『W旦那+(プラス)』第10話 (理愛の店) 三代目妄想劇場
剛典の主張はこうだった。
「理愛ちゃんが拒まない限り、誰にでも権利はあるはずでしょ?」
それもそうだと、健二郎が臣と隆二を説得して、
直接理愛に尋ねてみることになった。
健二郎「リア姉、オーナー二人が留守の時だけ、がんちゃんがデートしたいって言うてるんやけど、どうする?」
理愛は、軽いかすり傷を負い、
顔や手のあちこちに絆創膏を貼っている、
臣、隆二、剛典3人の目を交互に見ている。
レコーディングや雑誌の撮影などで、臣と隆二が不在の時、理愛はLDH社長の自宅で寝泊まりしている。
店の定休日と重なった日などは、何もせず、1日ぼうっと過ごす事が多い。
理愛さえOKなら、月に1~2回あるその日だけ剛典に譲ってもいいという、健二郎に説得された上での二人の妥協案だった。
理愛の答えは100%予想できた。
来るものは拒まない。
断る訳がないのだ。
臣「理愛、嫌なら無理しなくてもいいよ」
隆二「理愛ちゃん、強制じゃないんだからね!」
剛典(なんか、俺一人悪者みたい…)
「私なら大丈夫です」と薄く微笑む理愛。
言葉を発することもなく、頭を抱え、
カウンターの椅子に座りこむ臣と隆二。
健二郎「そら、しゃあないなぁ。リア姉がそう言うんやから」
健二郎が立ったまま、二人を見下ろして言う。
「退屈なんてさせないから」と理愛の手を取る剛典。
「はい」と理愛が答える。
健二郎(全国のファンが知ったら、大炎上する光景を、いま目の当たりにしてるな、俺…)
隆二が気を取り直して立ち上がり、
「取り敢えず今日は俺ん家だから、理愛ちゃん帰ろっか」と剛典の手を振り払い、
理愛の手を引いて出て行こうとする。
理愛「えっ!?まだ片付けが…」
隆二「臣、あとよろしく!がんちゃんに手伝ってもらえ!」
特に反論もせずに臣が、
「…理愛!また明日ね」と、笑顔で手を振る。
理愛に向けた笑顔はすぐに消え、
臣の真横に立ち、満面笑顔で理愛に手を振る剛典を見て、しかめっ面をしている。
健二郎「公平っちゃ公平なスタートラインに立ったわけやな」
健二郎「あとはリア姉のオンリーワンになるために、努力あるのみやで!」
そう言いながら、臣と剛典の肩を同時に叩く。
健二郎「仲違いだけはマジでやめてや」
臣「健ちゃんは理愛に対して、なんの感情もないの?」
健二郎「…あんなボーっとした子、釣りに連れて行っても面白ないしな」
「ほら!早よ片付けてまうで!」
健二郎に促され、互いに火花を散らしながら、
予備のエプロンを手に取る臣と剛典だった。
End