高校生たちの「ふたご座流星群2021」観測体験
河越 彰彦
流星を見たことがない高校生の体験学習
標記のような体験学習を以下のように実施できたので、主に生徒さんたちの眼視観測結果のまとめを遅ればせながら紹介します。
日 時 2021年12月14~15日
場 所 鳥取市さじアストロパーク
担 当 織部さん、八木谷さん、門脇さん、古屋さん、河越
初日のレクチャーで織部さんが「今まで流星を見たことある人いますか?」と尋ねると、参加した三十余名の中で手が挙がったのは僅か二名でした。なにはともあれ体験学習が始まりました。
流星観測の基本は個数のカウント
特にたくさんの流星が見られる流星群活動期に確実にもれなく数をカウントする方法で、しかもあまり観測経験のない場合に適しているのはグループ (多重) 計数観測です。参加の高校生は予め六班に分けられていて、そのうち4から6班が眼視観測の希望者でした。4と6班が観測四人、記録一人、5班が観測五人、記録一人の編成です。今回はどの観測方向も記録作業も経験するのが目的なので特別なローテーションで交代して実施しました。
結果の報告、多重の意味するもの
以下に各班の結果を示します。今回は初めて流星を見るのでその捕捉には個人差が大きく出ています。何回経験してもこの個人差は存在しますが、この差はあるものとしてグループで誰も見なかった流星を確率的に計算して、真の流星数を推定するのが最終目的です。紙面の都合でその詳しい計算方法は別の機会に譲りますが、各班を見ると班ごとの差があることに気づきます。4班と6班とでは倍以上の差があります。従って観測結果の整理は多人数のデータを参照しないといけないことがよくわかります。マトリックスを見て「多重」の意図するものがなんとなくご理解頂けたと思いますが、第4班を例に簡単に説明します。
観測者は北方向を1番として時計周りに採番して西方向が4番です。下図のマトリックスは任意の2人が何個重複した流星を見ているかを表しています。単独観測はマトリックスの左上から右下への対角セルに表現されます。各々の捕捉率を計算して、最後に各々捕捉率の積を取って、それを1から引くと誰も見ない流星の確率が求まります。余事象の考え方です。従って真の流星数はグループで見た総流星数をこれで割ると出てきます(計算責任 河越)。
眼視観測「グループ多重計数観測」
結果の応用
著しい流星群の場合、話題になるのは流星体の空間密度です。さぞかし流星体がぎっしり地球に降り注いでいるのではと想像します。今回の計算例を以下に示します。
謝辞とあとがき
今回の流星観測セミナーのお手伝いをさせてくださった、鳥取県立鳥取東高等学校の理数科主任 佐々木努先生に御礼申し上げます。
また、デジカメ撮影班は明るい流星の撮影に成功して気勢が上がりました。以上