Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

マヤ

『W旦那+(プラス)』第81話 三代目妄想劇場

2017.12.02 12:38

その涙を拭って、隆二の頭を抱き寄せる。




「俺って…ほんと救いようがない…」




「臣…」




「失ってみないと気づかないなんて…」




しばらく抱き合っていたが、臣が離れぎわ軽くキスをして、




「風呂…ゆっくりあったまってこいよ…ベッド使っていいから」




「臣は?」




「おれ、少し飲んで…ここで休む」




「風呂は?」




「明日の朝入るよ」




「おみ…」




「風呂怖かったら、いつでも呼んで。すぐに駆けつけるから」




「……」




「ごめんな、隆二…」




「……」








隆二は湯船に膝を抱えて座っている。




後から後から涙が溢れてきた。




その度に両手で洗い流した。




5年の月日は、そう簡単に埋めることはできない。




一度受けた心の傷は、なかなか修復できなかった。






リビングのソファで片膝を立てて、臣は酒を飲んでいる。




隆二を深く愛している自分を、今夜思い知らされた。




臣の目に光るものがある。




上着の袖の部分でそれを拭い、一気にグラスの酒をあけた。






「臣?もう眠ったの?」




風呂から上がり、ソファに寝転がる臣を覗き込んだ。




「なにも着ないで…風邪引くよ」




寝室から持ってきた毛布を臣に掛けようとして隆二はハッとした。




臣の長い睫毛(まつげ)が濡れている。




(おみ…)




隆二は臣を毛布で包(くる)み、すぐ横にしゃがみ込んだ。




(こんな寒い夜に…ほっとけないよね)




臣の髪を触りながら、




(睫毛まで濡らして…ほんと…

ズルいよね…臣)




マンションの頑丈な窓がカタカタと音を立てる。




(寒い…)




少し広めのソファに並ぶようにして、隆二は毛布の中に入る。




(うわ…さすがに狭いけど…こうしてるとあったかい)




隆二は臣の体を抱き寄せた。




寝返りをうった臣も無意識で、隣の隆二を抱き寄せ、




二人揃って安らかな表情で寝息をたて始める。




二人でひとつになるように寝ている姿は、




理愛と剛典以上に、美しい絵画のようだった。




End