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マヤ

『W旦那+(プラス)』第15~16話 (名古屋へ…)三代目妄想劇場

2017.11.15 03:45


待ちわびた日がやって来た。




「今週は両親が在宅してるので、心配ありません」



剛典がLDHの社長に告げた。




臣と隆二は、Diorのパリコレに招待されていて不在だ。 



剛典にとって、やっと巡ってきたデートの日だが、1日だけ名古屋でTVのロケがあり、

どうしても二泊で実家に帰らないといけなくなった。



理愛とのデートは延期になるかと思われたが、LDHの社長夫妻も急遽パリコレに同行することになり、



理愛を一人で置いておく訳にはいかず、

それならと、剛典が名古屋の実家に連れて帰ることになった。



「くれぐれも、理性を持って接してね」



社長の妻から、念を押される。



臣と隆二からも、頻繁にメールが入ってきた。



臣『がんちゃん、わかってるよね?』



隆二『くれぐれも理愛ちゃんのこと、よろしくね』



(俺、そんな危険な男に見えるのかな?)






名古屋に向かう新幹線の車中、



理愛は、窓から見る景色が高速で流れていくのを見て、少し怯えている。



(そっか…あまり東京を離れることもないだろうから、新幹線の速さとか怖いんだね、きっと…)



理愛はなにも言わず、剛典の肩にもたれ、

長い睫毛を伏せている。



剛典と恋人つなぎしている手に、きゅっと力が入る。





自分を頼ってくれる理愛を見ていると、

一緒にいる時はしっかり守ってあげなきゃ…という使命感が湧いてくる。



(今まで周りにはいなかったタイプの子だな)



(ひんやりしてるけど、柔らかくて、透き通るように綺麗な手だ…)



(顔もちっちゃくて、顎とかめちゃ細いけど、唇だけはふっくらで優しいピンク色してる)



そのピンク色の唇を僅(わず)かに開けて、小さな溜息をつく理愛。



(あーっ…ダメだ!キスしたい…)



(車中だけど、キャップ被ってメガネかけてるからバレないかな?)



(念のためグリーン車にしたし、乗客も少ない…)



「理愛ちゃん…大丈夫?」



理愛はなにも答えない。



(眠ってるのかな?)



軽く唇を重ねてみると「う…ん」と言って、

頭の位置を少し変えた。



それっきり動かず、眠っているように見える。



(最初のキスの時と同じだ)



(唇を合わせると、甘くてとてもいい香りがする。心安らぐいい香り…)



そんな事を考えていると、剛典も急に眠くなってきて目を閉じた。



理愛と頭をくっつけて眠る姿は、

美しい絵画のよう…



グリーン車の通路を行き来する乗客達が、思わず立ち止まって、愛らしい二人を繁々と眺めている。




End