『W旦那+(プラス)』第5話 (隆二のマンション)三代目妄想劇場
2017.11.15 03:10
隆二の住む高層マンション。
理愛は、よくベランダから夜空を眺めている。
秋の気配を感じる夜、随分と肌寒くなってきた。
部屋の中から、ベランダにいる線の細い理愛の後ろ姿を見ていると、とても寒そうな印象を受ける。
押入れから隆二お気に入りの、白いモコモコ毛布を出し、ベランダにいる理愛に近づく。
後ろから毛布ごと理愛を包み込む隆二。
「理愛ちゃんってさ、かぐや姫だったりして…」
隆二が甘い声で、耳元で囁く。
理愛「……」
隆二「月が恋しい?」
冗談まじりに聞く隆二に、
「はい…とても」
と、理愛が答えた。
しばらく沈黙があった。
いま、冗談で言ったのかな?
そんなことを思っていると急に愛しくなってきて、
強く理愛を抱きしめた。
「旦那さま…」
理愛は、店では「オーナー」
臣の前では「隆二さん」
自宅に帰って二人っきりになると、
「旦那さま」と呼ぶ。
誰が教えた訳でもないのに、なぜかそう呼ぶようになった。
「隆二でいいよ。理愛ちゃん…」
「そんな…呼び捨てなんて、できません」
隆二は笑って、
「呼び捨てにしろなんて言ってないよ」
「えっ?」
「隆二さんでいいから、言ってみて…」
「隆二さん…」
「なに?理愛ちゃん…」
「私のことが好きですか?」
突然の理愛の問いかけに、一瞬目を丸くした隆二だったが、
すぐに優しい笑顔になり、
「うん…とても」と言った。
「理愛…こっち向いて」
「はい、隆二さん…」
優しく唇を重ねる隆二。
一日置きに訪れる。
…それは隆二にとって、とても安らぐ癒しの時間だった。
End