいしてるよ…おみ」と言った。
ズキン…
臣の胸に優しい痛みが走った。
そこからは、よく覚えてない。
唇が捥(も)げるんじゃないかってくらいのキスをした。
隆二に何度も名前を呼ばれた。
その度に胸の奥がキュンとなり、どうしようもなく愛しさがこみ上げてきた。
カーペットの上でそのまま交わって、
空が明るくなるまで愛し合った。
小鳥の鳴き声で目が覚めた隆二は、自分に纏(まと)わりつく臣の腕を優しく解(ほど)き、
喉の渇きを満たすために、水を飲みにダイニングへ行った。
「げっ…マジか?これ…」
ダイニングに充満するカニの匂いと、テーブルの上の惨状…
キッチンを見ると、一升瓶が2本転がっている。
「おーみ…起きて手伝ってよ」
「カーテンまでカニ臭いよ…おーみったら」
臣はとっくに起きていて、隆二が脱ぎっぱなしにしたシャツに触れている。
昨日の直人との会話が甦る。
直人「で?どっちが溺愛してんの?」
直人の柔らかい笑顔が、臣を素直な気持ちにさせた。
臣は照れたように笑顔を見せて言った。
「俺っすね」
完