たかしまを彩る人 color.12 wisteria(ウィステリア)代表 藤井圭子さん
中医学をベースにしたリフレクソロジー「あしもみ」や「あしあつ」で人気の施術家・藤井圭子さん。
リフレクソロジーをはじめ、様々な手技や知識を学び入れた彼女オリジナルの施術方法は、信頼を寄せているリピーターも多い。
また、圭子さんは介護施設でケアマネージャーに従事する現役看護師でもある。
ケアマネとは、要支援や要介護認定を受けた方へのケアプランを立てる専門職。 平日の午前中は介護施設で勤務し、午後からは自宅サロンで施術を行っている。
彼女のあしもみは痛いけど、その後がふわっと軽く、楽になると評判で、施術する年齢層は 10 代から 80 代と幅広い。
「これといった不調が少ない 30 代。40 代・50 代から少しずつ感じ始めますね。60 代から膝に水がたまるとか、日常生活で痛みを感じる不調や故障が顕著になる印象です。」
起業した2014年から、さまざまな世代の足に触れてきた圭子さん。
足を見ればその人の生活や習慣が垣間見えることもあるのだとか。
歩き方だけでなく、足の形もその人の生活を如実に現れるという。
例えば農作業や、積雪地域に欠かせない長靴は、長期的に使用すると足首をはじめ、可動域を減らし理想的な歩行の機会を妨げてしまう。 身体を使う仕事の一方で、人間本来の足の形から遠のいてしまうことも。
また、車移動が当たり前となった現代人は、歩く機会が減ったことも大きいそう。
「肩や首が不調という方に、足の施術を優先的にしていると驚かれます。けれどその不調も腰からで、紐解いていけば足元に原因があることがほとんどですね。」
身体を支える足は土台。
正しく動かす機会が減ると、筋肉量も低下。血行不良となりやすく、そこから不調が引き起こされていくことも。
「施術方法は人によっても変えるので、必ずしもそうではないのですが、どうやら私のあしもみは悶絶というイメージが定着してしまって。」と苦笑いする。
「足裏を押して痛いと感じるならまだ良くて。痛くないものは大丈夫と思われがちですが、実は2パターン。滞りがなく痛みのないものと、滞り過ぎて感覚が鈍くなっている場合。触ればどちらによるものか、判ります。」と話す 圭子さんはサロン以外でも気軽に受けてもらえるようにと市内外のイベントに出店。
高島市内の手仕事作家を中心としたマルシェ「スペース 9」、2020 年からは、蔵カフェ(マキノ町海津)の 2F のイベントスペースを借り、月 1 回のペースで出店している。
30 分でも良いので身体のメンテナンスや身体を知るきっかけにしてもらえたら、と圭子さん。
まだ大丈夫、と自分を奮い立たせているうちに自分のための時間を使うことを忘れてしまう人も多いのだとか。 身体の強ばりは、自身が踏みしめていた足元から。そこにひとつひとつ解くようにアプローチしていく。 終わると明るい表情となり、軽やかな足取りとなって帰る姿を何度も彼女は見送ってきた。
長く付き合っていく身体だからこそ、継続ができるケアを提供したい、と話す。 そして自身でも意識的にできることも取り入れながら、元気に歳を重ねていって欲しい、と。 医療、介護の現場を見ている彼女だからこその想い。
時代を創り、次の世代へと繋げながら懸命に生きてきた足跡が不調ということにはならないようにー。
高齢化社会が国内で危惧され始めたのは 1970 年代から。漠然と、自身も関連する仕事に就くのだろう。と子どもの頃から考えていたという。
高校卒業後は、専門職をと看護学校に進学し、看護師として医療に従事する。
結婚後、2 人の子に恵まれ病院勤務は続けていた。
「仕事柄、足が疲れていることが多くて。それを解消したいと思っていたところ、リフレクソロジーに出会いました。」
後に、その奥深さに触れて仕事にするとは露とも思わず、と笑う。
8年前。体調を崩した子どものケアと、働き方とのバランスを考え病院勤務を辞めたことは、これからの身の振り方について考え、模索する良いきっかけだったと振り返る。
悩み立ち止まってしまった時は、周りの方からのアドバイスをもらいながら。
現在は看護師、ケアマネ、施術家と多彩なスキルを持つ女性となった。
「振り返ると私の場合は、これでやっていこう!と明確なビジョンを持って起業したのとは少し違いました。おそらくこれからも。」
気負わず、今できることを積み重ねる。
この8年間で、施術やカウンセリングに活かせそうだと思えば、手技だけではなくアロマセラピーや占術など、ジャンル問わず資格取得に意欲的に取り組んだ。
掘り下げていけば、いくらでも木の根が広がりを見せるように、学ぶことの多さにまた出会う。 学んで咀嚼して取り入れて。今の圭子さんの施術方法に辿り着いた。
そして近頃は、これまでやってきたことがここに繋がるんだ、と感じることが増えたと言う。ひとつ、またひとつ。パズルのピースが繋がり始めるように物事が動き出した。
「これまで物販は考えていませんでしたが、素敵なご縁を頂いて。昨年 12 月から施術にぴったりのクリームを作っていただいています。」
香りはリフレッシュ、デトックス、リラックスの3種類。
それぞれのコンセプトに合ったアロマをブレンドしたノンケミカルクリームは、滑りが良く肌馴染みも良い。 自宅でセルフケアができるアイテムとして、イベント先で 20 個ほどの数量限定で販売。その度に完売する好評ぶり。
日本ではその効能に対してリラクゼーション扱いだったアロマも、徐々にその効果が認められて『メディカルアロマ』として取り入れられることも。
医療とケア。職場とサロン。それぞれの場所にいるからこそ、彼女は良いところを取り入れるバランスも大切にしている。
薬に頼り過ぎず、施術や、セルフケアもして根本的なところから健康になれるようなお手伝いをしていきたいと語る圭子さん。
「介護と在宅医療、あしもみによるケア。勿論、自分自身へのケアも。それぞれに興味があります。」と話す。
準限界集落の地区も多い高島市。いつか、高島の在宅医療とケアの分野にも、新たな流れが訪れるかもしれない。
(取材/撮影:川島沙織)
「あしもみ」は手指を使って行う『点』の押圧。より深い部分へのアプローチには専用の器具を使う。圭子さんは、鹿の角も使用している。ほどよい丸みを残していてちょうど良いそう。ご縁で86歳現役の罠猟名手・井花伊績さんからのご好意で譲られて愛用中。一方、あしあつは施術者の足を使った『面』での施術。もみ返しなどの負担も少なくより広い範囲への施術ができる。どちらも体験の価値あり。
wisteria ウィステリア
代表:藤井圭子(ふじい けいこ)
営業日:月、火、水の14:00〜
土日は応相談
自宅サロンのため、女性専用。(女性の同伴があれば男性のご予約も可能)サロンの場所および駐車場の詳細は予約時にお伝えしています。
メール:wisteria.room2014@gmail.com
HP:https://wisteria-2014.amebaownd.com
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