わが家は 目下,外壁改修工事中
From 倉橋燿子
今日も朝から
トンテンカンテン、トンテンカンテン、
カーン、ゴーン、ズリズリーー……。
左から右から、上から下からと、
にぎやかに鳴りひびいている。
わが家の築30ウン年の、
ある意味、老朽化したマンションは、
10月から大がかりな外壁改修工事が
始まっている。
毎日窓も開けられない、
洗濯物も外に干せない生活が、
何ヶ月も続くなんて、長すぎる~。
工事が始まると、一気にマンションの
壁すべてに足場が組まれ、
みるみるうちにマンションを覆った。
外から見ると、グレーの鉄骨で
囲まれた要塞みたい。
夜型人間のわたしは、
朝8時頃から壁の向こう側で
作業している工事のおじさんの、
ギー、ギー、トントントントン、
ズリリリ、カーン!
という音にも負けず、
グッと我慢してベッドで目をつむる。
時折、工事のおじさんの独り言すら
聞こえてくる。
「あーっ、これじゃねぇな~。
しまったなぁ~~」
おじさんの独り言に耳をすませていたら、
気になってすっかり目が覚めてしまった。
ベッドから出てリビングに移動し、
朝のコーヒーを飲む。
「ふぅ~~」
この一杯がないと、なかなか起きられない。
ソファーでくつろいでいたら、
「ん……?」
真横のベランダに、若いお兄ちゃんが!
ひゃー、うそでしょーー(>_<)
こんな近くで作業するんだ!
うぅ……、すっかり油断してた。
寝起きのパジャマ姿が丸見え。
今さら、恥ずかしくてカーテンも引けない。
仕事の時も、同じくこの状態。
窓の外を眺めていたら、
ヒョイッとヘルメットを被った
おじさんが現れた。
ウワーーッ!!!(゚Д゚)
なになに? こっちもダメか!
あーん……。
どこへ行っても、工事の人と鉢合わせる。
あまりにも近すぎて、
おじさんから目がそらせない。
「あはは、どうも~」
なんて、愛想笑いをしてみたものの、
このあといったいどうすれば……(--;)
これじゃあ、
全然仕事に集中できないよ~(~o~)
内心、泣きたい気持ちになった。
だけど、ここ10階なんだよね。
こんな上空で、窓ごしに挨拶する構図も、
ヘン過ぎだよ……。
でも、最近は工事の人の目を気にしてか、
起きたらすぐに着替えるようになった。
若いおにいちゃんに見られてもイイように、
ちょっとオシャレしちゃったりして……(^^)
やっぱり、いくつになっても
人の目は気になるもの。
でも、そのおかげで生活に
メリハリがついた気がする。
たまにはこういうのも、いいっか!
【倉橋燿子・作品】