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マヤ

『W旦那+(プラス)』第12~13話 (臣のマンション)三代目妄想劇場

2017.11.15 03:35

理愛は誂(あつ)えたばかりの、ベージュのシルクワンピースを着て、臣に手を引かれてレストランを出る。



臣はボトルワインをほぼ一人であけて、上機嫌だ。



タクシーを止め、自宅の住所を告げる。



後部座席で、理愛の肩を抱き寄せる臣。



「旦那さま、随分お酒の匂いがします」



「酒臭いのイヤ?」



「いえ…お体の方が心配で…」



「俺まだ若いから大丈夫だよ」



「でも、心配してくれるの…嬉しいよ」



理愛の髪を撫でる。



「旦那さま…」



軽く臣の胸に手を当てる理愛。



その手をぎゅっと握って、



「酒臭いけど…キスしていい?」



「はい…」



バックミラーに映る、重なりあう二人のシルエットを見て、若いドライバーが咳払いをする。



(家に帰ってからしてほしいよな…ったく)





臣のマンションに帰り、理愛を抱いたままキングサイズのベッドに倒れこむ。



「旦那さま、お水お持ちしましょうか?」



「ん?…いや、いいよ理愛…このままこうしていたい…」



理愛を更にしっかり抱き寄せる。



「やっぱこの生地正解だった。柔らかくて気持ちいい…」



「旦那さま…お風呂は?」



「…ん…明日の朝に入る…」



「理愛は俺が眠ってから、ゆっくり入るといいよ」



眠いのか、目を閉じている臣だが、笑顔で機嫌がいい。



「旦那さま…」



「…ん?」



「私が欲しいですか?」






猛烈な睡魔に襲われる中、



理愛の言葉で少し、酔いが覚めた気がした。



「抱きたいかってこと?」



「…はい」



「理愛、どうしたの?珍しいこと聞くね…」



「身寄りのない私に、これだけ良くしていただいてるのに…」



「旦那さまはいつもキスをするだけで…」



理愛の頬に触れながら、



「俺は、好きでやってるんだから、何も心配しなくていいし、気を使わないでいいんだよ」



薄暗いベッドルームに、

カーテンの隙間から月光が差している。



「もし…少しでも私を抱きたいという気持ちがおありなら…今夜、大丈夫ですよ」



(今日はおかしなことを言うな?)



眠りに引き込まれそうになりながら、

必死で考えを巡らす。



「理愛…俺はそんなの求めてないから…」



「……」



「酔ってて上手く言えないけど…」



「こうやって側にいてくれるだけで十分だよ…」



それだけ告げて、遂に睡魔に負け、

理愛を抱いた手を緩め、眠りにつく臣。



安らかな寝息をたてる臣からそっと離れ、

ベッドの上に正座をし、何かを手に取る理愛。



薄暗い部屋に怪しい光が揺れた。





End